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SOSOの素(6)

思い通りにいかない

もと思い通りにいかないなーとよく思う。
制作も仕事も人間関係も。些細なことで予定は狂い、全てがズレていく。
そのズレを修正しているそばからまたズレて気がつけば本線から大きく外れている。
ミスや不可抗力、予定の甘さ、様々な要因が思い通りにいかない原因だけど努力次第でなんとかなるものもあれば、どうにもできないこともある。

自分の想像力の中の世界は広いようで狭く、偏っている。だけど何かを考えている時にそのことを忘れ自分都合の勝手な予定を立てていることがほとんどで、その自分都合の勝手な予定がその通りにならないだけで思い通りにならないことに不満が募らせることも多かった。

自分で展示などを企画しているとあらゆることを想定しながら物事を進めていく。内容はもとより、どのくらい来てくれそうか、後半はまばらになるから何かイベントを足してみようなどなど。野外でやる場合は天候は一番気になるところで1週間前から頻繁に天気予報を確認する。作家さんにお願いする場合もお願いする以上展示してよかったと思ってもらえるようにしたいから告知を多くする。その全ては展示が始まって終わってみないとわからない。他のお店で展示をする時もどのくらい商品が動きそうか、足らなくならないようにしたいし、多く作りすぎてあまり動かないとお店の方に気を使わせてしまうなんてことも考える。

そういった自分でなんとかできる部分と自分ではどうにもできない部分の間を右往左往しながらストレスをためながら頑張っていたけど、完璧にしようと思えば思うほど展示当日などに疲れ切って余裕があまり持てないことが多いことにある時気がついた。なんでこんなに疲れてるんだろう?自分がやりたくてやってることなんだからもっと楽しくやれそうなのに疲労困憊で朦朧としていては全然楽しめない。なんのためにやってるんだろう?そんなモヤモヤがはっきりとした言葉で出てくるようになった。

そしてある時に思い通りにしようと思わないようにしようと決めた。

展示のための在庫は早めに取り掛かり、余裕を持った予定の中でその途中に急遽やらないといけないことが出て来ても対応できるようにしながら締め切りギリギリの2歩手前くらいまでにできた分だけにする。自分がコントロールできる部分はしっかりやって、天気やお客さんの入り方などコントロールのできない部分は気にしない。気にしてもどうしようもないからさ。そう考え、実行していくと不思議とミスも少なくなりいつもよりも多く在庫を作れたり、急なことにも快く対応でき、毎日の気分も晴れやかで疲れない。予想よりもたくさん売れて商品がなくなった場合は申し訳ないなーとは思うけど、精一杯頑張ったから仕方がないかと思えたし、また次回になんてお客さんの次の約束ができる。もしも悪天候や思いがけないことでお客さんが少なくても在庫が残って次の機会まで時間に余裕が生まれたと思えた。

そんな経験をすると「思い通りにいかない」って悪いことじゃないのかもと思えるようになってきた。思い通りにいかないは思いもよらぬ嬉しい出来事も含まれている。前から一度お会いしたいなーと思ってた方が友達の友達だったり、たまたまふらりと寄った場所で10年ぶりくらいの旧友とばったり会ったり、憧れていた雑誌から取材をしていただけたりなんてのは狭く偏った僕だけの頭の中では予定に入って来ないし、それを入れてるくらい無駄なことを考えてるうちはやってこない気がする。

他の方と関わって仕事をする時はこちらの意図や意思ははっきり伝えつつ、先方の動きにどんな形ででも対応できるように心がけておくようにしている。そうするとこちらの思わぬ魅力に気づかせてくれる提案をしてもらえることも多い。これが自我だけに捉われて思い通りに進めていくと起こらないしスムーズにことも進んでいかないし次の仕事にも繋がらない。

世の中想像もしないことの連続でそのほとんどが思い通りにならない。だけど自分がコントロールできる部分のみコントロールをして、あとは流れに身を任していると自分だけでは到底行き着くことのできないであろう新しい世界に連れていってくれる。そんな不思議な体験を思い通りにしないようにしてから多く体験した。与えられたやるべきことをしっかりやっていると思わぬご褒美はやってくるし、それがこない内はもしかしたらやるべきことをしっかりやれていないのかもと思うようにしていると目の前のことを一生懸命頑張れて他に目移りしがちな僕にとっては良い考え方なのです。

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