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「わたしたちの日常を、宇宙ビジネスで豊かにする」sorano meのビジョンについて〜2024年3月版〜

はじめに

sorano meのnoteを開いてくださりありがとうございます!
sorano me代表の城戸彩乃です。


去年の8月に「sorano meが掲げるビジョン『わたしたちの日常を、宇宙ビジネスで豊かにする』とは」というnoteを書きました。
今回は改めて「目指すべき理想状態としての「Planetary Health」」について、また、新たにその実現のためにうまれた宇宙視点を取り入れたサービスデザイン手法「Earth Experience」と、当社での具体的な取り組みを紹介したいと思います。
ご興味のある方は資料ダウンロードが可能です。お気軽にお問い合わせください。

🗒2023年8月に公開したnoteはこちら🗒

(1)sorano meのビジョンと衛星データ活用について(再掲)


sorano meは、「わたしたちの日常を、宇宙ビジネスで豊かにする」というビジョンを掲げて活動しています。私が「TELSTAR」や「宙畑-sorabatake-」を立上げた当時は「宇宙産業を日本の誇る基幹産業にする」というビジョンを掲げて発信活動を行っていましたが、sorano meという新たな法人を立ち上げるにあたり、ビジョンを改めて考え直しました。
日本の経済的な発展・産業発展に寄与したいという想いは変わらないものの、経済発展を目指すという点に少し違和感を覚え、改めて宇宙開発の価値、何のために宇宙の面白さを伝えてきたのか?といったわたしたちの原点を考え直したとき、生まれたキーワードが「日常を豊かにする」でした。何気ない毎日を、宇宙開発というワクワクする技術で豊かにすることこそが、わたしたちが実現したいことだと思うにいたりました。
「豊かさ」は、物質的・経済的な豊かさのみではなく、日常を大切に過ごす時間が増えている状態、よく眠れる状態、笑顔でいられる状態、学びを楽しめる状態、歓びを感じる状態など、自らの内発的な幸福感を持続的に感じることができるような時間的余裕、心理的余裕、身体的余裕のある状態と考えています。

「豊かな日常を実現する」ために、宇宙開発技術を使っていくことができたらと考え、ビジョン「わたしたちの日常を、宇宙ビジネスで豊かにする」を設定しました。わたしたちが現在特に注目しているのは、地球観測衛星が撮影した衛星データを含むリモートセンシングです。
地球観測衛星とは文字通り、地球を周回し地球の状態を観測する衛星のことで、わたしたちの日常を見守る衛星です。リモートセンシングはリモート(遠く)からセンシング(観測)する技術で、この中にはドローンや航空機、IoT等のデータ取得技術も含まれます。衛星リモートセンシングは、わたしたちの日常を宇宙から見守る技術です。
地球観測衛星は、小型化の流れも受けて近年、その数が大きく増えています。さらに、各国でこのデータをオープン化する動きも加速し、日本でも2017年より「政府衛星データプラットフォーム”Tellus”」がスタート。JAXA等が打上げる衛星データを民間企業や大学、個人までもが利用できるようオープン化しています。
衛星データは、地上で自然災害があったとしても、広域を定期的に同じような形式で観測し続けることができます。
そこで広域の自然を相手にする農業では、米の収量予測や収穫タイミング予測、漁業では、漁場の選定による燃料のコスト削減などに使われる他、地盤沈下や土砂災害の被害状況把握などにも役立っています。

(2)目指すべき理想状態としての「Planetary Health(再掲)


衛星データの価値をより具体的にイメージするための考え方としてわたしたちが注目するのが「Planetary Health」です。
「Planetary Health」とは、人間の健康と地球の健康は密接に関係しており、地球の不健康は人間の健康へも影響する、といった考え方です。
これを提唱するロックフェラー財団のランセット委員会では、Planetary Healthの考え方の前提を以下のように置いています。

  • 人間の健康と地球の健康は密接に関係している。人類の文明は、豊かな自然と賢明な資源管理に依存する。

  • 現在の自然環境は前例にないほど悪化しており、人間の健康と地球の健康はともに危機的状況にある。

現在の自然環境は「Planertary Boundary」という考え方で、ストックホルム・レジリエンス・センターのヨハン・ロックストローム博士(現ポツダム気候影響研究所所長)らによって開発された指標でその状態が定義されています。人類が生存できる安全な活動領域とその限界点を表現するために開発された指標ですが、9つの指標があり、その指標は(1)気候変動(2)大気エアロゾルの負荷(3)成層圏オゾンの破壊(4)海洋酸性化(5)淡水変化(6)土地利用変化(7)生物圏の一体性(8)窒素・リンの生物地球化学的循環(9)新規化学物質。このうち、(1) 気候変動、(7) 生物圏の一体性 (8) 窒素・リンの生物地球化学的循環の3つは既に限界を超えていると言われています。


Planetary Boundaryの概念/Nashらの論文より引用 PNash, K.L., Cvitanovic, C., Fulton, E.A. et al. Planetary boundaries for a blue planet. Nat Ecol Evol 1, 1625–1634 (2017). https://doi.org/10.1038/s41559-017-0319-z

人類で初めて宇宙に行ったユーリ・ガガーリンは「地球は青かった」と言いました。
この美しい地球を持続可能にするために、そして、わたしたちが健やかな日常を営み続けるために、現在人類に課せられているミッションは「Planetary Boundary」を超えないことなのです。
起きてしまっている事象から適切に身を守り、イノベーションの創出によって、この境界の内側まで、指標を引き下げる必要があります。

(3)その実現のために宇宙視点を取り入れたサービスデザイン手法「Earth Experience」とは?

地球と人、両方の健康=プラネタリーヘルスを実現する為に、sorano meが提唱しているサービスデザイン手 法 が「Earth Experience Design」(デザインーシステム連 動 思 考)です。「Earth Experience Design」は、これまでの「人間中心のデザイン」ではなく、「人間と地球の関係性のデザイン」に着目し地球と人間の社会活動が連動している地球課題を見つけ、解決することを目指しています。私たちsorano meはこのデザイン手法と衛星データをかけ合わせ活用し「サステナブル」と「ウェルビーイング」が両立する世界を実現するため、大気や土壌、気候など世界各地の様々なプロジェクトに挑戦しています。
新しいサービスデザイン「Earth Experience Design」で、地球環境と企業・地域の課題解決に取り組みたい、興味がある自治体や企業などを対象にワークショップも実施しています。

(4)sorano meの4つの取り組み

sorano meでは、EXの実現のために現在4つの取り組みを実施しています。
内容をまとめた資料を配布していますのでこちらからダウンロードください。
(無料:無断転載はご遠慮ください。)
🔗ダウンロードリンク

①大気(大気×適応×健康)
−大気汚染の健康リスクを可視化して、変化に適応する−
📍インドネシア 
気候変動や大気汚染等による健康被害(循環器・呼吸器疾患)が世界的に深刻化しています。インドネシアでも同様の傾向がみられるもの、人々を健康被害から守る社会システム・取組の効果は限定的です。そこで本事業では、衛星・地上環境・医療データを掛け合わせ、日々の疾患リスク変動を天気予報のように共有する「プラネタリーヘルス疾患リスク*可視化システム」を構築するべく、実証実験を三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社・株式会社三菱UFJ銀行と共に進めています。
* 気候変動や大気汚染等の悪化に伴い、罹患/死亡リスクが上昇する特定の疾患群のこと

②土壌(土壌×緩和×食)
−土壌の状態を可視化して、持続可能で幸せな食卓を守る−
📍日本・京都市伏見区
🔗アースエスクペリエンスラボ
土壌のリン窒素過剰投入による地球環境・生態系・人体への影響を可視化し、過剰投入を抑制しながらも満足感のある幸せな食事を作るためのデザインプロジェクト。「ツチヨミ」サービスは、消費者が複数の農家に投資し、収穫した野菜を投資の対価として受け取ることで「土壌の持続的な循環」と美味しい野菜を食べて得られる「ウェルビーング=幸福」を実現することを目指す新しいサービスです。現在は、京都府伏見区の山田ファーム様にご協力いただき、衛星データを活用した実証実験を進めています。

③気候(気候変動×適応×労働環境)
📍ベトナム
−気候変動の影響を考慮して、幸せな働き方と美味しいコーヒーを両立する−
気候変動の影響により、従来のコーヒー栽培適地が同じ品種を育てにくくなるなど、適地の変化が起きています。さらに野外の作業の多いコーヒー営農では、同様の影響で、労働環境が年々過酷になってきており、熱中症の被害も増えてきています。私たちはベトナム国内で農園コミュニティを運営するLiiily Asia inc.と共同で、ベトナム国内の各地域におけるコーヒー栽培支援サービスを開発し、生産者の労働環境を改善しながら、生産者と消費者をつなぐ新しいマーケットを作り出そうと活動しています

④気候(気候変動×緩和×自然資本)
−気候変動を緩和するため、自然資本を可視化し価値化する−
📍日本/世界
🔗Archeda コーポレートサイト
気候変動の主要要因として、人為的な炭素排出量の増加が問題になっており、各国が①排出量削減 ②吸収量増 に取り組んでいます。当社では特に自然資本による吸収量に着目し、衛星データを利用した森林の炭素吸収量の推定技術の開発に取り組んできました。この市場にスピーディに進出し世界の自然資本の価値化に貢献するため、2022年11月よりソラノメイト発ベンチャー「Archeda」を立ち上げました。既に森林解析サービス「Green Insight」をリリースし、自治体・企業様に導入いただいています。

(5)今後の展望

私たちは、リモートセンシングをはじめとした宇宙技術を使って、「わたしたちの日常を豊かにする」ことを実現したいと考えています。これは、世界を変えるような大きなビジネスを作りたいというよりは、「気がついたらそこに宇宙技術のおかげでよりよくなった世界があった。」という世界観に近いです。

「ソラノメイト」の仕組みはリリースから2年以上が経過し、約90名の組織に成長しています。日々わくわくするような新たな出会いやアイデアが生まれています。

私たちのビジョン「わたしたちの日常を、宇宙ビジネスで豊かにする」を実現するためには、「私たち自身が豊かな心でいること」「私たちを取り巻く環境が豊かであること」の両立が不可欠です。ソラノメイトという仕組みを活かし、宇宙技術を利用した事業・サービスデザイン手法の開発を通して、これを両立するユニークな取り組みを世の中に発出していく。普段の生活が、未来の生活が、今よりちょっと素敵になる、おもしろくなる、明日がちょっと楽しみになる、そんな世界を作るために、社会への技術のインストールを続けていきます。


繰り返しとなりますが、わたしたちのビジョンは「わたしたちの日常を、宇宙ビジネスで豊かにする」です。

豊かな日常を実現するためには、「わたしたち自身が豊かな心でいること」と、「わたしたちを取り巻く社会環境の最たるである地球が豊かであること」、この2つが両立している必要があります。
その両立を実現するために、衛星からのリモートセンシング技術を活用し、宇宙からの視点を手に入れ、それを人間が今後選択していく様々なサービスにインストールしていく。これこそがビジョン実現に向けた重要なミッションであると考えています。
「Planetary Health」を目指した取り組みや「Earth Experience」デザイン手法の研究を通して、わたしたちはこのミッションに取り組んでいきます。
さらに、そのミッション達成に向けた挑戦を「ソラノメイト」という仕組みを活かし、通すことで、「ソラノメイト」として活動してくれるメンバー全員が日常をワクワク、豊かな気持ちで過ごすことができるよう、「ソラノメイト」のさらなる拡大、発展を目指していきたいと思います。

📩お問い合わせはこちらから📩

🛰sorano meのコーポレートサイト🌍

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https://twitter.com/sorano_me


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