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水晶

アーダルベルト・シュティフター 1845

物語は世間から殆ど隔絶した盆地の村から始まります。靴屋が峠向こうの町の娘を嫁にして、兄コンラートと妹ザンナが生まれました。妻の実家、特に祖母は、孫達が峠を越えてくるのを楽しみにしていて、成長した兄妹は二人だけで数時間の道のりを往復するようになりました。ただこのこともあってか、母親も兄妹も村では幾分「よそ者」として見られていました。

クリスマスの前日、両親は晴れた青空を見て子供達に街行きを許します。二人を迎えた祖母は喜びますが、日が短いので昼食のあと贈り物を託してすぐに子供達を送り出します。しかし、帰り道。天候が急変し、雪が峠を覆って道を見失った二人は山の高みに迷い込んでしまいます。やがて、教会の建物ほどもある、巨大な氷の山に出会い、そこにある氷の洞窟をくぐっていきます・・・・。

・・・・ほとんど寝入りそうになっていた少女は、「私、寒くない」と答えた。「ほら、コーヒーがある。暖まるから、ちょっと飲んでごらん」・・・・効き目があった。もう眠らないで、元気を取り戻してきた。体は寒いけど、中からどんどん暖まって・・・。

翌朝、二人は村人に見つけられ、無事が村中に知らされる。・・・・母親も子供達も、この時から本当にこの地の村人になったのでした。

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