24.鏡の向こうで睨んでいる

 99匹のうちの1匹


 私はうすい青色の夏です。

 いつまでも過ぎ去った夏に愛しさと憎しみを持ちながら、ここで暮らしています。楽しかったことだけを考えながら過ごすことができれば、もう少し、マシな思い出と暮らすことができたのかもしれません。


「過去を振り返ってばかりじゃあ前に進めないよ」
 そう、誰かが言いました。

 背中の方でちくちくと痛む言葉は、かえって私を過去の中へと押し込みます。この冬は、とても冷え込みますから。あの、焼けるように暑かった日が、恋しい。そして恋しく思っただけ、今の寒さが、冬将軍が私を襲う。時が経つにつれて風化した感情は、ずっと昔から一人歩きをして、海を渡り、もはや私だけの感情ではないような気がしました。私は私のまま、正確な私を知ることはできません。それだけが雪景色に取り残されていました。



 私はうすい青色の夏です。

 いつまでも過ぎ去った夏に愛しさと憎しみを持ちながら、ここで暮らしています。寒さに凍えないように、感情が消えないように、楽しかった思い出もあの嫌な思い出も、ずっと抱えて暮らしていきます。