wana be back 3.10. 戻りたい風景 vol 4

女優木内みどりさんが繋いでくれたご縁で
あるご家族と共に震災後10年を迎える福島を目指す事となった。

このご家族、木田家は福島県いわき市出身。
原発から避難して現在は茨城県中部の街、水戸市に暮らしている。

最初に避難したマンションではワンちゃんを飼うことが出来なかった。
人が生きるか死ぬかの時に、犬猫の面倒は見れないと市の職員にきっぱりと言われてしまってね。。

事故以前まではバスガイドをしていた奥様は一緒に来てくれたら嬉しいと
福島同行を快く引き受けてくれた。
原発事故後、首相官邸前などでデモに参加した。右も左も分からなかったが。
頑張りすぎて、空回りして、変な人と噂されたとみどりさんに相談すると
「いいじゃない変な人で。私も変な人よ。皆仕事を失うのが怖くて言いたい事を言えない芸能界で、私は若い子達から見れば変な人よ」と、慰められたという。

芋煮、サラダ、食卓に料理が並び
宴会部長だった旦那様がビールをついでにくれる。

水戸のお宅にて
まずは食べて力をつけてとおもてなしを受けてしまう。
今は安心して一緒に暮らす事の出来るワンちゃんが膝に飛び乗って来た。


旦那様と守るはずだった土地は汚染され住む事を諦めた。
本棚には事故関連の書籍が並び、新聞の切り抜きも多い。
浪江町 双葉町 大熊町 富岡町
紹介したい人たちがいる、会ってほしい人がいる。
私たちはせめてあと10年くらいの命だから、これからの若い人たちに伝えてと言われれば
さすがに酒の力を借りて大きな声で、何をまだまだちゃんと長生きしましょうよねと遠慮なく返させていただいた。
まだ60代だが、明るい部分と、やはりご苦労を重ねた気配が見て取れる。
ご主人とビール3缶を開け、焼酎のコーヒー割りをさらに3杯。

お風呂を頂き、録画されたドキュメンタリーを見れば
この日を迎える緊張感は覚悟に変わった。

この数日で、多くの人に話を聞く事となるだろう。
たくさんの悲しみを受け止める用意は出来た。福島県いわき市。水戸からおよそ100km.午前7時の出発時刻まであと1時間。隣の部屋からワンちゃんが朝だよと教えてくれる。

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