時間のふるい
「時間のふるい」について考えてみたい。
私たちの社会の価値観は、時代によって変化している。
『不適切にもほどがある!』というTBSのドラマを見るとそれがよく分かる。
物語の舞台となっているのは1986年と現代だ。
この38年間の間にずいぶんと人々の価値観が変わっていることに気付かされる。そのギャップが面白いのも、またこのドラマの魅力でもある。
38年前でも価値観がそこそこ違っているのだから、100年や500年、1000年も前だったらどれほど違うだろうか。
原始農耕社会の時代、封建社会の時代、軍国主義の時代、高度経済成長期を迎えた時代、それぞれに異なった価値観の中で人々は生きてきた。
例えば、時代によって美人とされる人の特徴に違いがあるのは有名な話である。現代的な美人は平安時代には通用しないし、その逆もまたしかり。
おそらく100年前にヒットした日本の流行歌を、現代の日本人が聴いてもピンとこないだろう。
それは、当時の時代背景、人々が何を求め、どのように生きていたのか、そういった時代の雰囲気や、価値観を肌感覚として感じることができなければ、その当時の人たちの気持ちは分からないことだろう。
しかし、一方で、このような時代の変化、価値観の変化があるにも関わらず、何百年も前に作られたものが今でも愛され続けることがある。
例えば、日本では、毎年年末になるとベートーヴェンの第九の演奏会があちこちで開かれているが、200年近く前に作られた、このようなクラシックの名曲が今でも多くの人々を感動させているのである。
時代と共に変わっていく価値観の変化を「時間のふるい」とするならば、この「時間のふるい」にかかってもなお残っていくものも確かに存在するのだ。
なぜ残るのか?
それは、その時代だけの価値観だけにとどまらない、普遍的な価値観をもつ作品だからではないだろうか。
時代を超えて人を感動させる作品というのは、表面的な価値観の違いに左右されるのではなく、すべての人類が共通してもっている部分に共鳴する作品なのだと思う。
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