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八十日間世界一周

八十日間世界一周

Around the World in 80 Days

ジュール・ベルヌ 1873

英国紳士「フォッグ」は、係累もなく、経歴も知られていないが大金持ちであることは間違いない。謎めいているが、由緒ある革新クラブのメンバーである。フォッグは規則正しい生活を送っており、その時間の細かたるや、フランス人の召使「パスパルトゥー」を雇った時の宣誓書や分刻みの日課表からも知る事ができた。パスパルトゥーは、これまで落ち着かない主人にばかり仕えてきたので、判で押したような生活をする主人にいたく満足していた。
その日、クラブでいつものようにホイストをしている時、銀行強盗の話題から、交通の高速化の話になった。フォッグは八十日で世界を一周できると断言し、全財産の二万ポンドを賭けて、自ら世界一周の旅に出ることになった。驚いたのはパスパルトゥーである。しかし主人に言われた通りの僅かな品物を準備すると、「ブラッドショー大陸列車時刻表及び総合ガイド」を脇に抱えた主人とともに出発した。その日の夜にはドーヴァー行きの汽車に乗る。スエズからは、大金持ちのフォッグを銀行強盗と思い込んで、逮捕のタイミングを窺う英国刑事「フィックス」が同行。インドでは、英国風の教育を受けたボンベイの裕福な商人の娘「アウダ」を殉死の犠牲になるところから救い出した。そこから彼女の同行も始まる。
香港、上海、横浜、サンフランシスコ、シカゴ、ニューヨーク、アイルランド、ダブリン、・・・。列車、船、象、橇、蒸気船・・・。「船に乗り遅れた!次の便は?一週間後だって⁉︎」常に、タイムリミットと危険を背負った旅となる。

リヴァプールに帰って来た。
フィックス刑事はフォッグをすぐさま勾留するも、真犯人が三日前に逮捕されていた事がわかり、フォッグに拳を叩き込まれる。
パスパルトゥーは、この旅の途上、どれだけ自分が主人の邪魔をし、金を無駄に遣わせたか、を逐一思い出して自分をなじった。

約束の時間には間に合わなかった。賭けには敗けている。
フォッグはアウダに援助する事が出来ない、と詫びた。
それに対しアウダは、愛を告白する。
辛い境遇でも二人なら耐えられる、と。

八十日間世界一周の旅に出る前、周囲の者は、予期せぬトラブルが起きただけで全財産を失うぞ、と忠告した。フォッグの答えは
「予期せぬことなど、この世には存在しない」だった。

八十日間世界一周の旅
フォッグはこの旅で、何よりも素晴らしいものを手に入れた。

たとえ、全く意味がなくても、人は世界一周をする。

Around the World


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