「倒産するかもしれない」という感覚
おはようございます。
毎日noteを更新しているんですが、お題は毎朝パソコンの前に座ってから考えています。
今朝は、犬の散歩をしながらこの動画を聞いていました。
スズキの鈴木修会長とトヨタ自動車の豊田章夫社長の対談動画です。
僕が尊敬する日本を代表する経営者二人による対談に、朝からワクワクしてしまいました。
今日はこの動画にからめて、スズキとトヨタいついて書いてみようかと思います。
スズキはアメリカで敗れ、インドで勝った
スズキは、僕が監査法人にいた時の一番のお客さんでした。お客さんなのでスズキについてはよく調べたし、今でも愛着があります。
でも当時のスズキの北米戦略には疑問を持っていました。
スズキと言えば、軽自動車の会社ですよね。
でも当時のスズキの北米戦略は、大型車でした。北米や韓国の提携先の工場で製造されたSUVや大型セダンが北米の主力製品でした。「アメリカ人は大型車が好きだから大型車を売れ」というのが、戦略だったそうです。
すでに出来上がっているアメリカの大型車マーケットに、後発の日本車メーカーが得意でもない大型車で勝負していたわけです。
得意の小型車で勝負すればいいのに。
と、監査をしながらずっと思っていました。
その後スズキは「Kizashi」という小型セダンを最後に、北米の自動車販売から撤退してしまいました。
「Kizashi」は非常に評価の高い車だったので、復活の兆しかと思われましたが、キザシを最後に撤退したのは何とも皮肉です。
その頃北米では、都市部の若者の間でSmart Fortwoという二人乗りの小型車や、フィアット500というオシャレな小型車が売れたので、得意の小型車で勝負してほしかったと今でも残念に思います。
一方で、スズキはインドでは50%以上のシェアを持つ、不動のナンバーワン自動車メーカーだということを知っていましたか?
インドでは、スズキの安価な小型車が市場のニーズにはまったということなんでしょうね。
トヨタはアメ車メーカーになった
アメリカには、NASCARという自動車レースがあります。ストックカーレースといって、各チームに自動車メーカーから同じスペックの車が供給されます。
車の基本性能はほぼ同じなので、ドライバーのスキルとチーム力が競われます。
これはすごくアメリカ的なモータースポーツで、車を供給する自動車メーカーは、ゼネラルモーターズ、フォード、クライスラーのアメ車メーカーのみの状態でした。
ここにトヨタが2006年に参戦しました。
当時副社長で、自身もレーシングドライバーである豊田さんの意向もあったのかもしれません。
僕はその当時NASCARが好きで見ていたのですが、トヨタが参戦することになって「トヨタはアメ車メーカーとして認められた」と思いました。
トヨタは早い段階からアメリカ向け車種をアメリカで製造してきました。アメリカで売られている車種は基本的に北米仕様で、日本品質のアメ車メーカーとしてポジションを獲得した感があります。
トヨタはアメリカの会社だと思っているアメリカ人も結構いると思います。
四駆のオフロード車や大型トラックに憧れるアメリカ人男性にとって、トヨタのフォーランナー、ランドクルーザー、タコマ、タンドラは憧れの車です。
「倒産するかもしれない」という感覚
この動画を見て僕が一番感動したのは、「倒産するかもしれない」という危機感を持つことが経営の本質というお話でした。
豊田社長が社長に就任したのは2009年ですが、これは大変な時代でした。前年の2008年はリーマンショックで71年ぶりの赤字転落、翌2010年には大規模リコールとトヨタバッシングがありました。
豊田社長は、2010年2月24日にアメリカの下院の公聴会に召喚され、一連のリコール問題について答弁をしています。
僕も当時この様子を見ました。
豊田社長は、その後北米のサプライヤーとディーラーに説明をし、その足で中国とヨーロッパにも行き、名古屋に帰ってすぐに2000人の社員の前でも報告会をしています。
豊田社長は、当時自分はこれを最後に社長を辞めることになるだろうと思っていたそうです。
どうせ辞めるのだから、せめて最後に会社の役に立ちたい。
その一心で、初めて自分の意思で、会社を守るために正しいことを伝えようと思ったそうです。
鈴木会長は、この時のことを日付も含めて記憶していて、この時の豊田社長の行動を見て感激し、自分だったらと反省したそうです。
豊田社長は、当時を振り返って「今日も生きている」の連続だったと話しています。
それに対して鈴木会長も、昭和33年に鈴木に入社してから何度もスズキが「倒産するかもしれない」という危機を乗り越えてきたと言われました。
「倒産するかもしれない」という危機感をもち、価値向上のために会社全体や人を向かわせるか、それが経営力だと結びました。
今の世の中を生き抜く経営力
今の状況はリーマンショックを凌ぐ規模の不況だと言われていて、ビジネスにとっても非常に厳しい状況になることが予想されています。
これから数か月の間に、体力のない中小企業の多くや大企業の何社かは、本当に倒産してしまうかもしれません。
経営者は、本当の意味での経営力が試されているのかもしれません。
鈴木会長と豊田社長が共感した経営力が、この混乱した世の中を生き抜くためのヒントになる気がします。
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