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降る雪や明治は遠くなりにけり

かつて図書館に勤務していた時
「もはや戦後ではない」
と書いた『白書』を見たいという
来館者があった。

書庫に潜って
1956年の『経済白書』を引っ張り出し、
これがあの有名な序文の一節の載る白書かと
ちょっと感動してみたりした。

ニュースで「男女共同参画白書」に
「もはや昭和ではない」
と書かれることになったと
報じられていた。

そうか、終わったか・・。

その通りだろう。

戦争に彩られた前半を僕は知らないが

家族を養うために
がんばって働くことが大事だった。
生きていくためには
汗をかかねばならなかった。
夢見るために
勧善懲悪と罵られても
ウルトラマンのように
正義の味方がどこかにいた。

昭和の喫茶店
クリームソーダ。
緑色のソーダの中で
バニラアイスと僕がふわふわ溶けていく。


ただ雪の降り積もりゆく静けさの心にありて疲れてゐたり


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