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さちよさんはピンクヘア

去年、学生だった私は最寄駅にある行きつけのコメダに訪れた。

コメダでバナナジュースを飲みながら、本を読む。

これがその時の私のちょっとした楽しみであり、贅沢だった。

コメダは、いろんな人の話が飛び交う。

めちゃくちゃ聞こえてくる。たまに、ネズミっぽい会話をしている人や
夢についてめちゃくちゃ熱く語っている若い人とかがいる。

耳をそばだてて聞いてみると、気になる会話がありとあらゆるところで
繰り広げられている。
そう、本なんて読んでるふりなのだ。

そんなある日、私が座っていた隣側のテーブルに二人組のおばあちゃんがやってきた。

私はいつも通り本を読んで、その日はいつもより集中して本を読めていた。
でも、隣のおばあちゃんたちの会話の内容が気になりすぎて、
すぐにいつものように、耳をそばだてながら本を読むふりをした。

「あら、さちよさん髪色ピンクにしたのねぇ。」

気になりすぎるパワーワード。さちよさん=ピンク髪の言葉から始まった会話につい、隣のおばあちゃんの髪色がみたい衝動に駆られた。
でも、見たら失礼かもしれないし、、でも、、見たい、、おばあちゃんのピンクヘアどんな感じなんだろ、、、。
ピンク髪のおばあちゃんは私の斜め前に座っていることが、見なくてもわかる。
声の方向から絶対にそうだ。
私がチラッと見ようかどうか葛藤している最中にも、
おばあちゃんたちの会話は繰り広げられていた。

ピンク髪のファンキーおばあちゃん
「死ぬまで私は自由に、したいことをして生きるの、髪も染める。
誰がなんと言おうと、私は、私らしく生きるの」

え、かっこよすぎるだろ隣のおばあちゃん!!!!
こんなファンキーおばあちゃんがいるなんて!!!!

見たい、、、隣のかっこいいおばあちゃんどんな人なのか見たい、、、、。
すると、ピンクのおばあちゃんの話を聞いていたもう一人のおばあちゃんが
「さちよちゃんは、さちよちゃんらしく生きればいい」と言った。

おばあちゃん二人ともかっこええやん、、、。
人生の先輩として、この後ご飯どうすかってナンパするところだった、、、危ねぇ、、、、。

話がひと段落したおばあちゃんたちは、コーヒーを一杯飲み終えると、
そろそろ行きましょうかと帰り支度をしていた。
ああ、、、行ってしまう、、、。最後にチラッと見たい、、、。
でも、なんか失礼だし、、、とまだ葛藤していたら、、、

「本読んでたのに、こんなにうるさくしちゃてごめんね」
ピンク髪がすごくお似合いなおばあちゃんが一言声をかけてくれた。
やっと見れた。生き生きしていた。一目見るだけで感じるピンクに負けないオレンジのオーラを放っていた。元気をもらった。

「とんでもないです!(むしろ、盗み聞きしてごめんなさい)」
と心の中で謝罪し、颯爽と帰っていった二人組のおばあちゃんのうしろ姿を見送り、そのあとすぐにスマホでおばあちゃんが言った名言を忘れないようにメモをして、私は自分を見失いかけた時に、この言葉をたまに思い出しては前を向いている。

もう会うことはないだろうけど、今でも私の心に住んでるよ。
「私は私らしく生きる」素敵なピンク髪のおばあちゃん、私も私らしく生きてみるよ、ありがとう。

#髪を染めた日


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