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Sound Horizonの考察・調査記事まとめ

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ニンニ リズが書いた、Sound Horizonの楽曲や世界観に関する考察や調査記録記事のまとめ。
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#Chronicle2nd

【SH考察:076】"神聖"帝国からみるサンホラにおける宗教観を共有する地平線(前編)

Sound Horizonの世界観における歴史を語る際に、Chronicle 2ndには重要な史実と思われる事象が大量に含まれている。 今回はその中でも特に神聖フランドル帝国の位置づけを中心に、彼らの宗教観を現実と照らし合わせながら理解していきたい。 対象1st Renewal Story Chronicle 2ndほぼ全曲 考察舞台となるガリア Chronicle 2ndでは、「ガリア」と呼ばれる地が舞台となる。 「ガリア」は国の名前ではなく広域を指す地域名?のよ

【SH考察:068】ミシェルの人物像を表すための12の要素

Sound Horizonの中でたびたび登場し、妖艶さと不穏さを漂わせてくる女性、Michèle Malebranche。 彼女について複数の曲に情報がちりばめられているため、改めて全体を俯瞰し、ミシェルの人物像を俯瞰的にとらえてみた。 対象ミシェルが関連すると思われる曲(「ミシェルの関連曲の時系列」の章参照) 考察ミシェルの関連曲の時系列 私の認識では、ミシェルの関連曲は「対象」で羅列した通り、現時点で10曲もある。 それを彼女の人生の時系列順に並べると、概ねこのよう

【SH考察:055】イターニアの歴史と宗教観への疑問

Sound Horizonにおけるイターニア。現実のイタリアに相当するだろう。 このイターニアについて述べている曲は少ないが、歴史観・宗教観を考える上では結構重要な位置にあるように感じる。 その理由をまとめた。 対象1st Story Renewal Chronicle 2ndより『沈んだ歌姫』 考察先に言おう、まとまってない この件、実は先日X(旧twitter)でこのつぶやきから始まる一連の話を投稿したところ、思ったより反応をいただいてびっくりした。 (弱小アカウン

【SH考察:050】イドルフリート・エーレンベルクは何者か?

Sound Horizonの作中登場人物の中で、発売されている音源の中では情報が少ないが、ライブでは存在感があるという変わった人物、それがイドルフリート・エーレンベルク。 彼がどんな人物なのか、情報を繋ぎ合わせて考えてみた。 対象1st Renewal Story Chronicle 2ndより『蒼と白の境界線』『碧い眼の海賊』 7th Story Märchenより『硝子の棺で眠る姫君』『生と死を別つ境界の古井戸』 音源未発売曲『海を渡った征服者達』『T・N・G』

【SH考察:024】雷神になる英雄とその末裔達

Sound Horizonの楽曲のなかで、雷神シリーズは3曲もあるが、クロセカに閉じているせいかあまり最近考察を見かけない話。 そのため、3曲にわたって何が起こったのか、事象と時系列を整理した。 対象曲Chronicle 2ndより『雷神の右腕』『雷神の左腕』『雷神の系譜』 考察時系列 時系列は『雷神の右腕』⇒『雷神の左腕』⇒『雷神の系譜』の順。 それぞれで1回ずつ嵐が起こっている。 1. 遥かなる時の彼方(≒かなり昔?) 要約: 邪悪な神々が楽園と呼ばれた地を破壊。

【SH考察:013】プロイツェンはドイツに近いがプロイセンからは遠い

Sound Horizonの作中には、ドイツっぽい地名がいくつか登場する。 そしてドイツそのものを指していそうな「プロイツェン」はかつて存在した国「プロイセン」を連想させる。 しかし実はプロイセンそのものは、現ドイツと支配領域が異なる。 その矛盾を皮切りに、「プロイツェン」が単一の王を仰ぐ国なのか、各地名を整理しながら「プロイツェン」の支配領域と、国家形態を検証する。 関連曲各地名が登場する曲。 1st Story Renewal Chronicle2nd より『聖戦と死

【SH考察:008】神聖フランドル帝国はナポレオンによる帝政がモデルなのか

私は別記事※で、サンホラで<聖戦>と呼ばれる戦い、特にブリタニアとフランドルとの戦いは1500年代の話と仮定している。 しかし、現実のフランスが帝政化したのはもっと後、具体的には1800年代ナポレオンが台頭した時期だ。 そのため、作中の<聖戦>が1800年代であった可能性はないかを検証する。 ※別記事はこちら 考察いったん作中の流れに沿って、実際の史実と比較した。 先に表でまとめたものを見せるとこちら。 フランドルがプロイツェンを滅ぼす これは現実の国名で書き直すと「

【SH考察:005】ルーナ バラッドはどこで生まれどのような軌跡をたどったのか

Sound Horizonの作中、かつて存在したと言われる詩人バラッドの最期の詩は、苛酷な旅を続ける娘の心の支えとなった。 その娘は恋人も視力も失ったが、自身もまた詩を続け、そして今度は彼女の詩が人々の希望となった。 この娘、ルーナ バラッドの軌跡をまとめた。 対象曲1st Renewal Story Chronicle 2ndより『辿りつく詩』『薔薇の騎士団』 9th Story Neinより『名もなき女の詩』 考察考察にあたり、事前にこちらもぜひご一読ください。

【SH考察:004】詩人バラッドと詩人ルーナの関係

Sound Horizonの作中に詩人として登場する「バラッド」と「ルーナ」、そしてルーナが口にする「エンディミオ」。この関係を整理した。 対象Pico Magicより『辿りつく詩』 Pico Magicまたは 1st Renewal Story Chronicle 2ndより『詩人バラッドの悲劇』 9th Story Neinより『名もなき女の詩』 考察時系列から見る関係性 『辿りつく詩』は、Pico Magic版とChronicle 2nd版で、出だしが異なる。

【SH考察:003】サンホラにおけるガリア史

Sound Horizonのインディーズ時代のアルバム『Chronicle2nd』に登場する、4部からなる聖戦と死神の物語。 この中で語られる「聖戦」に関して、他の地平線が絡むと思われる場面もあるため、どこで何が起きたのか、誰が関わったのかを整理する。 対象曲以下の12曲。多いな。 1st Renewal Story Chronicle 2ndより9曲と、 5th Story Romanより1曲、7th Story Märchenより1曲、9th Story Neinより