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銀木犀と金木犀

9月の誕生日が過ぎた頃から、今か今かと楽しみにしていたことがある。

それは、金木犀の開花。

毎朝通る駅までの道のりには、数件のお宅の庭に、大きな金木犀の木があって、毎朝目を凝らし、鼻を効かせさせながら、まだかな、まだだな。と確認しながら駅に着く。

そう、出来ることなら誰よりも早く金木犀の匂いに気づきたい。そして思う存分甘い香りを吸い込みたい。

金木犀は、大気が汚染された場所では咲かないといわれている。
工場が多く、光化学スモッグ警報が出てしまうわが町なので、大気は清らかに保たれているのか、バロメーターにもなっている金木犀。

昨日もいつものように、マンションのエントランス脇の金木犀を観察しようと近づくと、ふわ〜っと甘い香りが漂ってきた。

お〜!来た!

見れば、木の枝に淡いオレンジ色の小さな花が顔を覗かせていた。
前日の夕方はまだ何も見えなかったのに。
金木犀はいつも一斉に開花するのが不思議だ。

去年も思ったことだけど、この金木犀は花の色が薄い。そしてまばら。香りも弱い。
実家にあった金木犀は、もっと濃い橙色で、丸く固まって花が着くし、香りが強い。

そして駅までの道のりで、金木犀の香りは強くなった。

香りのする方向へ、キョロキョロしながら歩く。
他のお宅の木々には、どこも濃い橙色の花が咲いていた。遠目でも確認出来るほどの橙色。

やっぱり、うちのマンションにある金木犀は、ちょっと違うんだ…と、電車に乗ってから急いでスマホを開いた。

金木犀
色が薄い
と、Googleで調べてみる。

すると、「銀木犀と金木犀の違い」という記事が目に入った。

ん?銀木犀?


金だけじゃなくて、銀もあるのか。知らなかったが、どうやらモクセイ科には他にも数種類の花があるらしい。

調べてみると、植物学の分類上、金木犀は銀木犀の変種とされている。

そして、珍しいわけではなく、かなり広くの地域に分布している、よくある木だった。
香りが強いせいで、金木犀の名前が広く知れ渡ったのだろう。

ギンモクセイの花は白色で、香りはキンモクセイよりも弱く、花に顔を近づけると感じられる程度。


見分けるポイントは葉の形。
ギンモクセイの葉には、ギザギザがあって、キンモクセイの葉にはないらしい。

ギザギザした葉

金木犀が強く香るのには、橙色の花の色に理由があるそうだ。

橙色の正体はカロテノイドという酵素の一種で、分解されてイオノンという精油成分が作られる。
これはらスミレの精油などにも含まれる甘い香りの精油成分。その為、橙色が濃い花は、香りが強いと言われている。

この酵素の活動は午前中に活発になり、夕方以降は落ち着くそうだ。

金木犀の香りを楽しめるのは、開花から一週間ほど。

通勤、通学路にある金木犀で、行きは秋の香りを胸一杯に吸い込んで、元気をチャージ!
そして帰りは、ほのかに漂う甘い香りが疲れを癒してくれそうだ。

秋の季節を豊かに感じさせてくれる、金木犀や銀木犀の香り。

楽しめるは今だけ。皆さんはもう感じましたか?

金木犀の花言葉は「謙虚」「陶酔」「気高い」
強い香りに反して、花自体はとても小ぶりなことが由来だ。

銀木犀の花言葉は「初恋」「高潔」「唯一の恋」
中国では古くから、デートの前に銀木犀入りのお酒を飲んで甘い香りを漂わせてデートに挑むという習慣があったため、「恋」に関する花言葉が多い。




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