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箸休め

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連載小説の息抜きに、気ままに文を書き下ろしています。文体もテーマも自由な随筆、エッセイの集まりです。あなた好みが見つかれば嬉しく思います。
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#みんなでつくる春アルバム

「すいー、すとんっ」

大人になって登ったら、滑り方忘れてました。すべり台。 春うらら~ なんて木々を見上げる間に四月が終わりました。日差しは随分穏やかに、花咲き誇る街道はみるみる内に新緑に染まりつつあります。風が嬉しい。そんなお昼。月が恋しい。そんな夜―― どなた様もこんにちは 月に一度の振り返りエッセイのお時間でございます。お付き合い頂ければ幸いです。 #ほろ酔い文学 と #私の作品紹介 で頂きました。 勤め先でカクテルを提案する機会がありまして。ふと思い浮かんだ空想を掌編に落とし込んでみま

「日和写真館」

春の陽気に誘われて、足を運んだ四月のよりみち。気ままに向けたカメラの向こうを、どうぞ。 けれどもまあ、花より団子。                           おわり

「竹の子とキャラメル」

 スーパーで竹の子を見つけた。でんと大きな竹の子が、今年はよく並ぶ。竹の子は好物だけれど、灰汁抜きをして調理する手間を割けない。作ればさぞ美味しいだろうと、生の竹の子を横目に立ち去る日々を暫し繰り返している。竹の子は大変美味しい、春を戴くに持って来いの山の恵みなのである。    むかしむかし、私が今よりもっと小さな小学生だった頃の話だ。  当時は両親が小さなレストランを経営していた。店の常連客に、きのこの先生と呼ばれる先生が居た。そのきのこの先生と私の家族とで、ある年の春

「とんとん拍子、その調子」

 すっかり春めいた日差しの中、あちらこちらで新芽が吹いて、世界は一息に色彩豊かになりました。  皆さまこんにちは 今年も桜が綺麗です。  待ち設けた楽しみがあると、月日の過ぎるのが早いと感じます。さて、毎月恒例のnoteからのお知らせを振り返るお時間です。投稿数は少なく、長編小説連載中でもありまして、お知らせは頂けないかもしれないと思っておりましたが、ちょっとだけお付き合い頂けますと幸いです。 #振り返りnote で頂きました。韻を踏んで遊んでいます。言葉はリズムです。な

「満開の桜を知らない、代わりに弱さを知る」

「切に自愛を祈る」  ・・・これは夏目先生が人に送った手紙の言葉だ。    頑張って下さいと言うよりも、活躍を願い励ますよりも、御自愛下さいと言うよりも、こんこんと祈るような優しさに満ちた言い回しだと思ったから、早速真似をした。自分が使うには背伸びだったかも知れないけれど、自分が知る以上に頑張っておられる方に、頑張れよりも似合う言葉を届けたいと思ったのだ。因みに自分は頑張ってと言われると頑張る人である。  未だ四月を迎える前だというのに、今年の桜は気が早い。否、桜の所為に

「ぐるりの春」

ラッパ水仙が見上げる空には、刷毛で伸ばしたようなすじ雲が広がっています。 三月の半ば、穏やかな晴れの日の一枚です。 毎年お世話をしていないのに、季節が来ればぽんと蕾をつけて、寒さの残る風に耐え、こうして陽気に花を咲かせては、我が家に春のはじまりを告げてくれます。今年はどうしたことでしょう、6つ子です。あんな土壌で、よくぞ沢山咲いたものだなあと思いましたけれど、そういえば去年、里芋を育てた土を入れ替えの為に敷地内のあちこちへほいほいかけて回った事を思い出しました。その効果な

「月が笑う朝、僕のそばには花があった。もぐもぐと君と春」

おはよう あのね 大発見 月が夜明けに大地へ降りたら 隣でお花が潤んでた 心がぽっとなる だって君が笑ってくれたから 僕はいつの間にか 春がそばへ来てくれた事を知ったんだ ほら、春だよ ドーナツのお土産ってわくわくなんだって。 メロンパン、満月に食べた。 積まれると嬉しいホットケーキ。 和三盆のぷりん。 クッキー&クッキー お土産には優しさがぎゅっと詰まってる トマトソースでオムレツ。 滋味深い 春の麗しい色香  「先生とキャラメル」 「オーヘンリーとア

「後日譚」

部屋に連れて帰った菖蒲ですがね、あの晩一つ、二日目の夜にもう一つ、咲いたんですよ。ええ、私が部屋にいる間には咲かないでね、少し離れている隙に、咲いていたんですよ。あんまり悔しくて、二本目はと思って凝と観察していたんですがね、そうすると咲かないものでして、根競べでした。でも駄目ですね、翌朝みたら、咲いちまってるんだもの。負けやした。仕方ないから、庭から伸びすぎの山椒をこうぱちんと切って来て、一緒に記念撮影でさあ。まったく植物ってのは、面白い生きもんだねえ。 と、江戸っ子ふうに

「本屋へ解き放たれたい」

 ここnoteでの売り上げを持って、大きな本屋へ出掛けたい。鞄には他に、携帯用のアルコール消毒と、布製の手袋を持って。電車の中ではマスクを着ける。口の周りの荒れに悩まされているから、内側には綿ガーゼを当てておこう。  久しぶりの本屋へ辿り着いたら、先ずは忘れずにアルコール消毒と、それから布製手袋をはめようかな。そうしたら、 「さあ、好きなように見ておいで」と随分本屋がお預けになっていた自分を本の海へと解き放つのだ。それで、新しい出会いを求めて、あっちの棚、こっちの棚と、縦横無

「門出の日。君に花束を贈ろう」

 数々の困難掻きわけて、仲間と、家族と乗り越えた、頼もしい子どもたちへ。会いに行けない代わりに、祝福の花束を届けるよ。  ―卒業、おめでとう―    今日は卒業式。晴れの日で良かった。生まれた時から知っている子どもたちがあんなに立派に成長して、一つの節目を迎えたなんて、本当に、大きくなったなあ。お花も無事届けて貰ったみたいで、良かった。素敵な日になりますように。                      いち