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#2 その雇用調整助成金、損してますよ!


実は
雇用調整助成金
選択する申請方法でもらえる額が上下する
損したり得したりする怖い助成金だってお話


1、選択する申請方法でもらえる額が上下する

ぼくのように社労士資格を取得し(※)飲食店経営を10年以上している人はあまりいないと思います。だからこそ気づけた落とし穴。ぜひ参考にしてください。
※令和2年社労士試験合格(2021.4.1登録)


雇用調整助成金は、
選択する申請方法でもらえる額が上下します

ガイドラインを読みこみ、「矛盾」というか申請書への計算法が選択できてしまうという点に気がついた人は正解。(ほぼ、いないと思います)


「え?そんな不公平な制度なのかよ?」


って思われると思いますが、
残念ながらこの助成金は、度重なる改定が行われたことによって
申請の選択肢が増えてしまい、
実際、
申請する選択肢によって金額が変わるという
不公平な制度になってしまったという怖い助成金なんです。


そうです。損したり得したりします。


小規模事業者だからって安易に「簡素化された申請」に流されると損する可能性が高いです。


これから雇用調整助成金申請の人は要チェックです!!

申請済みの人、、、、

安心してください!
助成金事務センターに確認しました。
任意の「取下げ申立書」を提出すれば一度提出した申請書を差し替えることも可能です。(ぼくの会社で実証済み)


昨年、経営する飲食店がコロナ禍で休業を余儀なくされ、経営者と社労士の2つの視点から、本気でガイドラインを読み込み「試算」をし、実際に申請をしたからこそ気づいたこの「矛盾」を思いっきり公開します。


2、はじめに


この話を公開するのは、少々迷いました。けっこうひっくり返る話だからです。悪用されたり、批判されたりする可能性もあるからです。
雇用調整助成金の金額は、「ある単価」の選択肢によって、大きくも小さくもなりえるというお話です。

先にこれだけはお伝えさせてください。


「テクニカルな裏技をこっそり教えます」ということではありません。


公開されている情報を紐解いた中で、実態として選択肢が複数生まれている事実をお伝えし、そこに途中で気づいてぼくの会社も申請し直したという体験談を公開します。同じような落とし穴にハマってしまわないように、できる限り詳細を公開しますのでぜひお役立てください。


3、雇用調整助成のしくみ


雇用調整助成金のしくみはこうです。


❶休業手当の支払い

>企業が従業員に休業手当を支払います。

❷雇用調整助成金の支給申請
>企業が国に申請書を提出します。

❸助成金の交付
>国が助成金を支給します。

この時の申請書の計算方法が3通り存在しているのです。
ここからが本題です。
下記(ア)〜(ウ)の3通りで計算された「単価」の違いで助成金の額が変わります。


雇用調整助成金の申請に関わる厚生労働省のサイトでは、
まず前提として、申請者が「中小・大企業」か「小規模事業主(概ね20名以下)」かによって選択が別れます。(下記画面キャプチャ参照)ページURLはこちら


ここで選択した分かれ道により、自動的に所定の申請書ダウンロードを促されます。その段階で「小規模事業主」の人は(ウ)以外の選択肢が見えなくなっているのです


■「中小・大企業」=(ア)または(イ)から選択
 ※(ウ)は選択できないルール


■「小規模事業主」=(ウ)に限定されているように見えますが、実は(ア)(イ)(ウ)全てから選択しても良い(確認済み)。


つまり、「小規模事業主」は入り口で(ウ)を選択させるようなサイトの誘導ですが、「中小・大企業の方向け」を選択して(ア)または(イ)の計算方法を選択しても良いのです。



ここが、落とし穴です。



「小規模事業主の方向け」という選択をさせることで、(ウ)つまり実際に支払った休業手当を算出単価とする計算方法に誘導されます。
これは、(ウ)の申請が圧倒的に簡易だからです。しかしながら、ガイドブックを読み込むと、(ウ)で申告することは絶対のルールではないことが読み取れます。


思い出してください。
そもそも、2020年3月の時点で(ア)(イ)しか存在しなかった雇用調整助成金の計算方法が、あまりにも複雑で申請がむずかしく、小規模事業主を中心に利用率が上がらず、その後「簡易申請」を可能とした改定がありましたよね?
確かに、申請は飛躍的に簡易になりましたが、皮肉にもそのせいで、小規模事業主の方が損をしている可能性が高いのです。


4、ぼくの会社の場合の(ア)と(ウ)での助成金の差額は・・・


実際に、ぼくの会社の助成金の計算額はこれだけ違いました。

■休業対象者数:6名

(ウ)=819,434円

(ア)=1,659,885円
      →差額=837451円

ほぼ倍です。。。
ここで、疑問が生じます。


「実際に支払った休業手当の額(ウ)よりも申請額(ア)の方が高くなってるけど???」


そうです。

この助成金は、実際の休業手当よりも申請額が多くなることがあります。


(ア)と(イ)は、前年度以前の会社全体の従業員1人あたりの平均日額単価を計算し「単価」を決めています。一方、(ウ)は実際に支払った休業手当が計算「単価」となります。



もし、(ア)と(イ)の計算方法で算出した従業員1人あたりの平均日額単価が、実際に支払った休業手当の単価を超えていれば、実際に支払った休業手当以上の支給額を受け取ることができるのです。

これ、驚きでですよね・・・



5、助成金事務センターに問い合わせしてみた


この「矛盾」というべきか「不公平」に気づいてしまった時、すでに4月分5月分の申請してしまっていたのです。

「あーーーーーーーーーーー、やっちまったーーーーー」


とにかく、一度問い合わせて相談してみよう。

窓口の方にこの矛盾を問いかけました。
すると、窓口の方は、はじめ何を言っているのか理解できないようでした。

なぜぼくがこの矛盾に気づいたかを丁寧に伝えました。
ぼくは、雇用調整助成金が動き出した3月からガイドブックを読み込み、自社の飲食店で休業を行った際の「試算」をしていました。

つまり(ア)または(イ)での計算方法しかなかった時に、実際の休業はなかったのですが、「試算」だけしていたのです。
その後、弊社も休業を行うこととなり、時期を同じく「簡易申請」が可能となったこともあり、額に差が出るとは考えもせずに、(ウ)の計算方法にて申請を出したのです。

しかし、どこか試算していた額に比べ物足りなさを感じて疑問を感じていました。そこで、再度ガイドブックを読み解き、「小規模事業主」でも選択の余地があり、そしてその選択で助成金の額に「大きな差」がでることに気がつきました。両方の試算を小規模事業主でありながらしていたからこそ気づけたわけで、本来気づくはずのない「落とし穴」のようなものです。


窓口の方は、親身になって聞いてくれました。
そして、詳しいものと相談して折り返しますと言ってくれました。


その後、
任意の「取下げ申立書」を提出すれば一度提出した申請書を差し替えることも可能との連絡をいただきました。


実際、
先に(ウ)=819,434円が振り込まれ、その後(ア)との差額である837,451円が遅れて振り込まれました。


6、まとめ



❶3通りで試算してみる

・「中小・大企業の方向け」の入り口=(ア)(イ)の試算ができます
・「小規模事業主の方向け」の入り口=(ウ)の試算ができます

先で述べた、「事業規模」の最初のわかれ道は無視して両方の入り口から入ってあなたの会社に有利な計算方法を選んでください。



❷選択する際のポイント

1、(ア)=「労働保険料確定申告書」が有利な会社
  >賞与をたくさん払っている会社


2、(イ)=「所得税徴収高計算書」が有利な会社
  >役員報酬が多い会社


3、(ウ)=「実際に払った休業手当」が有利な会社
  >実際に支払った休業手当が15000円以上/日で上限を超えていれば、検討不要ですので、申請がラクな(ウ)を選択しましょう!



❸勘違いしやすいこと


>助成金の額=休業手当 とは限らない

>小規模事業主=簡易申請 とは限らない

>申請書は再提出もできる



以上になります。

2021年1月8日、昨年に引き続き、1都3県において2回目の緊急事態宣言が発令されました。飲食店だけでなく、休業手当を支払い時間短縮や休業を余儀なくされる小規模事業主の方が増えると予想されます。

このタイミングだからこそ、少しでもみなさんの参考になればと思い、このような情報公開をしました。

同じように、飲食店を経営する一人の経営者として、みなさんで「チカラ」を合わせながらこの苦境を耐え抜きましょう。


※体験談は2020年6月のお話ですが、できるかぎり現在の情報も確認した上で記載いたしました。一方で、助成金規定の変更が随時おこなわれる場合もございますので、申請の際は必要に応じて窓口等へのご確認をお願いいたします。




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TOKYO MAPLE BUTTER
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