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「総合」の小学校と中学校の違い。その3

中学校において総合的な学習の時間の指導にあたるのは、各教科の教師である。担任であったとしても専門性に依存した学習指導をしている。「総合解説」では教科等の関連を明らかにする方法として、「総合的な学習の時間と各教科等の単元を関連付けた年間指導計画(単元配列表)(以下、年間指導計画)」を作成する方法を紹介している。

中学校では教科会や学年会が一般的な会議として設定される。教科会は、同じ教科免許をもった教師で集まり、その教科指導の充実を目的として話し合いを行う。学年会は学年生徒の情報交換や各分掌からの報告、行事等の検討を主とし、複数教科の教師は集まっているが教科等横断的な学習を計画することは少ない。
だから、中学校の教師は自身が指導する教科以外の教科の指導内容について十分に知る機会はきわめて少なし、年間指導計画で単元名が分かっても、他教科での授業の具体的なイメージをもつことは難しい。
そうなると「総合解説」のように年間指導計画の一覧を作っても単元名同士が形式的に関連付いているだけになってしまうため、年間指導計画以外の方策も考えなくてはならない。
村川雅裕先生(2015)は教科等の学習と総合的な学習の時間を関連付ける方法として、
①年間指導計画などを用いた「指導計画レベル」
②授業中に相互の関連に気付けるようにする「手立てレベル」
③教科等での学びが役立っていることの認識を子どもがもつ「子どもの認識レベル」
に整理している。

先週までの内容で言ったように、1人の教師が指導の中心となりうる小学校では①の「指導計画レベル」を起点に進めることが学習に横断性をもたせ、「総合」を充実させる上でとても有効なのだろう、と思う。

しかし、中学校ではどのレベルを関連付けの起点に据えるのか、と考えると①の指導計画レベルでは形骸化のみを引き起こす手段になる。

では中学校ではどのレベルを起点に据えるべきなのか、自分の取組も踏まえて提言したい。

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