第180話:格助詞の僕とブタの物語
*これは高校生の古典文法の教材とご了解ください。
これは「格助詞って何だかわからない」という生徒の負担感を減らすために、古典の格助詞は現代の用法とほとんど同じで、記憶しなければならないのは現代の用法にない四つだけだということを説明するために、格助詞を用法ごとに僕とブタの物語として現代語に置き換え創作したものです。
お暇であれば、以下、ストーリーのみ流し読みしてください。それなりに感動的な話に仕上がっています(自画自賛)。
・ブタがいる(主格)
・僕の愛するブタ(主格)
・ブタの名は花子(連体修飾格)
・ブタの花子が昼寝する(同格)
・このブタは僕のだ(準体法)
・大学でブタの生態を学ぶ(対象)
・大学を出る(起点)
・卒業しわが道を行く(経過点)
・北海道に出張する(場所)
・夕方になる(時)
・札幌に着いた(帰着点)
・思いがけず花子に会う(対象)
・恋仲になる(変化の結果)
・食事に行く(目的)
・美しさに幻惑される(原因)
・花子に告白される(受身対象)
・親に会わせる(使役対象)
・堀北真希にも劣らない (比較)
・愛に愛を重ねる (添加)
・教会へ行く(方向)
・花子と結婚する(共にする相手)
・花子豹変し鬼となる(変化結果)
・その所行、悪魔と変わらない(比較)
・皿、茶碗、雨と降る(比喩)
・お互い「バカ」とののしり合う(引用)
・僕と花子との夫婦喧嘩 (並列)
・家より飛び出す(起点:場所)
・宵より降り出した雨 (起点:時)
・ビルの間より風が吹きつける(経過点)
・いつもより冷たく感じる(比較基準)
・花子からメールが来る(起点)
・部屋にて待っている(場所)
・手料理にてごちそうする(手段)
・私のわがままにて、ごめん(原因)
・ハートの絵文字して返信する (手段)
・二人して生きていこう(相手)
・僕をして謝らしむ(使役対象)
教師ってよっぽど暇なんだなあ、などという声も聞こえてきそうですが、こんなくだらぬことでも、バカみたいに考えあぐねる日々です。
*参考
ちなみに現代の用法になく、上で例文を作れなかった格助詞は次のとおりです。
・同格の「の」
八重葎茂れる宿のさびしきに人こそ見えね秋は来にけり
・比喩の「の」
あしひきの山鳥の尾のしだり尾の長々し夜をひとりかも寝む
・即時の「より」
名を聞くより、やがて面影は推しはからるる心地するを
・手段の「より」
つぎねふ山背道を他夫の馬より行ゆくに己夫し徒歩より行けば
■土竜のひとりごと:第180話
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