中小企業診断士試験 合格体験記 〜会計知識を持つ社会人の場合〜②(1次試験)

5.各科目の具体的な学習方法と学習時間、結果と感想

(1)1次試験

※“”内は略称。正式名称は本タイトル①参照

①科目別の勉強開始前
・中小企業診断士試験の全体像把握:”非常識”通読
・一次試験で必要となる知識の全体像把握:”はじめの一歩”を通読(1時間)
・計画立案:1次試験の範囲の広さから、一発合格は難しいと考え、2年計画での合格を計画。受験科目の6科目のうち、財務・会計は素養があるため勉強不要と判断。残りの5科目のうち、初年度は1次試験のみ必要な科目をパスしようと考え、”まとめシート(後編)”を購入。この中で、最も分量の多い経済学・経済政策、年ごとに傾向が全く変わるため、”まとめシート(後編)”が来年には役立たなくなることにもったいなさを感じた中小企業経営・政策、最後に経営法務の順で勉強することに決定。
・受験科目への知識を深めるため、“まとめシート(後編)”を3周通読(9時間)
②経済学・経済政策
・過去問対策がすべてと考え、”まとめシート(後編)”を読んで、”過去マス”の該当箇所を解く。3周する計画も、1周で試験に臨む。
・学習時間:約19時間
・本試験点数(再掲):52点
・感想:1次試験は多くの幸運に恵まれた合格だったが、幸運①は本科目を勉強していたこと。22年度は本科目の難易度が高かったらしく、勉強をしていなければ足きりの可能性もあったが、過去問を一周したことで大けがを免れた。細かい知識の定着は不十分であったが、一般常識から類推できる科目で点数を稼いだ。ビジネスマンとしての能力を測る試験であるので、新聞等からビジネスマンとしての一般常識を得ておくことは非常に重要。
③財務・会計
・対策なし
・本試験点数:80点
・感想:簿記2級を保有すればかなり優位になると聞いていたので、1級を保有している私は特段の勉強をしないことを早々に決断。当然過去問にも触れることなく臨んだため、本試験で初めて試験問題に触れる。意外と経営分析がないな、企業価値分析なんて出るんだ、と思いながらも、過去との比較ができないため、こんなものかと思いながら消化。その後SNS等で傾向が変わり、かなり高難度だったものと知る。過去の素養から一定の点数を稼げる科目が高難度となり、その他の科目(おそらく経営法務)の難易度が低めになったことは幸運②。
④企業経営理論
・対策なし
・本試験点数:54点
・感想:細かい知識を問われると、鉛筆を転がすしかなかったが、会社の経営戦略を説明するのが仕事であるIRとしては、ポートフォリオの考え方など、常識で類推できる問題がいくつかあり、ある程度点数を稼ぐことができた。
⑤運営管理
・対策なし
・本試験点数:60点
・感想:正直なところ、合格点に達したことが理解不能な科目。その意味では幸運③。「勝ちに不思議の勝ちあり」である。9年間の工場勤務経験と日本語力、マークシートゆえに何とか合格できたと考えている。
⑥経営法務
・対策なし
・本試験点数:52点
・感想:この科目はSNS等を見ると、過去に苦労している方が多数だったようで、足切りも覚悟していた。しかし法学部卒の素養で、民法を中心に稼ぎ、一定の点数を確保。財務・会計が難化した余波か、歴史的易化年だったとのことで、勉強しなかった科目がそのような年になったのは、幸運なめぐりあわせだった。幸運④。
⑦経営情報システム
・応用情報技術者試験取得により科目免除。
・応用情報技術者試験を受けた経緯:中小企業診断士試験の受験を迷っていた時期に、本試験をとれば1次試験免除と聞き、かつ試験内容に経営戦略や業績管理などの項目がかなり含まれるため、ITへの知見が乏しくても合格可能という情報を得て受験勉強を開始し合格。1次試験の合格点が422点だったことから、結果的にその判断が1次試験の合否を分けた最大の要因となった。中小企業診断士試験受験を迷っている方は、肩慣らしに受験してみることをお勧めする。
⑧中小企業経営・中小企業政策
・”まとめシート(後編)”を読み、”特訓”を3周程度する。1次試験の最終科目であったため、受験直前まで粘り腰で知識の習得に努める。
・学習時間:17時間
・本試験点数:64点
・感想:最も学習が得点に反映された科目。2年前の中小企業白書から問題が作られるため、過去問があてにならず対策が難しいが、”特訓”をある程度定着させることができれば、合格点に十分達する。早稲田出版万歳。
⑨合格後の感想
・上記の通り計50時間足らずの勉強時間で、かつ2科目しか触っていない状況だったため、初めから合格は難しいと感じていたが、マークシートであることと最後まで諦めずに問題を解いたことが合格のポイントだった。
・まったく素養のない科目はお手上げだが、私の場合は中小企業経営・中小企業政策を除く各科目に何かしらの素養があった。論述ならお手上げだった科目も、マークシートなので4択を3択・2択にすることは可能な問題がいくつもあり、なんとか合格できた。
・試験終了後は、まさか合格しているとは思わなかったが、それなりの手応えがあった。マークシートの紛れもあり、最後まで諦めずに解けば、絶対的に苦手な科目をつぶし、絶対的に得意な科目があることを条件に、合格できる可能性は十分ある。受験を決めた場合には、安くない受験料を支払うのだから、最後まで諦めずに取り組んでほしい。幸運が待っているかもしれないから。

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