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釣狐

釣狐

(狂言の演目)

シテ…伯蔵主(大蔵流)
  …白蔵主(和泉流)
アド…猟師

年久しく住む古狐は、この辺を荒らしている猟師の狐釣に怯え、餌も取りに出られない有様。困った古狐、猟師の叔父に白蔵主という徳の高い坊主がいる事を知り、これに化け説教をしようと考えます。遠くの犬の鳴き声に怯えながらも猟師の家へ着き扉を叩きます。そして猟師に狐釣を白状させると、玉藻の前の故事に狐の恐ろしさを語って狐釣を思い止まらせ、罠まで捨てさせて猟師に別れを告げ古巣へ戻って行きます。安心した古狐が心楽しく歌を歌いながら歩いていると、道の真ん中に罠があります。餌は狐の好物の「若鼠の油揚げ」。罠にかからぬようにご馳走を手に入れるには、この伯蔵主の衣装を脱がなければ・・・・・。

狂言の世界ではこの「釣狐」を披露すれば、一人前の狂言師として認められます。鎖で縛り付けられるような姿勢。この姿勢を保たなければ人間に化けた狐の不気味さは表現できません。形をおろそかにして笑わそうとすれば、狂言は品位を失い限りなく崩れていくからです。
狂言は素手の芸。芸の力で、大風を吹かせ、月をも観客に見せる事が出来るのです。

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