見出し画像

問題Ⅲの対策法:建設部門「鋼構造及びコンクリート」~技術士第二次試験~


★ 過去問解答例のお知らせ(有料記事)



本記事では、技術士第二次試験「選択問題Ⅲ」の対策法について、建設部門の「鋼構造及びコンクリート」科目を対象として、以下に私見を述べます。

【1】 注意事項

・100点の答えにはなりません
・60点を目指すヒントとして捉えてください
★あくまでも、自力で考えることを忘れないでください。


【2】 問題Ⅲの過去問題

 「日本技術士会」HPに公表されていますので、上記リンクより参照してください。

【3】 出題グループの変遷

 技術士第二次試験は、全部門・科目において、R01年試験制度改正により、H30年以前とR01年以降で問題文に変更があった。

 さらに「鋼構造及びコンクリート」科目において、R01年以前では問題文が ❝ 鋼構造 ❞ グループと ❝ コンクリート ❞ グループに分けて出題されていたが、R02以降では、これら2グループの問題文が統一された。

 これらの変遷を踏まえ、次節以降の過去問題の傾向の整理では、H30年以前、R01年、R02年以降に区分して記載する。

【4】 過去問題の傾向の整理

4.1 過去問題の「テーマ」(△△△を○○○する or させる)

 過去問題の「テーマ」(△△△を○○○する or させる)は、非常に多岐にわたっている。H25年~R05年の問題Ⅲの各テーマを以下に記載する。

 このテーマでは、後述4.2~4.4節に示す設問(1)~(3)の標準問題文に解答できるように、過去問題文を変更した。

 なお、R01年の試験制度改正前後で各問題のテーマの整理を区分する。

 4.1.1 H25~H30年:鋼構造(試験制度改正前)

1)H25(2013):Ⅲ-1
 我が国では、高度経済成長期以降に集中的に整備された社会資本の老朽化が進んでおり、重大な事故リスクの顕在化や、維持修繕費の急激な高まりが懸念される。厳しい財政状況や熟練技術者の減少という状況において、事故を未然に防ぎ、予防保全によるインフラのライフサイクルコストの最小化を実現するためには、情報化を積極的に活用したインフラマネジメントが必要である。国土交通省においては、ICTの利活用及び技術研究開発が推進されており、戦略的イノベーション創造プログラム (SIP) においては、インフラ維持管理・更新・マネジメント技術が研究開発されている。
 このような状況を踏まえ、鋼構造物を合理的に維持管理するうえで、情報化の取組を推進する。

2)H25(2013):Ⅲ-2
 
兵庫県南部地震(1995年)や東北地方太平洋沖地震(2011年)などでは、設計では対象としていなかった地震動や津波などにより、構造物が大きな損傷を受け、多くの人命や財産を失ったりした。 また、予期しない事象によって部材が損傷したり破断したりして事故に至った事例もある。このような「想定外」事象を受け、技術基準や維持管理基準の見直し、関連技術の開発が現在、 行われている。 例えば、 構造物設計の分野では、地震や津波などの作用外力の適切な設定や、設定を超える外力が作用した場合の構造物が保持すべき性能の設定、被害減少のための措置などが検討されている。
 このような状況を踏まえ、鋼構造の分野において、あなたが考える「想定外」が問題となる事象を解決する。
 ただし、ここでは、設計で対象としていない事象や、予期していない事象の場合を、いわゆる 「想定外」 としてとらえることとする。
 また、設問(1)では、「想定外」が問題となる事象を示した上で、標準問題文に対し解答せよ。

3)H26(2014):Ⅲ-1
 
平成25年12月に国土強靱化基本法が成立し、さらに国土強靱化政策大綱が示され、国土強靱化を推進する体制が整ったと言える。東日本大震災を経験し、首都直下型地震や 南海トラフ地震の発生が懸念されるいま、「大規模自然災害等に対して人命を守り、経済社会への被害が致命的なものにならず回復する」という基本法のねらいは喫緊の課題と言える。
 このような状況を考慮し、鋼構造物の分野において、国土強靱化を行う。

4)H26(2014):Ⅲ-2
 
日本の総人口は、2008年をピークに減少に転じており、我が国はこれまで経験し たことのない高齢化社会を迎えつつある。建設業界においては、熟練労働者の高齢化などによる労働力不足が顕在化しており、鋼構造物の分野においても労働力不足が種々の問題を生じさせている。
 このような状況を踏まえ、鋼構造物の分野における労働力不足を解決する。

5)H27(2015):Ⅲ-1
 
我が国の総人口は、明治期以降毎年平均1%で増加を続けてきたが、現在は増加から長期的な減少過程に入り、2010年から約40年かけて、2050年にはほぼ50年前 (1965年) の人口規模に戻っていくことが予想されている。1965年の従属人口指数47が2050 年には94になり、2050年の生産年齢人口は、ほぼピークであった1995年の57%程度になると予想され、1965年において働く人2人で子どもや高齢者1人を支える社会であったものが、2050年には働く人1人で子どもや高齢者1人を支える社会になると予想されている。建設業界においては、社会資本ストックが増加しているなか、生産年齢人口の減 少、生産年齢人口の減少に伴う社会経済の変化などが深刻な問題となっている。
 このような状況を踏まえ、鋼構造物の分野における課題を解決する。

6)H27(2015):Ⅲ-2
 
「国土のグランドデザイン2050~対流促進型国土の形成〜」が平成26年7月4日 に公表された。国土が、国民の幸せな暮らしを実現する舞台であることを意識し、急速に進む人口減少や巨大災害の切迫等、国土を巡る大きな状況の変化や危機感を共有しつつ、 2050年の未来に向けた国土づくりの理念や考え方が示された。我が国が今後直面すると考えられる国家衰亡の幾多の難局を乗り越えるため国民の叡智を結集して、国土デザイン の3つの基本理念:「多様性 (ダイバーシティ) 」、「連携 (コネクティビティ) 」、「災害へ の粘り強くしなやかな対応 (レジリエンス) 」に基づき新たな国土政策を立案しようとするものである。
 このような状況を踏まえ、鋼構造物の分野における課題を解決する。

7)H28(2016):Ⅲ-1
 
我が国では、現在、高度成長期に整備された社会インフラの老朽化対策が重要な課題となっている。国土交通省では、所管するあらゆるインフラの維持管理・更新等を着実に推進するための中長期的な取組の方向性を明らかにするため、 平成26年5月に「国土交通省インフラ長寿命化計画 ( 行動計画 ) 」をとりまとめ、新設から撤去までの、いわゆ るライフサイクルの延長のための対策という狭義の長寿命化の取組に留まらず、更新を含 め、将来にわたって必要なインフラの機能を発揮し続けるための取組を実行することとし た。例えば、道路分野では、今後10年間で全国の道路橋約70万橋の40%以上が建設後50 年を超えると見込まれており、損傷が深刻化してから大規模な修繕を行う事後保全から、損傷が軽微なうちに修繕を行う予防保全に転換し、 更新 ( 架け替え ) の抑制等によるライ フサイクルコストの縮減及び道路ストックの長寿命化が喫緊の課題となっている。
 このような状況を踏まえ、鋼構造の分野における課題を解決する。

8)H28(2016):Ⅲ-2
 
我が国の先進的な技術・ノウハウ・制度は世界トップ水準にも関わらず、厳しい国家間競争の中で、価格をはじめとする相手国や企業におけるニーズへの対応力の差、優れた機器や技術をもとにしたマーケティング、 ブランディングといった経営面でのノウハウの不足、運営維持管理まで含めた受注体制が整っていないなどの要因で、受注実績の向上には繋がっていない。そこで、我が国の企業によるインフラシステムの海外展開や、エネルギー・鉱物資源の海外権益確保を支援するとともに、我が国の海外経済協力に関する重要事項を議論し、戦略的かつ効率的な実施を図るため、平成25年3月に経協インフラ戦略会議が立ち上げられ、海外でのインフラシステム受注額を2020年には約30兆円に増大させる「インフラシステム輸出戦略」が策定された。
 このような状況を踏まえ、鋼構造の分野におけるグローバル競争力強化に向けての戦略的取組を推進する。

9)H29(2017):Ⅲ-1

 現在、我が国の建設産業では、バブル経済崩壊後の労働力過剰時代から高齢化等の理由で技能労働者の約3分の1が今後10年間で離職する労働力不足時代へ変化すると予想されている。このような状況のもと効率的かつ効果的な社会資本整備をすすめ、経済成長をはかりながら将来にわたる社会資本の品質確保を実現するため、 国土交通省では2016年を「生産性革命元年」と位置づけ、 建設生産システムの省力化・効率化・高度化を通じた生産性の向上に取り組むことを宣言している。 現在、この宣言に基づき、生産性向上に資する様々な取組が推進されており、例えば、ICT技術を全面的に利活用するなどしたi-Constructionもその1つである。
 このような状況を踏まえ、鋼構造の分野における生産性向上に向けた取組を推進する。

10)H29(2017):Ⅲ-2
 
我が国では、近年、平成23年3月東日本大震災、平成26年8月豪雨、平成27年9 月関東・東北豪雨、平成28年4月熊本地震など、各地で自然災害が発生している。 このように、連続する大規模地震、津波や集中豪雨のように、いままで経験したことのない自然災害が発生している。
 このような状況を踏まえ、鋼構造の分野において、我が国の自然災害に対するインフラ、 公共施設の社会資本の防災・減災に向けた対策を講じる。

11)H30(2018):Ⅲ-1
 
我が国では、高度経済成長期以降に集中的に整備された社会資本の老朽化が進んでおり、重大な事故リスクの顕在化や、維持修繕費の急激な高まりが懸念される。厳しい財政状況や熟練技術者の減少という状況において、事故を未然に防ぎ、予防保全によるインフラのライフサイクルコストの最小化を実現するためには、情報化を積極的に活用したインフラマネジメントが必要である。国土交通省においては、ICTの利活用及び技術研究開発が推進されており、戦略的イノベーション創造プログラム (SIP) においては、インフラ維持管理・更新・マネジメント技術が研究開発されている。
 このような状況を踏まえ、鋼構造物を合理的に維持管理するうえでの、情報化の取組を推進する。

12)H30(2018):Ⅲ-2
 
兵庫県南部地震 (1995年) や東北地方太平洋沖地震 (2011年) などでは、設計では対象としていなかった地震動や津波などにより、構造物が大きな損傷を受け、多くの人命や財産を失ったりした。また、予期しない事象によって部材が損傷したり破断したりして事故に至った事例もある。このような「想定外」事象を受け、技術基準や維持管理基準 の見直し、関連技術の開発が現在、行われている。例えば、構造物設計の分野では、地震や津波などの作用外力の適切な設定や、設定を超える外力が作用した場合の構造物が保持すべき性能の設定、被害減少のための措置などが検討されている。なお、ここでは、設計で対象としていない事象や、予期して いない事象の場合を、いわゆる 「想定外」 としてとらえることとする。
 このような状況を踏まえ、鋼構造の分野において 「想定外」が問題となる事象への対策を講じる。

 4.1.2 H25~H30年:コンクリート(試験制度改正前)

1)H25(2013):Ⅲ-3
 
我が国では、近年、異常気象による豪雨や豪雪、火山の噴火、地震等による自然災害が頻発している。このような中、国民の安全を守るためには、より一層の防災・減災対策を行っていく必要がある。
 このような状況を踏まえ、コンクリートに携わる技術者として、防災・減災対策を推進する。

2)H25(2013):Ⅲ-4
 近年の建設業界では、就業者の高齢化や熟練技術者の減少等の問題が深刻化している。その中で、設計・施工技術等のハード面及び仕組み作り等のソフト面の双方で生産性の向上への取組が盛んに行われている。
 このような状況を踏まえ、コンクリート構造物の建設において生産性を向上するため、ハード面及びソフト面の両者を活用する。

3)H26(2014):Ⅲ-3
 
近年、震災復興事業の本格化や東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う首都圏の社会資本の大規模更新など、特定の地域における建設需要の増大が見込まれていた。一方、他の地域においては、限られた財源の下で必要な社会資本を整備し、また、老朽化する大量の社会資本にも適切に対処していく必要がある。
 このような状況を考慮し、特定地域・比較的短期間における急激な市場規模・市場構造の変化等に対応し、コンクリート構造物を建設する。

4)H26(2014):Ⅲ-4
 高度成長期以降に集中的に整備された社会インフラは老朽化が進展し、維持管理上の問題が顕在化している。一方、これに関わる予算や労働力といった資源の投入は今後も困難なことが予測されている。
 このような状況を考慮し、コンクリート構造物の維持管理の負担を軽減する。ただし、地震などの災害による非常時の維持管理は含まないものとする。

5)H27(2015):Ⅲ-3
 
東日本大震災から10年以上が経過し、復興事業が各地で進められているものの、入札不調、工事進捗や予算執行の問題等から復興工事の遅れが目立っている。
 このような中で、復興事業に影響のある社会的背景を考慮し、特にコンクリート構造物の建設を加速する。なお、ハード・ソフト両面の多様な観点か ら述べよ。

6)H27(2015):Ⅲ-4
 
現在整備されている社会資本の多くは、整備の時期や各々が有する機能、設置環境が異なる他、劣化や損傷の状態もさまざまで時々刻々変化している。こうした既存ストッ クを今後も有効に活用するためには、劣化や損傷といった変状を早期に発見・診断し、その結果に基づいて的確に対策を行い、これらの履歴等を記録して次の点検・診断に活用するという維持管理の業務サイクルの実施が必要となる。
 このような状況を考慮し、コンクリート構造物において、維持管理の業務サイクルを実施する。

7)H28(2016):Ⅲ-3
 
限られた財源の中、建設総投資における社会ストックに対する維持管理費の比率が益々増加する傾向にある。その一方で、建設段階の初期欠陥による供用開始後の早期劣化や計画供用期間中の劣化現象が発生している。したがって、今後建設される社会資本は所定の品質が確保され、期間供用できるものでなくてはならない。
 このような状況を踏まえ、今後建設されるコンクリート構造物の品質を確保する。

8)H28(2016):Ⅲ-4
 集中豪雨による土砂災害や河川の氾濫などが多発し、国民の安全安心の観点から、地球的な気候変動がクローズアップされている。気候変動の要因として、地球温暖化に影響が大きい温室効果ガスが挙げられ、特に二酸化炭素排出量の削減が大きな課題となっている。
 建設分野から排出される二酸化炭素量は全産業の2割を超える量と推定されている背景を踏まえ、建設分野で特にコンクリート構造物の建設から維持管理・解体に至るまでの二酸化炭素量削減を推進する。

9)H29(2017):Ⅲ-3
 
近年、建設業界においては、就労者の高齢化や若手入職者の減少等が課題となっている。また、社会資本の大規模更新や震災復興事業が増加しており、生産性向上が求められている。一方で、生産性向上と同時に構造物の品質確保が重要となる。
 このような観点 から、コンクリート構造物の建設において、建設現場の生産性を向上させる。

10)H29(2017):Ⅲ-4
 
社会インフラの高齢化・老朽化に伴い、その維持管理のための予算や人材の不足が深刻化している。その中で、確実かつ効率的なインフラの維持管理を行うためには、技術開発等のハード面及び仕組み作り等のソフト面の双方での対策が求められている。
 このよ うな状況を背景に、コンクリート構造物の維持管理を確実かつ効率的に、ハード面とソフト面の観点から行う。

11)H30(2018):Ⅲ-3
 我が国では、近年、異常気象による豪雨や豪雪、火山の噴火、地震等による自然災害が頻発している。このような中、国民の安全を守るためには、より一層の防災・減災対策を行っていく必要がある。
 このような状況を踏まえ、 コンクリートに携わる技術者として、防災・減災対策を実施する。

12)H30(2018):Ⅲ-4
 
近年の建設業界では、就業者の高齢化や熟練技術者の減少等の問題が深刻化している。その中で、設計・施工技術等のハード面及び仕組み作り等のソフト面の双方で生産性の向上への取組が盛んに行われている。
 このような状況を踏まえ、コンクリート構造物の建設において、ハード面及びソフト面の両面から生産性を向上する。

 4.1.3 R01年:鋼構造(試験制度改正後)

1)R01(2019):Ⅲ-1
 
鋼構造物の工場製作又は架設 (建て方) において、 労働災害の防止対策の必要性が高まっており、さまざまな作業環境に起因した労働災害を防止するための対策を実施する。
 設問(1)では、鋼構造の技術者の立場で、標準問題文に対し解答せよ。 

2)R01(2019):Ⅲ-2
 鋼構造物には通常の供用時における外力や環境条件などによる経年劣化に加え、豪雨、地震、火山噴火などの自然現象や車両・船舶等の衝突などの人的過誤によっても、損傷が発生しうる。構造安全性を損なう劣化・損傷を受けた場合、 速やかに適切な補修・補強策や再発防止策を立案する必要がある。
 設問(1)では、その立案を担当する鋼構造の技術者の立場で、構造安全性を損なう劣化・損傷を1つ想定し、その発生状況を概説した上で、標準問題文に対し解答せよ。ただし、疲労き裂は除くものとする。

 4.1.4 R01年:コンクリート(試験制度改正後)

1)R01(2019):Ⅲ-3
 
新興国・開発途上国が経済成長を図る上でインフラの整備は重要な課題であり、大量の需要が見込まれている。我が国は、質の高いインフラ整備を通して関係国の経済や社会的基盤強化に貢献するため、インフラシステムの海外展開に積極的に取り組んでいる。
 このような状況下で、 あなたがコンクリート技術者として海外インフラ整備に従事する機会を得て、上記の取り組みに貢献する。

2)R01(2019):Ⅲ-4
 
平成27年末に開催された気候変動枠組条約第21回締約国会議 (COP21) においてパリ協定が締結され、これを踏まえ我が国では二酸化炭素等の温室効果ガスの中長期削減目標が示され、この達成に向けて取り組むことが定められている。 建設分野のうち、コンクリート構造物の企画・設計・施工・維持管理・更新に至るまでの活動において、多くの二酸化炭素等の温室効果ガスが排出されている。
 この現状を踏まえ、二酸化炭素等の温室効果ガスを削減する。
 設問(1)では、コンクリートに携わる技術者の立場で、標準問題文に対し解答せよ。 

 4.1.5 R02~R05年:共通(試験制度改正後)

 (「鋼構造」と「コンクリート」の問題文が共通)

1)R02(2020):Ⅲ-1
 国土交通省は、調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までの全ての建設生産プロセスでICT等を活用する「i-Construction」を推進し、建設現場の生産性を、2025年度までに2割向上させることを目指している。建設業で生産性を低下させている要因の1つとして、2次元の紙の図面で各種作業を進めていることが挙げられることから、建設生産・管理システムでも3次元モデルを利活用することで、全体の効率化・高度化を図る、いわゆるBIM/CIMが生産性革命のエンジンとして推進されている。
 このような状況を踏まえ、BIM/CIMを導入してその業務の生産性を向上する。
 設問(1)では、鋼構造あるいはコンクリートに関わる技術者の立場で、BIM/CIMの活用により生産性の向上が期待できる業務を1つ挙げた上で、標準問題文に対し解答せよ。 

2)R02(2020):Ⅲ-2
 
鋼構造又はコンクリートの分野において、コスト縮減や技術開発の促進、 アカウンタビリティーの向上、国際化への対応等を図ることを目的として、性能規定化を一層推進させる取組が実施されている。しかしながら、様々な理由・課題により性能規定化の推進はいまだ十分とは言い難い。
 これらの状況を踏まえ、設計・施工において、性能規定化を推進する。
 設問(1)では、鋼構造又はコンクリートに関わる技術者の立場で、標準問題文に対し解答せよ。  

3)R03(2021):Ⅲ-1
 建設分野において、BIM/CIMモデルやICT技術の活用が求められる一方で、建設・維持管理の現場では、より一層、新材料・新工法が適用され、品質の向上や作業の効率化が図られることに期待が持たれている。
 このような状況を踏まえ、建設・維持管理の現場において、新材料・新工法を活用する。
 設問(1)では、鋼構造及びコンクリートに関わる技術者の立場で、標準問題文に対し解答せよ。ただし、BIM/CIMモデルの活用は含めないものとする。

4)R03(2021):Ⅲ-2
 我が国では、大量の鋼構造物やコンクリート構造物の維持管理が社会問題となっている。特に、従来からの事後保全型メンテナンスには限界が叫ばれ、 持続可能なメンテナンスサイクルの実現に向けて、新しいメンテナンス手法の導入やシナリオの転換が求められている。
 近年、予防保全型メンテナンスが期待されているものの、未だその推進は十分とは言い難いのが現状である。このような現状に対しする解決策を提案する。
 設問(1)では、鋼構造及びコンクリートの技術者としての立場で、標準問題文に対し解答せよ。

5)R04(2022):Ⅲ-1
 我が国は、老朽化する社会インフラが急速に増えていく時代に直面している。これらの社会インフラに対し効果的に老朽化対策を進めるためには、 限られた財源を有効に活用できる方策が重要である。
 このような状況を踏まえ、社会インフラに対する老朽化対策を立案ために、膨大な数の構造物に対策の優先順位をつける。
 設問(1)では、鋼構造及びコンクリートの技術者としての立場で、標準問題文に対し解答せよ。 

6)R04(2022):Ⅲ-2
 建設分野では、原材料の調達、製造、施工までを行う多様な工種があり複雑を極める。そこで、 i-construction 推進の方策の1つである最先端のサプライチェーンマネジメントの導入を掲げ、生産性向上を目指している。
 この背景を踏まえ、建設分野において、 サプライチェーンマネジメントをより積極的に推進する。
 設問(1)では、鋼構造及びコンクリートの技術者としての立場で、標準問題文に対し解答せよ。 

7)R05(2023):Ⅲ-1
 我が国の生産年齢人口は1995年をピークに減少局面に突入しており、建設業就業者数も減少の一途を辿っている。今後10年間には、熟練技術者の大量離職も見込まれていることから、継続的な技術・技能の伝承を図るとともに、次世代を担う技術者の育成を行っていく必要がある。
 このような状況を踏まえ、今後、減少していく熟練技術者の技術・技能、建設業界として培ってきた技術を伝承するとともに、次世代の技術者の育成を図る。
 設問(1)では、鋼構造及びコンクリートの技術者としての立場で、標準問題文に対し解答せよ。  

8)R05(2023):Ⅲ-2
 建設業では建設技術者の不足や高齢化が深刻な課題であり、業務の効率化が進められている。また、長時間労働是正に向けた働き方改革を進めるうえでも業務の効率化が求められている。
 このような状況を踏まえ、省力化や働き方改革等に向けた鋼構造物又はコンクリート構造物の調査、設計、製作、施工、維持管理の業務効率化の取組における技術的課題を解決する。

 4.1.6 「テーマ」設定の有効性

 これらの「テーマ」(△△△を○○○する or させる)を参考に、「鋼構造及びコンクリート」科目に関する各受験生の経験業務または最近のトピックを抽出することが、R06年以降の想定問題作成に有効と考える。

4.2 設問(1)の傾向・対策 ~標準問題文の設定~

 R01年以降、設問(1)~(3)の問題文は、部門・科目により違いがあるものの、おおむね統一されている。「鋼構造及びコンクリート」科目のR01年以降の設問(1)では、年度及び問題番号によって多少異なるものの、以下の問題文でほぼ共通である。

★「テーマ」の実現に当たって、多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。

 R06年以降の設問(1)は、上記問題文をベースとして出題されると考え、後述5節の標準問題文として設定する。

4.3 設問(2)の傾向・対策 ~標準問題文の設定~

 R01以降、「鋼構造及びコンクリート」科目の設問(2)は、年々変化しているものの、以下の問題文で大局的にほぼ共通である。

★前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、これを最も重要とした理由を述べよ。 その課題に対する複数の解決策を、専門技術用語を交えて示せ。

 R06年以降の設問(2)は、上記問題文をベースとして出題されると考え、後述5節の標準問題文として設定する。

4.4 設問(3)の傾向・対策

 R01以降、「鋼構造及びコンクリート」科目の設問(3)は、年々変化しているものの、以下の2ケースの問題文で大局的にほぼ共通である。

★前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

★前問(2)で示したすべての解決策を実行して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。

 R06年以降の設問(2)は、上記問題文をベースとして出題されると考え、後述5節の標準問題文として設定する。

【5】問題Ⅲ対策

 「鋼構造及びコンクリート」科目の問題Ⅲ対策として、前述した内容を踏まえ、以下に示す3つのレベルに対応する想定問題を作成し、その問題への解答論文の作成を提案する。さらに、本対策では既技術士等に添削を受けることで、解答の質を上げられると考える。
 なお、各レベルの課題文{設問(1)より手前の問題文}は、受験生各自で設定してください。

5.1 レベル1

 「テーマ」(△△△を○○○する or させる)として、R01~R05年過去問題の課題文{4.1.3~4.1.5節 参照}のいずれかを選択し、以下の(1)~(3)の各設問に解答せよ。なお、設問(3)はa)またはb)のいずれかを選択して解答せよ。

(1)「テーマ」の実現に当たって、多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、これを最も重要とした理由を述べよ。 その課題に対する複数の解決策を、専門技術用語を交えて示せ。

(3)a)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

(3)b)前問(2)で示したすべての解決策を実行して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。

5.2 レベル2

 「テーマ」(△△△を○○○する or させる)として、H25~H30年過去問題の課題文{4.1.1~4.1.2節 参照}のいずれかを選択し、以下の(1)~(3)の各設問に解答せよ。なお、設問(3)はa)またはb)のいずれかを選択して解答せよ。

(1)「テーマ」の実現に当たって、多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、これを最も重要とした理由を述べよ。 その課題に対する複数の解決策を、専門技術用語を交えて示せ。

(3)a)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

(3)b)前問(2)で示したすべての解決策を実行して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。

5.3 レベル3

 「テーマ」(△△△を○○○する or させる)として、「鋼構造及びコンクリート」科目に関する各受験生の経験業務または最近のトピックを1つ挙げ、以下の(1)~(3)の各設問に解答せよ。なお、設問(3)はa)またはb)のいずれかを選択して解答せよ。

(1)「テーマ」の実現に当たって、多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、これを最も重要とした理由を述べよ。 その課題に対する複数の解決策を、専門技術用語を交えて示せ。

(3)a)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

(3)b)前問(2)で示したすべての解決策を実行して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。


【6】添削を受け付けております!

 私、小泉は、有料で添削を受け付けております。
 ご希望の方は、私のX(旧Twitter)またはInstagramのDMへ
 メッセージをお送りください。
 詳細は折り返しお知らせいたします。

 X(旧Twitter):https://twitter.com/shiroh_k_2

 Instagram :https://www.instagram.com/shiroh_koizumi/

おわり

よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!