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sosoの素(77)

海外旅行回想記9

ベルギーではアントワープを中心にいろんな美術館にいった。
一人で起きて一人で出かけて一人で帰ってくる。オランダのバックパッカー用のホテルとは違って誰とも話さないし、インターネットが観れるパソコンもなかったから本当に一人できままに過ごしていた。

ベルギーで見れそうな場所のみたいところはだいたい行けたので次はルクセンブルクに。かなり小さい国で神奈川と同じくらいの大きさ。そんなことと美術館も行ってみたい所があった。思い込みもあるかもしれないけど要塞のように街の中心が囲まれてる感じで陸地続きのヨーロッパで侵略をされないように工夫されてるんだろうなと妄想しながら眺めてた。
ルクセンブルクの後、ドイツに向かうことにしていた。ここで唯一の贅沢として夜行列車で行こうと考えていた。日本にいる時にそのあたりの情報があまり見つけられなかったので現地に行ってそこで切符を買おうと考えていた。
ルクセンブルクの駅でベルギーの首都ブリュッセルに行きの切符を買おうと窓口に行って拙い英語で話してると全く訳のわからない言葉で返ってきた。何度も何度も聞き返しても全くわからない。どうもフランス語で何かを言ってる。それがわかったところで全く意味はわからない。くじけずに何度も英語で聞いてると最後はキレられるように英語で答えてくれた。
少し前にネットの記事で僕が旅行していた頃のヨーロッパの駅窓口のおばちゃんは絶えず不機嫌で対応が悪かったてのを見てこの時のことを思い出した。
数年後に行ったタイのバス乗り場のおばちゃんはそれとは逆でみんな優しくて飴もくれて(ガイドブックで長距離バスで弁当に睡眠薬を入れて身ぐるみ剥がされるとも書かれてたので警戒もしたけど)いい人ばかりだった。
そんなこんなでブリュッセルに行き、夜行列車が来る時間まで大きな鞄を背負いながらフラフラしていた。

夜行列車は夜の11時ごろの出発。
初めての海外で貧乏旅行。何かあってからでは遅いから安全のためにも日が暮れる前にはホテルに戻り、適当に買ったパンや果物で夕食にしてあとは本を読んだりしていた。こんなに遅くに一人でいることが初めてで、居場所もないから駅のロビーで時間が経つのを待っていた。今考えれば適当なカフェに入って時間を潰してたらよかったけど、お金を使わないことに必死だったから全くそんな発想が出なかった。
駅の構内はだだっ広く、時間と共にお店が閉まっていく。どんどん人気がなくなり、切符もまだない。果たしてここでこのまま待っててドイツに行けるのか?不安が募る。
人気のなくなった構内にはホームレスのような人やヤンキーのような若者しかいなくなりますます怖い。そして僕が一番怖かったのは少し小綺麗な身なりの中国人のような朝鮮の人のような男の人がずっとうろうろしていたこと。ちょうど北朝鮮の拉致問題で数名が帰国できたころで拉致された人の中にはヨーロッパに旅行中に拉致されたとみられるという人もいたので、もしかしたら拉致されるかもと怖かった。
決して一人にならず、誰かがそばにいる場所で時間を潰し、なんとか夜行列車がくる時間まで粘れた。

夜行列車が来るホームで待ってると同じような人が集まってきた。その中でバックパッカーであろう人がいたので切符を持ってるか?と聞いたら「持っている。格安チケット売り場で買った」と言われてめちゃくちゃショックを受ける。僕はお金もなく切符もない不安を抱きながら拉致されないように逃げてたのに彼は切符を持っていてそれも格安チケットで買ったなんて、、。
悔しすぎる。
それでも駅員さんに話しかけ、1万円くらい払い一泊分の宿と移動を手に入れれた。

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