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太陽礼拝のポーズ ‼? からのぉ~

昨日、芦屋の荒地山から下山し、阪神芦屋駅のホームで電車を待っていると、ベンチに座っていた男性がスッーと立ち上り、数歩前に進んでから合掌したあと急に両手を大きく広げて上半身を気持ち良さそうに反り、伸びをしたかと思うとそこから急に90°のおじぎを通り超えて上半身が両太腿にピタッと付くほど深く前屈、そこからまたザッと上体を起こすのと同時に右足を大きく後ろに引いて左足前のランジ姿勢に。
ここまでの流れを見て、もしかしてヨガの太陽礼拝のポーズをしようとしてるのか?!と一瞬眼が大きく開いたことが自分でも分かるくらい驚きましたし、周囲にいた人、特にベンチの女性もさっきまで横にいた人が急に何をし始めたんだ?!と目ん玉飛び出るくらいに驚きの表情。
男性はそこから再び両手を挙げて指先を大きく広げ、ググッと胸を張ってからは微動だにせぬまましばらくポーズをとり続けていました。
おおっ~、これは確か戦士のポーズではないか!
神戸方面のホームにいた10数名だけでなく、線路を挟んだ向かい側の大阪方面ホームにいた約20人のうち、男性の動きに気付いた人はほぼ全員が視線を注いでいましたが、男性は何ら憚ることなくポーズを保ち続けています。そうこうしているうちに高速神戸行きの普通電車が入線し、降車客のなかには一瞬チラ見し、ええっ⁉と二度見する人や不可解そうな表情を浮かべる人、敢えて視線を逸らす人など様々。しかし誰も足を止めることなくホームから階段方面に歩き、改札へ下りていく。
私は特急電車に乗るのでその普通電車には乗らず、次に来るの電車を待つ数分間、その男性が取り続ける戦士のポーズと周囲の人達の視線や反応を眺めながら、そこに漂う空気感を楽しんでいました。

なんかええなぁ。好きやわぁ。
一瞬驚いたあとに私が思ったのは「なんかええなぁ」でした。
常識や人の目に囚われず、自分がしたいことを、したいと思った時、思った通り素直に実行する姿、人がそれをなんと思おうが自分が大事と思うことを恥ずかしからずにやり切れる勇気も「好きやわぁ」。

姫路行き特急電車が来たので私は乗車しましたが、その男性は全く電車に乗ろうとする気配がなく、前に出す足を左足から右足に変えた以外はほとんど姿勢を変えず、グッと胸を張った戦士のポーズで力強く立ち続けていました。
各駅停車にも特急列車にも乗らなかった、となると、果たして男性はどこへ行こうとしてるんやろう?と少し気になりましたが、場所を選ばずその時に戦士のポーズをとることが大事で、電車が来てもポーズをとり続けることを優先させたその一途さや、電車と人に心が乱されることなく静止し続ける姿、強い意志に敬意だけでなく、愛おしささえ覚えました。

自分が勝手に思い込んでいる常識や偏った価値観を押し付けたり、押し付けられたりもせず、自分と異なる考えや行動に対してダメ出しや批判することなく尊重し・尊重される環境で生きたい、と思っている自分にとって、芦屋駅の光景は、突然意表を突くような行動をとる人の姿を見ても誰も笑ったり嫌な表情を浮かべることなく(関わりたくないから知らん顔してるだけ、の人の方が多いと思いますが)自由を許容する空気が漂っているように感じられ「なんかええなぁ」と思いました。
帰宅したら自分も戦士のポーズを真似てみようか、いや、帰宅後ではなく、降りる駅のホームで⁉と元町駅の狭いホームで戦士のポーズをとる自分自身を心象風景の中に思い描いていると、山でにわか雨に降られたことも忘れ、なんとも言えない幸せな気分になっていました。

風景2687

写真は一枚目:芦屋鷹尾山頂近く、二枚目:荒地山から見た芦屋市街と芦屋浜


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