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あまり被写体になりたくない

「写真を撮る」というのは、大変傲慢な人間の所業である。

時間という、過去から未来へと流れゆく悠久な大河の一瞬を狙って切り取ろうという試みなんぞ、神々の領域を侵すことに等しい、大変罪深い行為だ。

まさしく、現代版の「バベルの塔」と言えよう。

と、そんなことは全く思っていなくて、ただ写真を撮られるのが恥ずかくてあんまり好きじゃないということをかっこつけて言っているだけです。

なんで被写体になるのが嫌かと言うと、まず、ポーズするのがかなりきつい~。

中学生の時、顔が猿に似ているということから猿というあだ名だったので、いまだに容姿への自信は全くない。

そんな自分が、「写真に撮られているということを意識して、ポーズをしている」なんて、本当に滑稽に感じられてしまって、気恥ずかしさがぬぐえないのだ。

とはいえ、高校の修学旅行でたくさん写真を撮ったから、どうすれば自然に写真映りがよくなるのか少しわかったし、2人などの少人数で写真に写るのは慣れた。

でも不意に撮られる写真はやっぱり最悪だし、集合写真で5~10秒くらいポーズし続けていると消えたくなってしまう。

実際、大して知らない人たちと一緒に撮らなければならなかった予備校の集合写真は、あまりに嫌すぎてトイレでやり過ごした。

と、こんな感じで写真に振り回されながら、何とか受け流しながらやってきたのだけど、就職活動を始めるとエントリーシートで「大学での活動で、あなたが最も輝いている時の写真」なんてものを要求される。

大学入学以降で自分の映っている写真なんてほとんどないんだよな。

浅草で人力車に乗る前、車力の人に撮ってもらった1枚と、ディズニーのキャラクターグリーティングで白雪姫&王子と一緒に撮ってもらったスリーショットが1枚、それだけ。

仕方ないので、まあ一人旅が好きなので……という説明で乗り切っている。
ここにきて、被写体になるのを避け続けてきた代償が来てしまった。

でも、高校時代の思い出の写真はめっちゃ見ちゃうんだよなぁ~~、あの時の青春の一片を記録に残しておいてよかったな~~と定期的に見返しちゃうのよね。

結局はテクノロジーの恩恵を受けています。


Podcastもやってます。
今年の冬~春あたりに上映されていた映画『BLUE GIANT』の感想回です。
ぜひ聞いてね~!


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