Glyphsでフォントを作ろう 第9回
さて、引き続き微調整を進めていこう。
今回調整するのは下の7文字だ。
「a」を調整しよう
視覚的なバランスをとるため、「n」に合わせてこちらも幅を広げる。右下の先端部には前回説明した「n」や「b」と同様の処理を加えておこう。
ちなみに、「a」の下半分の丸い部分についてはあえて幾何学的にしていない。この部分を真円にしようとするとどうしても字幅や形状が不自然になるし、文字列として並べた場合も悪目立ちしてしまう。
とはいえこの辺りは目的次第で、明確な意図を持ってそういった特徴を持たせるのはもちろん有効な方法だ。
(Futuraの初期デザインはこの辺かなり攻めたデザインをしている)
「c」を調整しよう
こちらは切り口の角度を微調整し、開口部を広げる修正を行った。これで口元の窮屈さが解消された。好みにもよるがもう少し広げても良いだろう。
「e」と同様に横幅も少々広い気がするので、こちらも調整しておく。
「f」を調整しよう
「a」や「n」を広げたので、全体的なバランスを取るためにこちらも少し広げる。アセンダのアーチ部分と横線を広げよう。
あまりやりすぎると右に傾いたように見えてくるので、ほどほどにしておこう。
また、「e」の横線を少々太らせたのでこちらも同じように調整しておく。
「g」を調整しよう
「q」よりも線の密度が高いので少々窮屈な印象だ。また、「d」や「q」よりも少し文字幅が大きく見える。
なので円の部分を少し小さくして視覚的なバランスをとろう。円の部分を右上に向かって縮めるイメージだ。
この際に円の下側がベースラインから少し浮くことになっても問題ない。ディセンダのアーチがあるのでさほど気にならないのだ。
ただし露骨にやってしまうとさすがに気づかれるので、10ぐらいの移動でとどめておこう。視覚補正分ベースラインから飛び出させていた部分を引っ込めるぐらいの量だ。
「j」を調整しよう
個人的な好みにより、カーブを緩やかにする。
「m」を調整しよう
幅はそのままで問題ないので、細部に「n」と同様の調整を施す。
「r」を調整しよう
右に張り出た部分が少々貧弱に感じられたので、「n」とデザインを合わせつつ根元を補強する。
比べてみよう
今回もまた微妙な違いに落ち着いた。比較的分かりやすいのは「a」だが、これは視覚補正云々よりも元の形状がよろしくなかったというのが大きい。
ちなみに、「a」は英語の中でも出現頻度がかなり高い文字なので、ここを調整するだけでもフォント全体の雰囲気が変わる。
言い換えると、影響力の大きい文字なので他の文字と調和をとれるように注意しよう。
次回予告
4月中には小文字に区切りをつけたいと思っている。
多かれ少なかれ「t」以降の7文字には全て調整を施す予定だ。それが終わったらいよいよ大文字。
それでは、お楽しみに。
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