5、比喩のあめだま
【99匹のうちの1匹】
僕は苦しそうな彼に、澄んだ水色の球体を渡した。
彼はケモノだ。
ぼくらの不自由が自由であること、
愛はいつ何時でも不確かなこと、
春の訪れを察知した動物が目を覚ますこと、
失ったモノを取り戻すのは難しいということ、、
時が進む。
ぼくの当たり前は、当たり前ではないことに、ぼくは一生気がつけない。
幸福は偽善だ。
他人の幸せに齧り付いて、だれも気づかぬうちに消失させる。あめだま。彼の口の中のそれは、歯が当たり、カラコロと音がする。
どうやら彼は、もう、落ち着いたようだ。
(彼のケモノは消えてゆく)
「諦めないで」の呪いをかけたい。
夢を追いかけるより、夢に追いかけられるきみの方が、きっとカワイイ。
あいしてるよ世界
中指を立てながら。