中小企業診断士試験 合格体験記 〜会計知識を持つ社会人の場合〜④(総括)

6.総括

・この試験は2次の筆記試験が掴みどころなく、経営理論のエキスパートならば超短期で受かるというような簡単なものでもないように思う。しかし、事例Ⅳだけは財務・会計のエキスパートならば過去問を解いて、試験に慣れることで、高得点が見込める。また、事例Ⅰ~Ⅲはそれなりに知識は必要だが、1次試験ほど細かい知識は必要ではなく、それよりもわかりやすい日本語を書く能力が問われる。そのため、普段から文書を作成し、上司や先輩から手直しを受ける経験を積んでいる社会人ならば、財務・会計の知識があることを条件に、短期合格の可能性が十分あるだろう。
・一般的に中小企業診断士試験に合格するには1,000時間くらい必要だといわれる。そこからすれば、200時間未満の私は超短期合格者ということになるだろう。しかし、私の勉強時間には日商簿記をはじめとする資格試験などの勉強時間や、社会人としての実務経験は含んでいない。素養が違うので、必要な時間が違うのは当たり前のことである。
また、例えば1次試験は1~2問ヤマが外れていれば不合格だった。そうすると、もう1年勉強していたことになり、そうなれば300時間くらい追加されていたかもしれない。そこでも受からなければ、1,000時間単位になっていても不思議ではない。勝負は時の運的なところもあり、1年に1度の試験であるので、時間は大きくばらつく。勉強時間はかくも曖昧なものであり、それを信じ過ぎて必要以上にリスペクトしないほうが良い。
・この手の試験は受かるか落ちるかということになるが、どうしても独立したい方は別にして、サラリーマンとしては勉強する価値のある科目ばかりであるので、たとえ落ちたとしても、勉強したという結果はきっと人的資本を高めることにつながる。
・社会人としての素養を問う上では、非常によくできた試験。何らかの形で経営に携わる社会人であれば、常識で類推の利く問題が多く、社会人として知っておきたい知識を下敷きに、応用力を問う問題も多々あった。受けようか迷っている社会人諸賢は、恐れずに挑戦してみるのもよいと思う。本稿が迷える社会人にとって、何らかの参考になればこの上ない僥倖である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?