見出し画像

sosoの素(30)

僕とコーヒー (前編)

僕はコーヒーを自分で焙煎して飲んでいる。
そして今「にゃーにゃーごろごろ焙煎所」ってちょっとふざけた名前でオンラインを中心に販売もしていて、自分以外の人にも楽しんでもらってもいる。

僕の生まれ育った愛知県一宮市は喫茶店文化のモーニングが昔からある。
だから喫茶店は身近だったし、喫茶店でとりとめもない話をおじさんたちが午前中からしている姿を見ていて、祖父もその一人で、たまに一緒に連れてってもらって牛乳やソーダを飲みながら絵本などを見るのが楽しみだった。
そしてそこでみんなが飲んでる「ホット」と言う名のコーヒーをみてビールやワインのような大人の飲み物としてちょっとした憧れがあった。

そもそも僕は高校生まで雪印のコーヒーしか飲むことができなかった。
今は逆に雪印のコーヒーは甘すぎて飲めなくなった。
でもきっと僕のコーヒーのスタートは雪印のコーヒーだったはず。
その次は高校の時にバイトをしていた花屋さんで出されるコーヒーだった。
やっぱりそれは飲めなくて、牛乳と砂糖を入れて飲ませてもらっていたし、配達のついでに寄った喫茶店でもカフェオーレやミルクコーヒーをお願いしていた。

そんな僕も大学生になり、缶ジュースを缶コーヒーにすることでちょっとずつ大人になっていく気分を持ちながらコーヒーをブラックで飲みことができるようになってきた。それでも基本はやっぱり甘めのコーヒーが好きで、ブラックを飲む機会はあまりなかった。
そして一人暮らしをしていた。
何がオシャレでかっこいいかなんてよくわからない癖にかっこいいと思ってコーヒー器具も買うことに。百貨店でたまたま見つけた今まで見たことのないコーヒーメーカーを買って、なんてオシャレなんだ僕は、と興奮気味で帰宅した。
説明書通りに底にお水を入れて、真ん中にコーヒー豆を入れてガスコンロに火をつけた。そこで抽出されたのはびっくりするくらい薄いコーヒー風味のお湯だった。オシャレには我慢が必要なんだとはこのことか、、、なんていっちょまえのことを考えながらそれ以降数年にわたって食器棚の中にこのコーヒー器具は冬眠することになる。
そんな失敗もあり、コーヒーを淹れることはほとんどなく、あってもインスタントコーヒーを買って、放置しすぎてカチカチになったものをスプーンが曲がりそうなくらい硬い塊を崩して飲むくらいほとんど自分で準備することがなく缶コーヒーばかりだった。

それから数年たった時、世の中はカフェがブームになり、ドリップコーヒーだけじゃなくエスプレッソなるものがあることを知ることになる。カフェオーレがカフェラテになって言葉の響きもおしゃれだななんて思いながら、おじさんたちがたむろしていた喫茶店とは違って若者が多く出入りするカフェに行くようになった。
そのブームもあってコーヒー淹れ方についても雑誌などで取り上げられるようになり、その中に僕が以前失敗したきり食器棚で眠っていたコーヒーメーカーはマキネッタと言ってエスプレッソを淹れるものだと知った時はかなり興奮した。そして焙煎の深さや挽き方も重要で、なぜまずいコーヒーしか淹れれなかったのか謎が解けたのです。
それからは得意げに家でもカフェラテを淹れて味もさることながらマキネッタを随分前に買って流行を先取ってしまってたなーなんて一人満足していたのです。

それからペーパードリップ、ネルドリップ、サイフォン、パーコレーターなど一通り買っていろんな淹れ方をしている自分がかっこいいなーなんて一人楽しんでいた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?