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≪完全ネタバレ≫ASKA「higher ground」@京都レポ

billboard classics ASKA premium ensemble concert -higher ground-@京都
初日公演行ってきました。以下、セトリや私の感想含め大いなるネタバレをしております。今後行く予定の方、我慢してまっさらな状態で臨んでほしいので、読まないほうがいいですよ。行く予定がない方、結局これ読んだら行きたくて仕方なくなってしまうと思うのでやっぱり、まだ読まないほうがいいですよ。京都、名古屋公演を見られた方はぜひともネタバレ全開で大いに語り合いましょう。

では…しばし、ここまで。





まずはライブを終え、一言。
「(前回ツアーの)ありったけより、ありったけ」。
“ASKA”の活動40周年の集大成―――。チャゲアスの一員として、そしてソロアーティストとして。どちらもが今の彼を作り上げている。この人は長きにわたり「ASKAであり続け」、素晴らしい楽曲をたくさんたくさん生み出してくれたんだなあ、とまばゆいばかりの軌跡を再確認し抱えきれないほどの感謝が沸き上がった。


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1.宇宙空間のようなライティングが広がる中、「ワレワレハ ウチュウジンダ」とでも言っていそうなエフェクトがかかった声で何やら話し出す(なんて言っているかは全く聞き取れなかった)。からの、“今振り返れば”、blogで今年7月にはすでに予告してくれていた新曲『We love music』のコーラスからスタート。ただこの時は新曲だという認識もなく、続く2曲目への導入的にオリジナルで作られた序章サウンドくらいにしか思っていなかった。

2.聞きなじみのある、どこか懐かしい前奏になぜか心が浮足立つ。実質1曲目を飾るは『僕はMusic』。『歌になりたい』がシングルリリースされ、昨今のASKAさんからは『歌』が『生』そのものとリンクしているような印象が強かった。その流れを汲んでか自身が音楽(歌)であると歌うこの曲を冒頭に持ってくる選曲には見事に一本取られた感。非常に軽やかに、終始笑顔で歌う姿にこちらの目じりも下がってしまう。

3.さらにさらに懐かしさで胸奥がキューっとしてくる。『HELLO』だ。お決まりの「待たせたねー」とともに、軽快に歌い上げる。収録されている『NEVER END』は総じてキーが高い。この曲もだが、本当に軽やかに歌う。年齢なんて全く感じさせないこのフラットさ、いいね。いいね。

4.『12』バージョンのイントロが鳴り、歓声が上がった。『天気予報の恋人』。ライブ定番曲でありながら、そういえばマイ「歌ってくれるかも・歌ってほしい」リストに入れていないラインナップで意表をつかれた。願わくばオリジナル(チャゲアスバージョン)が聞きたいところだったが、まあ、そこはね…。このあたりでふと、気づく。この流れ、確かにストリングスのサウンドが絶妙に最適に織り交ぜられた曲たちであることに。

5.マイ歌ってほしいリストにひそかに入れていた『Fellows』の前奏が流れてきたので心の中でガッツポーズ。『Black&White』からたくさん歌ってほしいと思っていたけれど、まずはこれが来るとは。意表を突かれたけれどやっぱりうれしい。勢いのって『塗りつぶしていけ!』も歌ってくれないかな。なんて。

6.前回のsymphonicでも歌ってくれた『修羅を行く』。これはストリングスが入って重厚感たっぷりに演奏すると本当にかっこいい。なんせ前よりもさらに声がいいからね(笑)。よりダークな魅力が前面に押し出されていてかっこよかった。いつのころか、ASKAさんは喉奥からねじりだすように高音を出すときがある。その歌唱法がとてもよく似合う。

7.前奏が流れた瞬間の、正直な気持ちは「マジか」だった。『しゃぼん』。後半にかけてパワフルな高音が続くこの曲。symphonicの時のつぶれた声では本当に辛そうだった。彼なりの、リベンジの意味を込めたのだろう。『Too many people』の中でも5本の指に入るくらい大好きな曲。全力をやめることない、彼のプライドというか男気を見た気がした。直前までこれでもかというほどストリングスを含んだ豪華な音色から一転、ラストの決めのワンフレーズはちゃんとピアノ一色になるあたりはさすが。

MC

ライブをする上で一番苦労するのはなんといっても選曲。曲が多いから(笑)。いろいろあった。(チャゲアスとソロとを)分けなきゃいけないという思いでスタートしたけれど、ある時期から急に(チャゲアス曲を)歌い出したでしょ?今歌わなわかったら自分の線がわからなくなると思って、歌い始めた。

8.問答無用の『はじまりはいつも雨』。本人もblogに書いていたように、半音下げたキーでのびのび歌っていた。THEのつく定番曲はいいから、もっと驚きに満ちた意外性を楽しめる選曲を古巣ファンとしては期待したいところだけれど、ふと我に返る。今日が「初ASKAライブ」というファンだってきっといるんだ。やっぱり、THEを楽しみにしているファンもたくさんいる。それを表すかのように、曲間のたびに惜しみない温かな拍手が沸いた。

9.『good time』。前回ありったけツアーでは、惜しくも前半2公演のみでセトリ変更によりお蔵入りになってしまった曲だが、本人はきっと特にお気に入りの曲。私も好きだからね(笑)。「この曲は売れなかったけれど『好き好きタイマー』がセットされていて、ある日好きになる。スイッチが入ってしまったら、どんなに嫌いな曲でも好きになるよう仕掛けております」だなんて笑いを取ってた。「好き好きタイマー」って、『あなたが泣くことはない』の時も装着してるって言ってたよね?

10.ギターの音だけが静かに始まった。はっと息をのんだ。CDバージョンより、ライブで弾き語りバージョンで聞くのが特に好きな『帰宅』。願い通り、ASKAの声と、ギターのみ。歌詞がいつもより胸に染み入る。思わず涙腺も緩む。かすれ声すら、演出のような。美しかった。

11.最初のワンフレーズだけで鳥肌が立った。ストリングスチームが入るならば、と絶対歌ってほしいリスト上位に入れていた『RED HILL』だ。Alive in liveバージョンといおうか、重厚感と疾走感を感じるアレンジが本当にたまらない。個人的には、ファン仲間とカラオケでなく大げさにもスタジオを借りて、生音源で一緒に歌った思い出の曲でもある。目を閉じ音のみに全神経を集中すると、真っ赤な丘で黒いコートを翻し風をかき分けながら走る男たちの姿が広がってしかたなかった(PV印象強すぎ)。

12.先月から毎日、本当に文字通り毎日欠かさず聞き続けている『歌になりたい』が、散文詩「おとぎ話」を伴わず始まった。もう、アイスランドの広大で荒涼とした大地で歌う姿が重なる。サビからは念願のコーラスと一緒に熱唱。次々とスマホを取り出しライトをつけ右に左に手を振る観客たちが見えた。会場が暗くならなかったことがちょっぴりもったいない気がする。それでもステージ上のASKAからはしっかり明かりが見えてきれいだったようだ。私的には、会場の照明がもっと落ちるのであればもっと徹底してやりたかったな。もしくは、観客同士隣席の人と肩を抱き合い、左右に揺れても幸せな空間になったような気がする。

MC

ビルボー・ドストリング・スチーム(笑)の紹介。に続き、バンメンさんも紹介。からの、いわゆるトイレタイム。今回はもぐもぐせず、自由にどうぞ―な感じ。その間本人はステージからはけることなく、ずっと立ったままファンとの交流タイム。急きょ質問タイムが始まった。10分程度の休憩ののち、後半戦スタート。

13.コーラスSHUUBIさんが今年デビュー20周年を迎え、billboardで記念ライブを行った時ASKAがゲスト主演し一緒に歌った『you & me』を再現。私もこの記念ライブに行っていたのだが、
(この記事参照)
https://note.com/sors/n/nbdbbb84b5f67
イスを向かい合わせに置き、「ちょっと離れすぎじゃない?」「もっと近くにしようよ」って言い合うあたりも忠実に再現されていた(笑)。二人向き合い、まさに声を、呼吸を重ね合わせながら歌を紡ぐ。彼のSHUUBIさんを見つめる目のなんと優しいことか。ステージ上の温かい温度が伝わってくるようだった。

14.まさかの、聴いたことのあるフレーズ。スローアレンジが施されているが、まさかの、あのチャゲアスの名曲『HEART』…?本当?と思っているうちに、ダンダンダーンと、原曲ママの前奏がスタート。私含め周りからは悲鳴に似たどよめき、そして一気にスタンディング!HEARTは大好きな曲の一つではあるが、この曲を聴いて泣くときが来るとは。「ちゃんと」往年の振りもみせてくれた。マイクスタンドくるくる、スタンドを足で挟んでの動き。一つ一つが、全部、脳内に完全インプットされている。ああ、これも、確かに彼が生み出した彼の曲なんだ。そう思うと、ただただ涙が止まらなかった。

15.耳なじみのない前奏。なんの曲のアレンジだろう?歌が始まる。知らない。知らない曲はないはずだから…ああ、これが新曲なんだと気づく。ほんの少しの懐かしさと、妖艶さを感じるメロディーがやけに耳に残る。私、とても好みです(なんの宣言)。タイトルはわからないが「百花繚乱」というワードが何度か出てきていた。ストリングスのパワフルさも相まってどんどんボルテージは上がり…

16.シームレスで、タイトルにもなっている『higher ground』へと続く。これもRED HILL同様、Alive in live仕様の最高に好きなアレンジだ。ピアノとストリングスの融合がとにかく心地よい。アウトロのスキャットの声がかすれ気味なのが本当にかっこいい。聞きほれた。

17.ポップでキュートなチャゲアス曲の代名詞の一つ『青春の鼓動』。私も周りも意外ながらもうれしくて歓声。誰も何も言わなくても、Chageちゃん部分はちゃんとファンが追いかける。「やっぱり掛け合いはChageちゃんがいないと…」といちいち空いた左隣を寂し気に見つめなくなった自分に、ふと気づいた。

18.ポップな勢いそのままに『今がいちばんいい』。すっかりと定番曲の顔をして、みんなそろいの万歳\(^o^)/でサビを盛り上げる。やっぱり盛り上がる。今回『晴天を誉めるなら夕暮れを待て』がなかったけれど、この曲が十分、全員参加型の盛り上げ曲として昇格していたよ。

MC

初日、思ったより皆さんが盛り上がってくれた。この勢いでツアー行ってきます。

19.「真夜中にふと目が覚めてしまう 苦しいことが顔をのぞかす 僕は唇かみしめたまま…」
これまでも、これからも、ライブで聞くことは一生ないだろうと「勝手に」思い込んでいたから、一瞬信じられなくてわが耳を疑った。でも、まぎれもなく、『be free』だった。逮捕間際、ファンクラブ会員向けにデモのような完成度で急に配布された曲。直後、彼は逮捕された。ファンにとってはあまりに複雑な、“渦中の曲”だ。今、これを歌う意味は何なのだろう? どんなメッセージを込めたのだろう? そんなことを考えてもすぐさま答えが出るはずもなく、とりあえず堪能しようとした。あらためて耳を澄ますと、例えるならMan and Womanのような、BIG TREEのような、いわゆるラストを飾るにふさわしい壮大で堂々とした「名曲」然とした曲だった。

20.あれ?なんか聞いたことがある…?そう、これこそが冒頭ワンフレーズだけ“チラ見せ”ならぬ“チラ聞き”させてくれていた『We love music』だ。どこかゴスペルチックで、どこかQueenを思わせる、晴れやかな大合唱が似合う壮大な曲調。
♩Oh Oh Oh We love music. I love,You love,We love.
一度聞いただけで、もうすっかりと頭に入ってしまう。ああ、早くみんなで歌いたい。

本編終了。いったん全員はけ、ほんの数分後にアンコールで再びステージへ。

21.澤近先生のピアノの音が響き渡る。胸にしみるメロディー。『一度きりの笑顔』。ありったけツアーオーラスであり平成最後の日。唯一、アンコールのアンコールで歌ってくれた思い出の曲。まさかまたアンコールで聞けるなんて思っていなくてうれしいサプライズだった。まるで朗読かのように歌詞をかみしめながら、語るような歌い方が涙を誘う。会場中の約2000人の観客が全員、息をのんで聞き入っていた。

22.やっぱり、前奏だけでぐっとハートをつかまれてしまう。こういう曲を名曲というのだろう。『PRIDE』。原曲そのままの、あの、前奏。これまで何度となくライブで聞いてきた。symphonicでも歌ってくれたし。でも、これまでで一番といえるほど、泣けた。何が私の琴線を刺激したのかはわからない。でも、本当に、泣けた。ASKAのプライド、決意と覚悟を勝手ながら感じ取ったのかもしれない。

23.涙でボロボロ、濡れた顔が乾く間も与えられないうちに、畳みかけるように流れだした『BIG TREE』の前奏。これにはさすがに私だけでなく会場中が驚き、歓喜し、感動していた。会場全体からどよめきが沸き上がった。「もちろん大好きで、歌ってほしいけれど、きっとこの先聞ける機会はもうないんだろうな」とどこかあきらめていた。そのくらい、簡単に手を付けられない・付けてほしくない「チャゲアス」の曲だったから。それを、最後の最後に持ってくるなんて。文字にすると当たり前だけど、ASKAは昔もASKAだったし、今も、そしてこれからもASKAなんだ。って、痛感した。ただただ、泣いた。もはや、涙の理由すらわからないまま、泣いた。


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セトリを確認し、1曲1曲思い出しかみしめながら書いたらこんなにも長くなってしまった。失礼しました。
終演後は、魂を抜き取られたような放心状態がしばらく続きました。
今回一番驚いたのは、ライブ中、曲のそこかしこにいちいちChageちゃんの存在を求めなくなった自分にです。前回までは、チャゲアス曲を歌うたび「やっぱりChageちゃんのコーラスがなくっちゃ」「二人の声が重なって初めて完成するのに」なんて思いもどこか片隅に持ち続けていた。でも、今回はまるっと、ASKAで完成されていたと素直に感じたし、そう思わせるだけのゆるぎない軸みたいなものがあった気がします。
「チャゲアス脱退後初めてのソロツアー」。そんな冠をつけてはマスコミがこぞって取材しているけれど、もしかすると、実は彼は昔から、ただただ「ASKAである」を貫いているだけなんじゃないか、って思えました。

ライブの音楽的魅力については語彙力、音楽的センスがなさすぎて一切触れていません。でも約2時間半、本当に耳が贅沢を味わえました。今回は古巣(笑)のファンと最近ファンになった人とではまたそれぞれに違った喜びや感動を味わえる気がします。

最後に言いたいことは、1度でいいからこのライブを見てほしい。これが今の等身大のASKAです。



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