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【読書メモ】習慣は3週間だけ続けなさい 

出版:SB Creative 著者:名郷根 修

先輩からお勧めされて手に取った本です。本のタイトルを見て”3週間だけ”で習慣化できるの?と思いながら読み進めましたが、習慣化を創り上げるメソッドが「認知科学×コーチング」の知見をベースに納得感が高く分かり易く書かれており、すぐに実践したくなるような内容でした。


著者について

ご経歴としては、米国の戦略コンサルファームからグローバル医療機器メーカーで勤務後、世界一の戦略コーチと言われるダン・サリヴァン氏に師事され、現在は認知科学とコーチングをかけ合わせた再現性の高いコーチングを提供する会社を創業されている方とのことです。ビジネスの現場での経験ととアカデミックの知見を合わせた独自の習慣化のメソッドを本書で余すことなく紹介されています。

本書の目的

良い習慣を身につけたい。悪い習慣をやめたい。と思ったことは誰にでもあるはずですが、中々思い通りにいく事は少ないのでは無いでしょうか?著書の中では、約40%の方が最初の1週間で習慣化することをあきらめてしまうという調査を紹介していますが、そのような挫折を感じた方々に向けて、習慣を定着していくためのメソッドを3weeksの期間に絞って順を追って説明している本です。
私の場合は、最初の1週間は突破する事が多いですが、習慣”化”まではいかず、断続的に実施してしまっている行動が多く、習慣として継続できている事は多くはありません。ほとんど唯一「週末にランニング」や「朝に新聞を読むこと」は3年以上続いています。とはいえ、なぜこれらが習慣化したのか?と問われると、うまく言語化することができず、再現性が無い状態です。習慣化に成功している方でも、習慣化するためにどんな手順を踏むべきか言語化できている方は多くはないでしょう。そのような方々にも、この本は習慣化の”メソッド”を教えてくれるので有益であると思います。

なぜ3Weeksという期間なのか?

この本で紹介されているメソッドの最大の特徴であり、習慣化させるための重要なカギにもなるのが、この3週間という期間を設定している事にあると私は考えます。あえて、長く続けようという意識をなくしてモチベーションが下がることを防ぐことができ、かつ、習慣が定着するのに十分な期間が3週間であると著者は主張しています。確かに何か新しい事を習慣化する時に1年間やり続けるぞ!と意気込んでも続けることが負担になり、やる気を落としていつの間にか諦める。といった事は想像に容易いです。3週間なら続けられそうだと勇気づけられますね。
では、なぜ1週間でも1か月でもなく、3週間なのか?それは脳の仕組みが変化するのに必要な期間が3週間だからとの事です。具体的には、脳のGPS機能を働かせ、機能が安定するのが3週間だからです。ドライブする際にカーナビのGPS機能を使って目的地を入れますよね。目的地を入れると、自動的にカーナビがルートを指示してくれて、気づいたら目的地に到着します。習慣化を実現する時も同じように、目的地(目標)を明確にすれば、その目標に向けて脳は指示を出します。この脳のGPS機能を専門的にした言葉が脳のラス機能(Reticular Activating System:網様体賦活系)です。五感から得られる全ての情報は感覚神経を通ってRASに送られます。一説によると、脳は1秒で約4憶Bitの情報をインプットしているとの事ですが、当然このような大量の情報を捌くことは出来ないので、RASにより情報の必要性や重要度によって仕分けがされています。何かを強烈に意識し出したら急に街中で目につく回数が増えたと感じる体験をした事はないでしょうか?それはこのラス機能が関係しているとの事です。(いくつかの記事を読むと4000億ビットという説もあり、4000億ビットを人間の脳で処理しようと思うと821年かかる計算になるらしい。いずれにせよとても全ての情報を捌ききれる量ではない。)
この情報の仕分け機能をうまく使うために、習慣化の目的を明確に持つことが非常に重要で目的をはっきりさせることで重要な情報にフォーカスする事が可能になります。新しく作ったラス機能の神経回路が安定して定着するまでの期間が約3週間であるため、習慣化の期間を3週間として定めているのです。
ですので、習慣化のための3週間をスタートする前に必ず、なぜその習慣を定着させたいのか?明確に鮮明にイメージができるように目的を定める必要があります。英語が話せるようになりたい。だけではイメージが希薄でGPS機能が働きません。「半年後に〇〇会議室でQ&A含めた1時間のビジネスプレゼンテーションを100人以上の観客の前で英語で実施して、拍手喝さいを浴びる。そのために、TOEICのスコアで900点を取得する。」といったように五感で感じれる程度までイメージを鮮明にする方が良いでしょう。

Week1でやること

キーワードは「外発的動機づけ」を味方につける事です。明確に鮮明にイメージした習慣化の目的や目標を達成したときのことを思い浮かべて、自分自身で行動を促していきます。小さく始めて継続する事も非常に大事です。例えば、初日は英単語を1つ覚える。二日目は2つ覚える。というように必ず達成できるレベルまで目標を下げて小さく初めて少しずつ増やしていきます。簡単すぎないか、と思えるぐらいがちょうどよいです。人間は体の仕組み的に新しく何かを継続する事を拒みます。生体恒常性(ホメオスタシス)という体の状態を一定の状態に保ち続けるという性質が働くからです。ヒトがコンフォートゾーンから出るときに恐怖を感じるのもこの性質が関わっているのでしょう。コンフォートゾーンからあたかも出てないレベルの小さな変化から始めて、心身を慣らしていく事が継続のコツになります。行動目標は一気に複数実施するのではなく、一つに絞ったり始めやすいように環境を整えておくことなども継続する上での極意になるでしょう。

Week2でやること

Week2のキーワードは「自己効力感」を味方につける事です。自己効力感とは”目標を達成するための能力を自分は持っていると認識する事”です。要は、自分ならできる!と思い込むことです。Week2では、Week1の行動量から一気にギアアップして一日の目標量も上がっていきます。それによって、挫折してしまわないように、自己効力感を保ち続ける必要があります。効力を保ち続けるためには、アファメーションという目標を達成した自分の姿を毎日のように思い浮かべるといった事を取り入れたり、達成感の振り返りがキーポイントになります。日々、達成できたことを振り返って、自分自身をほめる仕組みを作ると良いでしょう。目標達成出来たらチェックボックスにマークを付けるなど、達成したことが可視化できる方が好ましいです。こうする事でその行動をすることがポジティブであると脳に錯覚させることができます。また、もし何かの理由でその日の目標が達成できなかったとしても心配ありません。最低でも週4回続ける事で習慣は定着するというデータがあります。あせらずにリズムを取り戻すことが大事です。どうしても目標達成できなかった日は、代わりにもう少し容易な目標を作っておいてそれを実施する。といった方法も有効でしょう。

Week3でやること

Week3のキーワードは「内発的動機づけ」です。今までは、こうなりたい!という強烈な思いによる外発的動機や、自分ならできると思い続ける自己効力感に頼って行動を促していましたが、Week3では大きく考え方が変わります。その行動自体を楽しい。と思える状態にしていく事が求められます。絶対にこうなりたいから、それそのものが楽しいに変わっている事がこの週のゴールとなります。ビジネスの現場で「手段が目的になってるよね。」と言われて、まずいまずい。と思う瞬間がありますが、習慣化を進める上ではそれで良いのです。英単語を覚える事が楽しい!覚えれば覚える程、英文記事をスラスラ読めるようになって気持ちいい!といったように、その行動がポジティブな感情と繋がっている状態が良いでしょう。
そのものを楽しめと言われても、最初の内はそう思えないかもしれません。さぼりたいと思ったり、嫌な出来事が起きて気が乗らない日もあるかもしれません。その際は、自分を客観的に認知をするという”メタ認知”を使うと良いでしょう。気が乗らないという感情を素直に受け入れた上で、冷静になる。それからアファメーションをしてポジティブな感情を作って行動してみる。という流れを繰り返しながら、その行動自体を楽しめる状態に持っていく事がゴールです。Week4以降は、それ自体が楽しいという内発的動機が働いた状態になれば、続ける事は容易です。楽しいから続く。また、脳のラス機能も安定して働いているので、当たり前のように行動している事になります。

まとめ

3週間で習慣を定着するためのメソッドに納得感はあったでしょうか?実際にメソッドを使ってみないと真偽が分からないという事で、現在私は「言語化能力を高めて、ビジネスシーンで自分が思っていることを相手に伝わりやすいように表現できる人間になる。」といった目標を掲げて脳のGPS機能を働かせています。幸いにも言語化が得意な同僚が周りにいるので、その人たちのようになりたいと鮮明にイメージする事が出来ています。そのために、まずは、語彙力を増やすことと、伝える内容の質を上げる事を目的に思考力/整理力を上げる事にチャレンジしています。Week1の具体的な行動としては、「毎日、気になった語彙を2つピックアップして意味を調べてメモ帳に残す。」「新聞記事の一つを要約してXに投稿をしています。」現在、ちょうどWeek1が終わったところですが、実際に習慣化するのか楽しみなところです。




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