君は希望を作っている #12

 と、ちんたらやっていたら、沙羽はある日、きぼうで担当の男性支援者に怒られた。
「沙羽さん、今日は一日プログラミングやっていていいからね」
「うん」
「今日も明日もその次も、でもそれで集中切れちゃうようだったら、沙羽さん、いくらプログラミングやっても正社員は向いてないかもだよ?」
「あ……はい」
沙羽は言われたのでプログラミング練習サイトをその日も次の日もやっていた、本当にプログラマーとして働くなら頑張らないとね、と彼が言うので、熱心に……それでも沙羽はいつか居眠りを始めてしまって、はい、終わり、と沙羽は彼に言われてしまった。
「これじゃ沙羽さん、ここからせっかく正社員として旅立って行っても帰ってくることになっちゃうよ、どうするの?」
支援者は問い詰めたつもりはないかもしれないけれど、沙羽はそれですっかり弱気になってしまった。
「友人が」
「うん」
怒られていることよりも、夢見ていた正社員を「無理だ」と言われた悲しさからか沙羽は涙を浮かべているようだった。
「アプリを作って売ればいいって言うんです」
「あぁ、それいいんじゃない?速度とか期限がない、『作ります』って看板儲けるんじゃないやつね、いいじゃん、じゃあ作んなきゃ」
「はい」
彼には体育会系のノリが残っているらしく、どん、と肩を叩かれて沙羽は面食らった。
『kibou』ねぇ。
 あ、まずはサイト完成しないと。
 そうだアプリを作ったらペライチのサイト作ってアナウンスしよう、じゃあホームページのアップロードに慣れなきゃ。
 そんなことを自分に言い聞かせながらもプログラミングをやっていつの間にか昼休み、弁当は持ってきた、沙羽は海老原と食べる、何故か黒崎も一緒だ。
「HP作ってどうするのよ」
「まずは自分のサイトかなぁって」
「それ、乗せるの純文学なの?一文ももうかんないわよ」
 黒崎は沙羽に冷たく忠告してきた、沙羽はこうしてつっかえつっかえかろうじてサイトを完成させ、なんだか詐欺みたいなサーバーに中途半端に三千円ぐらいちょろまかされたりFTPに戸惑ったり質問サイトで初心者質問をしてネットの洗礼を浴びたりしながら、かろうじてアップロードさせることになった。
「夏空の小説道場」
何回もテストした画面を沙羽は愛おしそうに見つめる。
 すごい、ほんとうにネットにあるんだ。
 沙羽はそれをtwitterやfacebookのSNSで告知して、友人の一人がリンク違いに気付いて指摘してきたので、沙羽は慌てて修正を始めたけれどどんな問題なのかわからなくて、別のSNSの友人にファイル名のことを指摘されたりして、実際ファイルの指定だったらしく、ちまちま治して、でもまだなんか間違えていて……。
 そんな沙羽を、社長は静かに見ていた。

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