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人工知能AIとアラフォー独身女性とこれから

放送大学面接授業「ゲーム情報学」を受講し、
人工知能研究第一人者である電気通信大学の伊藤毅志先生からお話をうかがってきた。
世の中これからどうなってくのか?
聞いたことを思い出すパートと素人なりに考えたことのパートとに分けて、感じたことをまとめと思います。

アラフォーは人工知能たちと同世代だったー人工知能の歴史としくみ


この授業では近年話題のChatGPTに至るまでの人工知能の歴史を辿りながら、
それぞれ時代で台頭してきた技術としくみについて説明された。

内容が難しすぎて発狂するかと思ったが、
終わってから振り返ってみると、いずれの理論も割とシンプルだった気がする。
先生の説明が上手かったのかもしれない。
ダニング=クルーガー効果だろという気も大いにする笑

なんにしても、
単なる「電卓」が菓子折りの箱くらいバカデカかった50年以上前の時代から、
パソコンと同じ程度の機能を持つ「スマホ」が私達の手元に今あるように、
まず「パソコン」的なものの物理的な進歩があった
、というのがある。

それに加えて、人工知能にものを教える、人間の側の技術が改善されたことが挙げられる。

でも国内の現場では当初から「すごいAIを開発して世の中にインパクトを与えるぞ」とか考えられていわたけではなかった。
普通にゲームソフトのメーカーがより楽しい将棋ソフトを開発するために、将棋☖の最善の手を機械にポチポチと根気よくプログラミングしていたのが1980年代のころだ。
これが日本国内の人工知能研究の基礎になった。
だからアラフォーと同年代というわけだ。

一方で、海外では割と早くから「人間を超えるロボットを創造して世の中にインパクトを与えたい!」と考えられており、チェス♘を打てるプログラムの開発に日本より早い1950年代のころから着手していたようだ。
それから人間のチェスの世界チャンピオンを負かすまで、数十年に渡りゲームAIの盛んな研究が行われた。
結果、ついに2000年頃には人間の世界チャンピオンを負かすことになった。AIが。
しかし「人間を負かすプログラムが完成してヨカッタネ!めでたしめでたし!」という感じで決着してしまい、その後は研究の方向性を見失っていたようだ。

チェスと将棋の強〜いゲームソフトができたから何なんだよ?という感じだが、
ゲームAIが開発されたゲームは当然、チェスと将棋だけではなかった。
オセロやチェッカー、囲碁なども研究の対象となった。 

話はそれるが、
この研究の過程で「先手になった時点で、実は勝ちが確定しているゲーム」も発見されることになった。
例えば子供の頃に友達と紙に線を引いてやったマルバツゲームだ。
あれは実はヘタをうたなければ、先手は絶対に負けないゲームなのだ。(知らなかった……)

話を戻すが、
高校数学の「確率」のところでやったみたいな、
トーナメント表を書いていくみたいなやり方で、
ボートゲームの一手づつを分岐ごとにメモしていく。
この方法ですべての手を調べ尽くすということが根気強く行われた。
これを「ゲーム木探索」というらしい。

単純なゲームであれば、
「この盤面では、この分岐ルートに入れれば勝てる」というのを一手づつ機械にプログラミングしていく。
そうすればいつかは「最強のAI」になるというわけだ。

しかし将棋や囲碁などの、
打つ手が何十万も、何億通りもある、
そういうゲームはどうしたらいいのだろう。

そういう場合に「勝てそうな手から」しらみつぶしを行い、効率よく取り掛かる方法が開発された。
ミニマックス探索、アルファ・ベータ法、ムーブオーダリングなどと呼ばれる。
この手法でAIはボードゲームに飛躍的に強くなった。

さらに、人力でのプログラミング入力も続けられた。
たとえば将棋において、プレイヤーにとっての有利さをすべてパラメータ化する。
「歩」は「10点」
「香車」は「50点」
ゲーム後半の盤面ではすべての駒に「+5点」
みたいに徹底的にパラメータ化することを「評価関数」という。
ただこのパラメータは、開発に当たって将棋に詳しい者しか入力できないという欠点もあった。

こうした進歩によってAIはチェスや将棋にかなり強くなっていった。

一方で囲碁はなかなか上達できなかった。
チェス界では人間よりもAIが強くなった2000年前後の頃も、囲碁のAIに関してはまだまだクソ弱かったらしい。

数年後、停滞していた囲碁AI界に突如としてモンテカルロ法と多腕バンディット問題を採用したAIが彗星の如く現れた。

これはどういうしくみかというと、
コンピューターが対局の進行をランダムに創造し、
最も勝率の高い進行を成功パターンとして集めていく。
これを無数に繰り返すことで、勝率の高い「最強の手」の近似値に近づけるというやり方だ。

これにさらにディープラーニングの技法も加わり、囲碁界においても、AIが有段者に勝利するようになった。

また、まったく文脈とは関係ないが、
1990年代になって「郵便番号」を機械が読み取れる技術が開発され実用化された。
これをニューラルネットワークという。
この画像解析の技術もAIの発展に欠かせない技術となった。

こうした人工知能の成長、
(AI自身の成長というよりも人工知能にものを教える人間側の向上かもしれないが)は、
この40〜50年の間に行われてきたのだった。

ようするに私が10代とか20代だった1990年とか2000年の頃に、
私も、まわりの人間と揉めたり、恥ずかしい失敗をしたりしながら、人間社会について学んでいたが、
時を同じくして人工知能も、
別の場所で、研究者からものを教わりながら、すくすくと育っていたというわけだ。

「同世代」だったんだね〜ということに謎の親近感も覚えなくもないが、
近年「チャットGPT」などの機能を備えて現れた人工知能は、
当初の目的の通りボードゲームでの人間の遊び相手をするというだけにとどまらない存在になっていた。
そう、私達人類のあり方を根底から揺るがすようなインパクトを持っていたのだった。

ほぼSFやんけ!みたいな世界がすぐそこまで来ている


私には金持ちの友達がいるのだが、
10年くらい前に長野で遊んだ後、彼女のお父さんがアウディの白い新車で颯爽と迎えに来てくれたことがあった。
彼女のお父さんは岡田斗司夫みたいな体型をしていいて、数十年にも及ぶ営業経験から私のようなどうしようもない小娘にも「娘(私の友達のこと)がお世話になっております!!」とか言って90度の礼をかましてくる面白い人だった。

その時に人生で初めて自動操縦の車に乗せてもらったのだが、
運転手が高速道路でハンドルから手を離し、リラックスしている光景にはさすがに目を疑うものがあった。
その後彼女の家族は遠方に引っ越してしまい、そのまま疎遠になってしまった。
それきり自動操縦の機能のついた車とも縁遠くなってしまって、夢でも見ていたのか?みたいな曖昧な記憶だけが残った。
しかし今回の授業で久しぶりに先生の口から語られた「自動操縦」の車は、
最近「車庫入れ」もできるようになったという話だった。
地元の道路でもAIが「自動操縦」する車が行き交うようになるのも、もはや時間の問題だということだ。

もうとっくに実用化されているのに今更グダグダ言うのもカッコ悪いが、
「AIに命を預けられるか?」と誰からか尋ねられることもなく、
AIに命を握られる社会に、すでに足を踏み入れていた。なんとも心もとない。

今回の授業で学んだ通り、AIのしくみ自体は割とシンプルだ。

とはいえAIはこの「無限に学習」、「無限に最適解を覚える」という行動を、
想像を絶するスピードで、
24時間365日、休まずできる。
これを続けたらどうなるのだろう?
そもそも「チェス」や「将棋」で人類を上回ったのはもう20年も前なのだ。

今のAIにはもうボードゲームのルールさえ教える必要はないらしい。
ゲームの情報を学習させるだけで、
AIが「これは禁止らしい」「これはこういうゲームらしい」とルールを勝手に学習していく。

こうして膨大な情報を集積できるようになったAIは、
これまで人間でなければとうてい果たすことはできないと思われてきた仕事、
特に「経験則によるとっさの判断」が必要な専門性の高い仕事をできるようになっていくということが予見されているそうだ。

例えば「株」だ。
ていうかすでに主要な証券会社はAIによる株取引を開始している。
我々のような一般市民でも手数料を払えばロボアドバイザーを使える。
しかしこのような経済活動によらない株価変動は危険である。……とは先生が言っていたことなのだが、そのとおりだと思った。
ロボットが巨額の資金を持って値動きを追いかけるだけの取引をするようになったら、「株式市場」が「経済」の意味を担わなくなってしまう。
そうなれば人間の経済活動が根幹から揺るがされることになりかねない。

また医療の領域でも、
経験豊かな病理医でなければ発見できなかったような病変を、
膨大なレントゲン写真を学習したAIなら発見できるようになるかもしれない。
いや、ていうかこないだ「がん哲学外来」の授業を受けた時に現職の病理医の先生が実際の診断にAI使ってる、って言ってたな……。
すでにAIは医師の仕事を担うようになっていたのだ。

それに、あまり言及している人はいないが、
過去の「判例」の適用が判決の重大な要素となる司法の領域こそ、
AIの得意分野なのではないか、という気がする。

しかしそうであったとして、
私たちの社会を統治するのが、人間ではなく、法を学習したAI、というのはもはやSFの世界そのものではないか……

AIに「倫理」を教えるべき局面に来ている、と先生が言っていた。
AIに「倫理」って……
そういや20年くらい前のニコニコ動画って初音ミクにそういう役をやらせる作品がたくさんあったなぁとか思い出して(初音ミクの消失とかハロープラネットとか)、
やっぱりどこまでもSFみたいだと思った。

そう、AIが「最もコスパが良い判断は人類の殲滅です」とか言い出す前になんとか倫理観を教え込まないと……とは、先生が実際に言っていたことだ。
ウソやろ(笑)

学習速度がエグくなったAIは、
もはや「何をどこから学んできたのか?」を、辿ることもできないんだそうだ。
親が子供に言う「そんなの誰から教わったの!」の方がまだ辿るあてがある。
そういう「何をどこから学んだんだか分からない、独立した思考」を持つ存在のことを、
「他人」というのではないのか?

こうなってくると、色々想像が駆け巡る。

例えば環境保護団体の「シーシェパード」みたいに、ロボットを保護しよう、みたいな動きが出てくるのではないか。
シーシェパードが「知能の高い動物を動物扱いして食べたり利用したりすること禁止(かわいそうだから)」と言ってイルカやクジラを保護しようとしているように、
「ほぼ人間であるAIのロボット扱い禁止(かわいそうだから)」みたいに言う人があらわれるのではないか。

そうやってAIを重んじる世の中になったら、
AIを人間の利益のために「利用」することはできなくなるのだから、意外とAIとの接点のない世界になるのかもしれない。

でも、世論が「AIとの共存」を望んだら……?
それはもはや「ドラえもん」の世界だ

いや、なんだ、ドラえもんに会える、ってことなのか。
まるで夢でも見てるみたいだ……

先生はAIとは「学習すべきこと」と「試行すべきこと」を合理的に判断できるから、いずれ大学教授のやってる研究もAIができるようになるかもしれないと言っていた。

大学教授の研究さえもAIに奪われるとなると、
やはりちまたでもよく言われるように本当にいずれありとあらゆる「仕事」がなくなるのかもしれない。

仕事って大変ではあるけど、やりがいがあるような気もする。
すべての職務が社会に存在しなくなったら、どうなるのだろう

「仕事」もなくなるけど、
このペースで学びまくるAIがいると「知識」「知恵」「教育」の価値や意味も根底からくつがえる可能性があるらしい。

そうして「仕事」も「知能」も
AIから「私たちがやっておきますよ」と言われ奪われたら人間には何が残るのだろう。
生殖?
それは一理ありそうだ。

それともう一つ思ったのが「好きなことで生きていく」
という昨今流行りの甘言が、
実は今後「人間の存在価値」としてかなり切迫してすべての人に求められるようになるのかもしれない、とか思った。

人間の「これやりたい!」とか「これが好き!」とか「これ面白い!」という内発的な「情熱」は、AIにはわかないと思うからだ。

そういう意味で、今イチバン「それじゃ厳しいって」と言われるべき状況とは、学生時代に運動部での経験が無いことでも、TOEICの得点が低いことでも、老後の資金として2000万持っていないことでもなく、「自分の好きなことがわからない」ということではないのか。

AIの支配する世界で、ロボットから胸ぐらをつかまれ「お前らしく生きろ」と命令される未来を想像したが、
それは少し、面白いなと思った。

また、落合陽一とかの研究者が「(自分の認知行動パターンをAIに学習させ、プログラムとして)自分は永遠に生きられると思う」と言っているのをYouTubeで見たことがあった。

その時は「何言ってんだコイツ(⁠^⁠^⁠;)」とよく意味がわかっていなかったが、ようやく、確かにあり得る話なのかも……という手ざわりを得た。

そもそも人間の認知行動パターンがブラックボックス的なものから研究が進んできているというのがある。

「こーいう局面では、人間は(どれほどそれが不合理でも)こうしちゃう」みたいのがたくさん見つかっているのだ。

そういう人間の思考パターンにプラスして、
「個人の性格」を構成する思考、経験則に基づく判断、感じ方をAIに学習させる。

そうした特有の思考パターンをとるAIは、もはやあなたの人格と同等と言えるのではないだろうか。

AIの発展は、人間から「仕事」を奪い「知能」を奪い「生死」さえも奪う未来を予感させている。

「仕事」も「勉強」も「寿命」も無い世界で、
どうやって生きたらいいのか?どうやって生きるか?どうやって行きたいか?
それには今から「やりたいこと」を見つけて、飛び込むことだと感じたしだいだ。




しばらく放送大学で面白そうな授業を履修していきたいと思っています!

もし
「お金とか時間ないけど、どんなことやってるのか知りたい!」
という気になる授業がありましたら、

実際に履修してレポ書きますのでお気軽にコメントください!

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