君は希望を作っている #13

 沙羽の希望探しは難航していた。
 Amazonにはない、楽天も、あとショッピングサイトってどこだったっけ?
 Instagramにあるんならむしろ食べログかなぁ、五つ星ぐらいついてそう、いいなぁ食べたいなぁ。
 さてと。
 あるきぼうの無い日、沙羽は希望を探す目で求人サイトを見ていた。
 未経験可の求人でもいい返事がもらえないなぁ、まずはアプリ制作だ、そうすれば未経験じゃないって、Twitterのタイムラインに流れてきたし。
 じゃあ、まずはっと。
 沙羽はエディタを起動して、『kibou』を見た。
 プログラミングのコードに赤線が引かれていて、間違っているらしい。
「え?この通りにやったのに」
沙羽は持っていたプログラミングの本を放りだしてググった、エラーも検索して日本語にして、そうしたら何かが入っていないかメモリが足りないかで、同じところでつまっていて全然進まない、多分メモリが足りない、でもパソコン新しくするお金ない、
「お母さん私のお金でやるからさ、これ増設していい」
「駄目、それでなんとかしなさい」
こともなげに言われて、沙羽は別のツールでいつだったか行っていた職業訓練校で学んだことを思いだしながら『kibou』をHollow Worldから始めた。
 希望。
 なんとなく名前を付けてみたけれど、沙羽には社長が言ったようにユーザーに入力させてそこから何かを導くみたいな高度なプログラミングは組めなかった、当たり前だけど。Pythonいるだろうし。お金無いからそれも自分で勉強するしかないんだろうなぁ。
 じゃあただユーザーの入力したキーワード繰り返すだけにしようか?
 それのどこが希望なのよ。
 今作れそうなものにしようかな、プロジェクト名なんて後でいくらでも変えられるし、でも何を作ろうかな?
 しばらく考えて沙羽は「プログラミングで作る」と書かれたノートに、新しくプロジェクトを作った。箒を持ったメイドが掃除をする中で、どんどん変なものが降ってくる、スコアアタック付き。
 さて、どんなゲームかはこれでいい。
 じゃあ希望を作ろう、そしたら正社員でどっかに雇って貰って、そこで結婚相手見つけようっと。
 希望に満ちているなぁ。
 しかし、案の上というかなんというか、何をどうすれないいのかすらわからない。
 沙羽はYoutubeでツールの使い方をレクチャーしてもらって、つっかえつっかえやって、それでもなかなかうまくいかなくて、何冊も同じような(乗っているところは少し違うけれど、沙羽の母には「同じもの」と言われた)プログラミングの本を買って、でも何が問題なのかはまだわからなかった。
 何を入れて下さい、そのためには、どうこう。迷路みたいだ。
「なんとかなりそうか」
「はい」
「そうか」
きぼうの日に支援者に声を掛けられて、沙羽は誤魔化して気の無い返事をする。

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