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箸休め

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連載小説の息抜きに、気ままに文を書き下ろしています。文体もテーマも自由な随筆、エッセイの集まりです。あなた好みが見つかれば嬉しく思います。
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#私の作品紹介

「ごあいさつ」

こんにちは、いちです。 長編小説「KIGEN」の連載が終了致しました。お付き合い下さった皆様に、心より御礼申し上げます。お読み下さっていると実感できるたび、その一つ一つがどれ程励みになったか知れません。連載を続ける上でも大きな支えでした。また、お時間の許すとき、現在進行形でお読み頂いている皆様の事も、私にとり大きな励みでございます。本当にありがたく存じます。 しばらく執筆と、そして自身の生き方に向き合う時間に主軸を移します。その間に、noteとの付き合い方も考えてみようと

「ひとつぶあるき」

こんばんは 焦っちゃだめ 一つずつ。 一度に沢山はできないから。手も二つしかないし、脳味噌なんて一個しかないの。 焦っちゃだめ。 沢山どころじゃないの、一度に一つずつしかできないの いいの、大丈夫。それでも一つは確実に出来てるってことだから 取り敢えずさくらんぼ食べるわ 凄く美味しいの はあ~ 今日も幸せだわ。 スーパーで売ってるさくらんぼにしては粒の大きな山形のさくらんぼに出会いました。いつか木箱に入ったさくらんぼを食べてみたいです。 いつもいちnote

「ぐるりの春」

ラッパ水仙が見上げる空には、刷毛で伸ばしたようなすじ雲が広がっています。 三月の半ば、穏やかな晴れの日の一枚です。 毎年お世話をしていないのに、季節が来ればぽんと蕾をつけて、寒さの残る風に耐え、こうして陽気に花を咲かせては、我が家に春のはじまりを告げてくれます。今年はどうしたことでしょう、6つ子です。あんな土壌で、よくぞ沢山咲いたものだなあと思いましたけれど、そういえば去年、里芋を育てた土を入れ替えの為に敷地内のあちこちへほいほいかけて回った事を思い出しました。その効果な

「活動時間」

私の活動時間は一日19時間から20時間だ。その内ウルトラマンの3分に相当するところは大体3時間だ。 ウルトラマンの3分ってなんだよという方の為に補足すると、一日の活動時間の内で、ものすごく集中している時間、つまり、その日の自分が最も良いパフォーマンスをみせる時間の事である。 因みに本物のウルトラマン・・・本物のウルトラマンってなんだかよくわからないけれど、本物のウルトラマンの3分は、地球での活動可能時間だ。それ以上はプラズマなんとかが無くなるから戦えないんだって。 ウル

「あらまほしきことなり」

 誕生月は長編執筆で自分を追い込みながら始まった。十月末に一旦書き上げる予定であったものがずれ込んで、然し山形までに一度書き上げねば呑気に旅なぞ行かせんぞと脅されるものだから、誰にって、自分にだけど、そう云う訳だから必死で書き上げた。だから旅前の一週間くらいは非常に浮かれ気分で暮らした。今がチャンスと短編や掌編を書いて楽しく暮らした。荷造りで浮かれ、切符で浮かれ、想像巡らしては浮足立って暮らした。過日お話した通り晩秋の山寺を堪能して、他にも語り切れていない山形を存分に吸い込ん

「雲は群れをなして」

先日手紙に「広辞苑」と書こうとして「辞」の「辛」と「舌」を逆にして書いた時寝不足を実感しました。とはいえ便箋を一枚ロスにしてしまった事の方が悲しい事実でした。慰めに紅茶を淹れて飲みました。 皆様こんにちは 深まる秋、いかがお過ごしでしょうか。わたくし色付いた野山を陽気に歩くのも好きですけれどモフモフ布団にくるまれているのも好きです。 ええ、先月も沢山お知らせを頂きましたので、遅ればせながら10月の振り返りを行います。あなたにいつだって何度だって伝えたい。 「いつも本当にあり

「六畳一間、時々お台所、そして外」

 どなた様もこんにちは、いちと申します。天然自然と生きています。令和四年八月にnote3年生になりました。 ・小説を書きます ・手紙を書きます ・和菓子が好きです ・月が見えると喜びます  他の事もできます。  いちのnoteでは、長編小説、掌短編、エッセイ、料理の話などをマガジンで分けて掲載しております。あなたに届けたい、その一心で筆を執っては六畳一間から、お台所から、そうして時には自然の中からお届けしています。  noteを始めなければ味わえなかったであろう素敵な経験

「いまが長月」

 初物の極早生みかんが市場へ出回る季節になりました。青々として艶やかな一つ一つ、酸味の効いた果実を想像して口の中がきゅっとなります。「今季初入荷」に居合わせた幸運に乗じて早速買って帰りました。  粒ぞろいの果実を頬張りながら、九月を振り返って参ります。 #私の作品紹介 と、先週もっともスキされた記事の一つに選ばれました。物語を書いていたくてnoteに居る自分。その一本があなたに届く度、ああ、書いていて良かった、そう思います。お年頃で活発な三姉妹の物語です。 先週もっとも

「その日焼けも勲章ね」

 じめじめの続いたお盆明け、雨あがらないかな月はまだかなと毎夜燻る空を見上げていたものですが、日曜日、ランニングの為外へ出てみれば秋の雲が敷き詰まっています。昼間の内から涼しい風が吹き、気付けば天高く、日差しも気持ちよく注ぎます。どうやら秋の入り口が見えて来たでしょうか。  そんなお休みの夜、窓を開けたままでは半袖の腕が寒いと感じる程気温が下がりました。試しに外へ出てみれば、星が散らばっています。コンビニの街灯がなければもっと奇麗に見えるでしょう。それはさておき、これはチャ

「空の大河は人知れず輝く」

今年も天の川は夢の中、それならせめてチップスターでも頬張ろうかとカルビー贔屓に似合わぬ戯言ぬかしたとかぬかさないとか、チップスターも昔から食べますいちです。こんにちは 有難い事に七月もちらほらnoteからお祝いメッセージを頂きましたのでまとめて紹介させて頂きます。お付き合い頂ければ幸いです。 ひと月の振り返り記事を珍しく早目に出したら、その直後にお知らせを頂きました。嬉しかったので七月分で紹介します。奥入瀬渓流の旅の前後を綴った話が、「国内旅行記事まとめ」 というマガジンに

「ひぐらし、雀の集会所、白桃の月」

 雨上がりの夕方、休日の国道は常よりも静かで、山の声がいつもよりもよく聞こえる。終日隠れていた長い日は、暮れる前に少しだけわが家の物干し台をオレンジ色に照らした。そうして今は蜩が鳴いている。  もう夏だ。先日から職場へ向かう道中にも蝉の声を聞くようになった。これから一層賑やかになるだろう。夏が盛んと降りしきるのだ。近所の線路を、たった今電車が走り去った。夜も更ければ踏切の音さえ鮮明に届く。週末の夜空には久し振りで月が昇っていた。白桃色で麗しく、またしても暫し見惚れた。空き家

「地球の呼吸、回るパラソル」

『 揺れて紫陽花 月と太陽 雲隠れ   空惚ける雨童 天邪鬼   今日も前線 綱渡り   気まぐれに降らない 私が傘を持って出たから                       六月の溜息・いち  』  皆さまこんにちは お足元の悪い中、お越し頂き誠にありがとうございます。六月の振り返りのお時間がやって参りました。それではどうぞこちらへ。あ、そこ、水溜りにお気をつけ下さいませ。  といかにも梅雨らしく始めたかった六月ですが、梅雨明け出された地域も多く、暑い日差しを躱しな

「長い旅になる」

 物語の旅は長い。歩いても歩いても道は続く。だが立ち止まってもいいし、途中で引き返しても良い。ひたすら先へ進むのだって無論のこと構わない。物語の旅は、要するに自由なんである。  本を広げて寛ごうと思うと、他の作業は片付いただろうかと周囲を見渡し、気懸かりがなくなってからでないと、さてさてと向き合う気になれない自分である。だがそうして漸く広げたページの狭間へ思考がすとんと落ちるのは早い。文字を追う程に加速して、その他一切を忘れている。そしてそんな物語に出会えること自体が喜びで

「ぽっとしてお日様の匂いがする四月」

 皆様こんにちは、四月の終わりから五月の頭に出会った風景を切り取って始まりました、四月の振り返りでございます。私は五月の連休に、屋根より高い鯉幟に数年ぶりに出会いました。高い空目指して泳ぐ鯉幟の勇壮な事、同じ風を受ける自分まで嬉しくて、いつまでも目に焼き付いて離れません。その足元へ降り立った鳥の名が出てきませんがシャッターを切ったタイミングと鳥の止まる瞬間が重なりました。それから野の花たちです。家のぐるりで撮影しました。ドイツ菖蒲も沢山咲きます。朝外へ出た時花が幾つも咲い