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よく靴磨きをする。
良い靴は良い場所へ自分を連れていってくれる、みたいな話も勿論大好きだ。

中学進学で配布されたローファーが大人のようで非常に気に入り、スニーカーを卒業して普段から革靴やブーツを履くようになった。背が低いこともあって少しでも身長を高くしたい気持ちもありソールの強い靴をたくさん履いてきた。

米軍サービスシューズTYPEⅢ M43などは粗悪なコピー品から精巧なレプリカ、当時モノと何足も履き潰しては買い替えてきている。(潰したくないと思い大切にするものの粗悪品や当時モノは本当にすぐ回復不可能なほど壊れる。おすすめはやはり日本ブランドのレプリカ)
今持っている靴も殆どがブーツで、10足ほどが部屋に並びお出かけの日を待っている。

基本的にドレスよりワークの方が好きだから(なにせソールが厚いし丈夫!)それほど磨きに気を使うことはないが、これもまた一つの趣味というか休日の心のチューニングとして靴磨きをしている。

荒技でそのまま洗濯機にぶち込んだりもするのだが、これはこれでタフな質感が革に反映されて独特の物になるのでこの技を使うときはいつも楽しい。そのあとは陰干し後普段どおり磨き上げれば完成である。(勿論革の厚い頑丈な作りのものに限るが)

よく行う磨きは、蒸しタオルで先ず革を少し温めて軽く拭き上げ、油分や汚れを浮かせ落としてから革用クレンジングを施し栄養剤を染み込ませ、
半日ほど陰干しをしてから、植物性油で適度に磨き、拭き上げたあとに動物性油で爪先やコバ、踵などを仕上げる。
コツは最後の動物性油の吹き上げの際にほんの少しの水分を与えることだ。
汚い話で申し訳ないが、プッと唾をかけて瞬時に磨くのが一番良く輝いてくれる。
勿論それをしたことで臭くなったりカビが生えたりしても責任は持てないので自己判断で試していただきたい。
また動物性油は油分が強いので使い過ぎると革が腐ったり傷みが早くなるのでほどほどが良い。

何事も程度というものがあることをこういうところからも学ぶことができる。
より良くしたいからとやりすぎると大抵のものは壊れてしまう。程良さという曖昧なバランスはとても難しいが、たとえうまく出来ずとも意識しようと心がけることは大切だ。靴磨き一つにしても多くの気づきがあるものだ。

心のセットのためのルーティンは人それぞれだが、好きなものの手入れに使う休日はなんだか生活の余裕を感じられるもので、少しだけ優雅な気分に浸ることができて幸せである。

革ものはうまく使えば自分より長生きするから、ソールの張り替えなどもこまめに行って大切にし、死ぬまで良き場所へと共に歩いていきたいものだ。


(ちなみに、好きな人に靴を贈ってはならないという迷信も信じている。その靴を履いて遠くに行ってしまうからだそうだ。これはとてつもなく怖い。絶対に好きな子には靴はあげない。)


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