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あさこ・ゆうこ

あさこ・ゆうこ

『信濃の民話」1957年(昭和32年)収録

長野県下高井郡山ノ内町の「池田利治」の話を『信濃の民話』編集委員の「児玉信久」が採集し、同じく編集委員で作家の「松谷みよ子」が再話したもの。テレビアニメ「まんが日本昔話」で放映されました。

昔、ある山の東と西の麓に、それぞれ小さな村がありました。この二つの村は、ちょっとした争いが元で交流が途絶え、山を越す人もなく、峠道には草が生い茂り、月日が流れました。ある日、東の村に可愛い女の子が生まれました。朝に生まれたので名を「あさこ」とつけられました。あさこは大きくなるにつれて、大変頓知のある利口な娘になり村中から可愛がられていました。村の年寄衆が集っての話し合いに、西の村と頓知合戦をやろうという声が出ました。うちの村にはあさこがいるから負けっこねえ。村の弓の名人が、矢に手紙を結び、西の村めがけてひょうと射ました。山の頂上で頓知合戦をしよう。こちらから娘を一人出す。もし負けた時は、①子分になってなんでも言うことを聞く。②負けた村には二つの村の間にある山に道を作ること。受け取った西の村は、大笑いしました。東の村は、もううちの村の子分だと。なんと、西の村にもあさこと同じ年頃で、大変頓知のある利口な娘「ゆうこ」がいたのです。合戦の日、東の村から「あさこ」が、西の村から「ゆうこ」が、ただ一人山に登って行きました。
・・・・・頓知合戦は、どうなるのでしょうか。

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