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Train Spotting


『Train Spotting』はDopeそのものだった。

むしろ、この映画からこのスラングが生まれたといわれてもなんの疑問も持たない。それくらい超クールな映画。(字面で「超クール」って見るとちょっとダサいな。)


かんたんな映画のあらすじは、

ヘロインと犯罪に手を染める若者たちが「警察に捕まる」「ヘロインはもうやめる」「やめられない」の悪循環を繰り返しながらも、自分たちの道を探っていく物語。

『スタンドバイミー』が、ダークな方向に成長していったらこんな感じかも。


主人公のレントンが、ぶっ飛んだ行動の反面、心はぶっ飛びきれずに親への感謝とか常識をちゃんと持ち合わせてる感じが妙にリアルで気持ち悪い。

わたしが「家族愛」的な表現が苦手なだけなのかもしれないけど、レントンの度重なる失態を怒るわけでもなく、殴るわけでもなくただただ冷静に愛を持って向き合っている父親と母親の姿になぜか「作り物感」を感じた。


ベクビーやシックボーイという完全に頭がぶっ飛んじゃってる人間の奇行に引きながらも、NOと言えない周りのあの感じはおそらく誰でも一度は体験したことがあるんじゃないかなと思う。あの一緒に居合わせた時のバツが悪い嫌な感じ。

とにかくみんなとんでもなく純粋で、とんでもなく冷静なのがこの映画のベースなのかもしれない。中学生のまま大人になっちゃったみたいな。

なんかもうみると、あれこれ考えるのがどーでもよくなってくる。生きていく上で人の気持ちとか、周りの目なんて気にする必要なんてぜんぜんないのかもしれない。自分がいちばんかわいい、それだけで行動しても世の中はちゃんと回るし、もうオッケー中のオッケー。若いってそういことかも。

そんな中で、ヘロイン中毒が原因で死んだトミーの葬儀のシーンがすごいよかった。

トミーの葬儀に参列している元カノのリジーに対して、周りが「リジーとの失恋が原因でトミーはヘロイン中毒になった」と噂をするんだけど、リジーは涙を流すわけでもなければ、悲しい表情もしない。それどころか「わたしには今の生活があるの」といまにも言いだしそうで、でも何かを必死に我慢してるような顔がとてもキレイだった。

そもそもトミーの死なんてリジーからすれば迷惑でしかない。失恋をきっかけにトミーがヘロインに走ったのも、エイズになって死んだのも、ぜんぶリジーのせいじゃないわけだし。

ぜんぶトミーが決めて、トミーが招いた結果。

その葬儀の直後に、シックボーイとベグビーが「麻薬の取引をするのに金が足りない」と、遠回しにレントンに「金を貸せ」と話を持ちかけるのもすごい生々しくてよかった。

もう「死んだ友達より、目の前に大金があったら動くでしょ?何が悪いの?」みたいな潔さが、物語の中盤になると心地よくも思えてくる。

こんなぶっ飛んだ人たちだけど、女の子の前ではちゃんと弱いっていうのも見ていて可愛い。恋愛に対して、ちょっとピュアなレントンのあの感じは、いつの時代の女も弱いんだろうなぁと思う。レントンを演じるユアンマクレガーがかっこよすぎるのもあるけど。逆に言っちゃえば、女の子はユアンマクレガーのかっこよさを見るだけでも十分満足できる映画だと思う。

確かに、みていて不快になる場面も多いし、好き嫌いも別れる内容ではあるけど、劇中の音楽がいちいちかっこよくて不快感を中和してくれる。それに、とにかく終わり方がおしゃれすぎてもうそれだけでいい。

予告編

映像もいちいち可愛いんだよな。

音楽に関しては、さすがイギーポップという感じ。

続編を見るのがたのしみ



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