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問題Ⅱ-2の対策法:上下水道部門「下水道」~技術士第二次試験~

技術士第二次試験「選択問題Ⅱ-2」の対策法について、上下水道部門の「下水道」科目を対象として以下に私見を述べます。

【1】 注意事項

・100点の答えにはなりません
・60点を目指すヒントとして捉えてください
★あくまでも、自力で考えることを忘れないでください。


【2】 問題Ⅱ-2の過去問題

 「日本技術士会」HPに公表されていますので、上記リンクより参照してください。

【3】 過去問題の傾向の整理

3.1 過去問題の「テーマ」(△△△を○○○する or させる)

 過去問題の「テーマ」(△△△を○○○する or させる)は、非常に多岐にわたっている。H25年~R05年の問題Ⅱ-2の各テーマを以下に記載する。

 このテーマでは、後述3.2~3.4節に示す設問(1)~(3)の標準問題文に解答できるように、過去問題文を変更した。

 なお、R01年の試験制度改正前後で各問題のテーマの整理を区分する。

 3.1.1 H25~H30年(試験制度改正前)

1)H25(2013):Ⅱ-2-1
 
下水汚泥のエネルギー化技術の導入担当者として、事業手法や地球温暖化対策等を考慮しつつ業務を進める。

2)H25(2013):Ⅱ-2-2
 
既存の下水処理場において、新たに窒素を対象とする高度処理化を図るため、高度処理方法の選定を行うことになり、あなたがこの業務を担当者として進める。

3)H26(2014):Ⅱ-2-1
 我が国では、高度経済成長期以降に下水道整備が急速に進められ、管路施設や処理場等の下水道ストックが増大している。今までに整備された下水道施設は、日々劣化し、老朽化等による道路陥没の発生や処理機能の停止に陥る危険性があり、日常生活や社会活動への重大な影響が懸念されている。今後、さらに増加する下水道ストックや老朽化する下水道施設全体を将来にわたって適切に維持管理・改築・修繕していくための手法として、ストックマネジメントが着目されている。
 これらの背景を踏まえ、あなたが施設管理の担当責任者としてストックマネジメントを導入、実践する。

4)H26(2014):Ⅱ-2-2
 
1995年の阪神・淡路大震災以降、2004年の新潟県中越地震、2011年の東 日本大震災と、日本各地で頻繁に地震災害が起きている。一方、2001年のニューヨークWTCテロ以来、BCP ( 業務継続計画 ) は、企業の危機管理対策として重要な地位を占め、現在では、国や地方公共団体も、災害時などの危機に対応して行政サービス業務を継続することを目的とする公共版BCP ( 自治体BCP ) の策定に取り組み始めた。
 これらの背景を踏まえ、あなたが担当者として地方公共団体で下水道BCPの策定業務を進める。

5)H27(2015):Ⅱ-2-1
 
合流式下水道は汚水と雨水の対策を同時に進められるという利点はあるが、雨天時に雨水吐やポンプ場から未処理で放流される下水や、簡易処理により放流される下水は、その水量や水質により放流先である河川や海域の水質、生態系、水域の利用者の公衆衛生に影響を及ぼしている。
 これらの背景を踏まえ、合流式下水道の改善業務に携わる担当責任者として計画策定業務を進める。

6)H27(2015):Ⅱ-2-2
 
水環境の保全に当たっては、健全な水循環の構築の観点に加え、生物多様性や生態系の保全といった観点がこれまで以上に重要と認識されるとともに、人口減少や省エネルギー等の社会変化への対応など、下水道を取り巻く状況は変化してきている。
 このような変化を踏まえ、流域単位の水環境管理の取組みとして、流域別下水道整備総合計画の策定 (見直しを含む。) を下水道の技術者として検討する。

7)H28(2016):Ⅱ-2-1
 
A処理場は、日平均汚水量 4万m3/日であり、水処理方式は標準活性汚泥法、汚泥処理方式は分離濃縮 ( 最初沈殿池汚泥は重力濃縮、余剰汚泥は機械濃縮 ) 、脱水 ( ベルトプレス脱水機 ) を採用し、脱水した汚泥は埋立処分している。
 これらの状況を踏まえ、汚泥の減量化・有効利用、バイオガスの有効利用等を目的として、新たに嫌気性消化プロセスの導入について検討することになり、あなたがこの業務を進める。

8)H28(2016):Ⅱ-2-2
 
B市では、一定の計画規模で浸水対策施設の整備が進捗しているにもかかわらず、局地的な大雨により浸水被害が多発している。また、同市の財政状況は厳しく、早急かつ全面的な雨水整備水準の向上は困難である。こうした都市においては、これまでに築き上げられてきた施設や観測・施設情報等を活用し、浸水被害の軽減を図っていくことが有効である。
 このような状況を踏まえ、浸水対策に携わる下水道の担当責任者として計画策定業務を進める。

9)H29(2017):Ⅱ-2-1
 
下水道管の老朽化や腐食が想定される下水道整備区域において、予防保全型維持管理を前提に、修繕や改築を計画的に行うことが求められており、あなたがこの業務を進める。

10)H29(2017):Ⅱ-2-2
 
下水道整備が概成しているA市は、約30年経過した2箇所の標準活性汚泥法 ( 日平均汚水量5万m3/日、3万m3/日 ) の処理場、約15年経過した2箇所のオキシデーションディッチ法の処理場 ( 日平均汚水量1千、 2千m3/日 ) を有しており、現在の汚泥処理・処分方法は各処理場で脱水した後、外部搬出 ( 埋立処分 ) している。
 これらの状況を踏まえ、汚泥処理・処分のライフサイクルコスト縮減、汚泥の有効利用等を目的として、汚泥の集約処理について検討することになり、 あなたがこの業務を進める。

11)H30(2018):Ⅱ-2-1
 A市では高度成長期をピークに複数の下水処理場と管渠整備を進め概成しているが、計画当初と比べ、人口が減少に転じるなど社会情勢は大きく変化している。また、年数の経過とともに施設・設備が老朽化し、効率的な改築が大きな課題になっている。 
 そこで、下水処理場ごとに単独で改築対応を行うのではなく、A市内での下水処理場間ネットワークを組み込んだ下水道の再構築計画の策定を行うこととなり、あなたがこの業務を進める。

12)H30(2018):Ⅱ-2-2
 
A市は水処理能力20万m3/日の標準活性汚泥法の下水処理場を有しており、汚泥処理方式は、濃縮、消化、脱水、焼却の一連のプロセスで構成されている。下水道事業は地方公共団体の事業の中でも大量の温室効果ガスを排出している事業であり、今後も温室効果ガス排出量の増加要因が見込まれる事業であることを踏まえ、下水道溫暖 化対策推進計画を策定することになり、あなたがこの業務を進める。

 3.1.2 R01~R05年:(試験制度改正後)

1)R01(2019):Ⅱ-2-1
 地方の中核都市A市では、これまで汚水処理と雨水排除の整備区域を概ね同一として、計画降雨50mm/h ( 5年確率降雨 ) を計画区域全域における一律の整備目標とする下水道施設の整備を進めてきたが、雨水の未整備地区も多く残っており、従来の全体計画を見直す必要も生じている。
 これらの状況を踏まえ、計画的かつ効率的な浸水対策の施設整備を進めるため、雨水管理総合計画を策定することになり、あなたがこの雨水管理総合計画策定業務の担当責任者に選ばれた。

2)R01(2019):Ⅱ-2-2
 B市では1つの処理区による単独公共下水道の整備が概成し、処理能力50,000m3/日 ( 日最大 ) の下水処理場が稼働しているが、処理区域外の汲み取りし尿と浄化槽汚泥を収集処理していたし尿処理施設が老朽化したため、し尿・浄化槽汚泥を下水処理場で受け入れる検討が必要になった。下水処理場の水処理方式は標準活性汚泥法であり、また汚泥処理工程は濃縮→消化→脱水→場外である、
 これらの状況を踏まえ、下水処理場へし尿・浄化槽汚泥の受け入れ検討を進める。

3)R02(2020):Ⅱ-2-1
 A市は下水処理場2箇所、汚水ポンプ場6箇所、マンホールポンプ場20箇 所、雨水ポンプ場3箇所の下水道施設を有しており、10年前に下水道BCP ( 地震編 ) を策定している。
 しかし、東日本大震災や熊本地震の教訓や事例を踏まえて下水道BCPを見直すことになり、あなたがこの業務の担当責任者に選ばれた。 

4)R02(2020):Ⅱ-2-2
 B市公共下水道の終末処理場は、処理能力 ( 日最大 ) 30,000m3/日 ( 標準活性汚泥法 ) で稼働しているが、供用開始後40年を経過し、当初計画していた流入水量や流入水質等の計画諸元が現状と乖離している。
 これらの状況を踏まえ、現有の水処理施設の能力評価を踏まえた改築更新計画を策定する。

5)R03(2021):Ⅱ-2-1
 大規模な地震時においても下水道が有すべき機能を維持するため、既存の下水道施設への地震対策が必要である。そこで、重要な下水道施設の耐震化を図る「防災」と被災を想定して被害の最小化を図る「減災」を組合せた下水道総合地震対策を計画することになり、あなたが業務責任者として選任された。

6)R03(2021):Ⅱ-2-2
 地方のある中核都市A市は、全体計画では処理施設を高度処理と位置付けているものの、現在まで標準活性汚泥法で運転を行ってきた。近年、建設当初と比べて下水道普及率の向上等により水量・水質が変化しており、また機械・電気設備の老朽化が進行していることから、標準法として供用中の施設において、部分的な施設・設備の改造や運転管理の工夫により、早期かつ安価に高度処理化を図る「段階的高度処理」へと移行するための更新計画を立案し、実行に移すこととなり、あなたが本更新計画の業務責任者として選任された。
 一方、財政難、運転管理職員の減少等、下水道事業環境は厳しい状況にある。

7)R04(2022):Ⅱ-2-1
 近年、都市化の進展等に伴う浸透面積の減少により雨水の流出量が増え、河 川や下水道にかかる負荷が増加していることに加え、気候変動の影響等により大雨等が頻発し、内水氾濫が発生するリスクが増大している。また、令和3年には「特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律」 が施行され、流域治水の取組が法的にも加速されることとなった。
 このような状況の中、ある流域において流域治水を考慮した「気候変動を踏まえた下水道による都市浸水対策計画の策定」 をすることになり、あなたがこの業務の担当者 に選ばれた。

8)R04(2022):Ⅱ-2-2
 A市は、下水道事業費の削減や市の脱炭素化の推進等を目的に、処理能力100,000m/日、水処理方式は標準活性汚泥法、汚泥処理方式は重力及び機械濃縮、脱水、焼却で稼働しているA市唯一のB終末処理場を対象に汚泥消化の導入を検討することとし、あなたが業務責任者として選任された。

9)R05(2023):Ⅱ-2-1
 A市は、下水道の整備を開始してから45年が経過する。下水道管の老朽化や腐食の進行が想定される下水道整備区域において、修繕や改築を計画的かつ効率的に行うための実施計画の策定が求められており、あなたが、この業務の担当責任者に選ばれた。
 設問(1)では、標準問題文を「『テーマ』を進めるに当たって、点検・調査手法と、その結果を踏まえて検討すべき事項とその内容について説明せよ。」とおきかえて解答せよ。
 また、設問(2)では、修繕か改築かの選択を考慮した上で、標準問題文に対して解答せよ。

10)R05(2023):Ⅱ-2-2
 近年、全国で発生している災害を受け、国では「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」を実施している。このような状況において、B市では古くから下水道整備が進み、多くのストックを保有する中、豪雨による洪水や内水氾濫の被害が想定されている。また、大規模地震による被害も想定されていることから、下水道事業において災害を未然に軽減・防止する対策計画の策定が急務となっている。
 これらの状況を踏まえ、あなたがこの災害軽減・防止対策計画を策定する業務の担当として選ばれた。
 設問(2)では、災害軽減・防止対策の項目を業務遂行順に列挙した上で、標準問題文に対し解答せよ。

 3.1.3 「テーマ」設定の有効性

 これらの「テーマ」(△△△を○○○する or させる)を参考に、「下水道」科目に関する各受験生の経験業務または最近のトピックを抽出することが、R06年以降の想定問題作成に有効と考える。

3.2 設問(1)の傾向・対策 ~標準問題文の設定~

 R01年以降、設問(1)~(3)の問題文は、部門・科目により違いがあるものの、おおむね統一されている。「下水道」科目のR01年以降の設問(1)では、年度及び問題番号によって多少異なるものの、以下の問題文でほぼ共通である。

★「テーマ」(△△△を○○○する or させる)を進めるに当たって、調査・検討すべき事項とその内容について説明せよ。

 R06年以降の設問(1)は、上記問題文をベースとして出題されると考え、後述4節の標準問題文として設定する。

3.3 設問(2)の傾向・対策 ~標準問題文の設定~

 R01以降、「下水道」科目の設問(2)は、年度及び問題番号によって多少異なるものの、以下の問題文でほぼ共通である。

★「テーマ」を進める手順を列挙して、それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する点を述べよ。

 R06年以降の設問(2)は、上記問題文をベースとして出題されると考え、後述4節の標準問題文として設定する。

3.4 設問(3)の傾向・対策 ~標準問題文の設定~

 R01以降、「下水道」科目の設問(3)は、以下の問題文でほぼ共通である。

★「テーマ」を効率的、効果的に進めるため、関係者と調整する内容とその方策について述べよ。

 R06年以降の設問(3)は、上記問題文をベースとして出題されると考え、後述4節の標準問題文として設定する。

【4】 問題Ⅱ-2対策

 「下水道」科目の問題Ⅱ-2対策として、前述した内容を踏まえ、以下に示す3つのレベルに対応する想定問題を作成し、その問題への解答論文の作成を提案する。さらに、本対策では既技術士等に添削を受けることで、解答の質を上げられると考える。
 なお、各レベルの課題文{設問(1)より手前の問題文}は、受験生各自で設定してください。

4.1 レベル1

 「テーマ」(△△△を○○○する or させる)として、R01~R05年過去問題の課題文{3.1.2節 参照}のいずれかを選択し、以下の(1)~(3)の各設問に解答せよ。

(1)「テーマ」(△△△を○○○する or させる)を進めるに当たって、調査・検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)「テーマ」を進める手順を列挙して、それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する点を述べよ。
(3)「テーマ」を効率的、効果的に進めるため、関係者と調整する内容とその方策について述べよ。

4.2 レベル2

 「テーマ」(△△△を○○○する or させる)として、H25~H30年過去問題の課題文{3.1.1節 参照}のいずれかを選択し、以下の(1)~(3)の各設問に解答せよ。

(1)「テーマ」(△△△を○○○する or させる)を進めるに当たって、調査・検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)「テーマ」を進める手順を列挙して、それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する点を述べよ。
(3)「テーマ」を効率的、効果的に進めるため、関係者と調整する内容とその方策について述べよ。

4.3 レベル3

 「テーマ」(△△△を○○○する or させる)として、「下水道」科目に関する各受験生の経験業務または最近のトピックを1つ挙げ、以下の(1)~(3)の各設問に解答せよ。

(1)「テーマ」(△△△を○○○する or させる)を進めるに当たって、調査・検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)「テーマ」を進める手順を列挙して、それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する点を述べよ。
(3)「テーマ」を効率的、効果的に進めるため、関係者と調整する内容とその方策について述べよ。

【5】 添削を受け付けております!

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おわり


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