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胸痛テスト

[ 日本語雑話 ]

ぎなた読みという言葉遊びがあって、これは文章の区切りを間違えて読んだり、またはわざと変えて読んだりすること。
弁慶が、なぎなたをふりまわし・・
というのを、弁慶がな、ぎなたを、ふり回し・・と読んだことに由来するらしい。

有名なところでは、

一休さんの逸話
ここではきものをぬぐべし
・ここで、履物を脱ぐべし
・ここでは、着物を脱ぐべし

近松門左衛門が数珠を注文した逸話
ふたえにしてくびにかけるじゅず
・二重にして、首にかける数珠
・二重にし、手首にかける数珠

これらの逸話は、どこまで真実か出典はわからないようだが、言葉遊びとしてはなかなかおもしろい。ちょっと笑ってみたい方は、ネットで「ぎなた読み」と検索すれば無限に出会える。

身近なところで(これも有名らしいが)小学生だった息子がお風呂の最中、ねえ、ちゃんと風呂入ってる?と聞くので、今、入ってるじゃないかと言うと、へぇー姉ちゃんと風呂入ってるんだ!とのたまった。
同じく息子が、漢字ドリルをやっているのを見ていたら、ほしいくつというのがあって、息子は星幾つと書いていたが、正解は欲しい靴だった。また、はながみをむすぶとあって、息子は花紙を結ぶと書いたが、正解は花が実を結ぶだった。


無限にありそうだが、日本語は元来、書かれれば各音節の頭に漢字が来ることが多いので、漢字で書いてしまえばこれらも遊びとして成り立たないのだろう。(ただ、常用漢字が定められて漢字が減らされてから、これが少し微妙になった。例えば新聞記事で「○○国で邦人拉致」という表記が邦人ら致と書かれるようになってみると、邦人ら、致ってなんだ?みたいな現象もあるにはある。)


会話(平仮名・音)の中に基本的に成立するこの遊びが、妙なことに、ワープロの変換ミスによって、そのおもしろさが再燃している(のではないかと勝手に思う)。

このあいだも、ワープロで「一般には解されない」と打ち込んだつもりが、「一般に破壊されない」と変換された。
あろうことか、「おみくじ」について書いている時、わるいくじと書いて変換したら、何の拍子か「÷育児」と変換されてしまった。
この手の「面白い変換ミス」もネットを検索すれば無限に出会える。ひとつだけ紹介すると、ぶらし、わすれた。もっときわどいのもある。

ワープロも日本語の変化に一役も二役も買うに違いない。


まったくの蛇足だが、かつて格助詞の説明プリントを作って、タイトルを助詞の征服としたつもりが、女子の制服となっていて、女子生徒に白い目で見られた。
ついこの間、夏休みの学習についてというプリントを作り共通テストに触れたのだが、それが胸痛テストとなっていることを生徒に指摘された。でも、「言い得て妙」と互いに納得してしまった。


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