FUKUOKAの思い出
岩手生まれ岩手育ちの私にとって、福岡はとても遠い場所。
それでも、チャゲアスを好きになった小学生のころから漠然と憧れていた。
いつか絶対に行ってみたいところ。
そんな思いを抱き続けていた。
初めて福岡に行ったのは大学生の時だった。
同じくチャゲアスファンの友人と旅行となれば、ゆかりの地巡りになるのは必然だろう。伝説のライブハウス「照和」をはじめ彼らの出身高校・大学、喫茶「フレンド」、福岡ドームまでいろいろと回った。
(若いころの)彼らは確かにこの地で過ごしていたのだ、と感慨深く大地を踏みしめたのを覚えている。
その後も旅行だったりライブ遠征だったりで数回訪れたが、行くたびになぜかやっぱり心湧き上がる場所だ。
2016年12月24日。
FUKUOKAという楽曲がyoutubeで公開された。
逮捕・活動自粛後初めての新曲発表とあって、正直かなりドキドキした。
どんな曲なんだろう。
これまでの彼とは全く違うものが出てくるのだろうか。
純粋に「一つの新曲」としてフラットな精神状態で聞けるだろうか。
…杞憂に終わった。
前奏のピアノを聞いた瞬間、「あ、澤近先生だ」と直感した。
初めてなのに懐かしさがこみ上げる。
静かに、豊かに、語るように歌い出す出だしの声。
「ああ、(どんなことがあっても)ASKAは変わらずASKAだ。ASKAであり続けてくれていた」
ただただ安堵した。
あのASKAのまま生き続けてくれていたことにホッとし、感謝した。
ASKAの前回ツアー「higher ground」福岡公演に参戦した。
飛行機が空港に到着し、おもむろにiPodのFUKUOKAを再生する。
あの前奏から、あの歌い出し。
―――ベルトを外して立つ そして到着ロビー 人波を歩いて行く―――
自分の動き、今見える景色まさにリンクするようにASKAが語りかける。
ふるさとでもなんでもない、数回訪れたことがあるだけの地なのに。
郷愁に近い思いが胸に広がり、涙がこぼれた。
残念ながら空港から駅に向かいタクシーを利用しなかったため
―――野球の話をするタクシードライバー 風が見える福岡―――
の状況は体験できなかったけれど(笑)。
昨夜の深夜ラジオ「Terminal Melody」でこの曲がかかった瞬間、そんな温かくきらきらとした思い出がよみがえった。
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