「ひぐらし、雀の集会所、白桃の月」
雨上がりの夕方、休日の国道は常よりも静かで、山の声がいつもよりもよく聞こえる。終日隠れていた長い日は、暮れる前に少しだけわが家の物干し台をオレンジ色に照らした。そうして今は蜩が鳴いている。
もう夏だ。先日から職場へ向かう道中にも蝉の声を聞くようになった。これから一層賑やかになるだろう。夏が盛んと降りしきるのだ。近所の線路を、たった今電車が走り去った。夜も更ければ踏切の音さえ鮮明に届く。週末の夜空には久し振りで月が昇っていた。白桃色で麗しく、またしても暫し見惚れた。空き家