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日記:清盛の海洋国家構想がはろばろ爽快。「東と西の語る日本の歴史」(網野善彦)/八章 東国国家と西国国家

一昨日の「一粒日記」のタイトル画像は、iPadイラレの操作練習で作成したもので、恥ずかしながら満足いかないものだったのですが、「クローン」にまつわる日記内容と併せて見ると、なかなかに感慨深いです。そして昨日は井戸民として投稿しましたら、筆を止めるのがむずかしかった…。井伊谷はもはや私の人生の一部なので。

「鎌倉殿の13人」がもっとおもしろくなる!…かも


ぽつぽつ断続的に読んでいる「東と西の語る日本の歴史」(網野善彦/1998)。20年以上前の本で、現在の評価はちょっと把握できていないのですが、「鎌倉殿の13人」の理解にもつながる内容で、とても面白いです。

最近読んだ八章「東国国家と西国国家」では、清盛が進めた西国国家構想にこちらまでワクワクします。日宋貿易を掌握する海洋的な政権。瀬戸内海に至る海上ルートを整備し。東海道沿岸諸国を抑えたほか、北陸の海の道を支配下に入れようとしていたと網野さんは考えます。

そういった見解から導き出される、平家物語のら「都落ち」エピソードへの言及が、特に印象的でして。※以下引用全て「東と西の語る日本の歴史」(網野善彦)より

「『平家物語』は、これを悲劇ー平氏一門の都落ちの段として、見事にうたいあげている。しかしこれは、あまりにも京の貴族の心情に傾斜した見方なのではなかろうか。<中略>むしろ清盛以来の構想ー海洋的性格を持つ西国国家の樹立に向かって、積極的に動き出した。<中略>このようにみることも可能、と私は考える。」


「平家の都落ち」という狭い日本列島の物語の世界から、日本海のその先へと見える世界が一気に開けたような、はろばろとする気持ちよさがありました。

地域が独自性を持って立ち現れる


さらには、海の道の一つである日本海沿岸・北陸道諸国を支配圏とする勢力になろうとしていた源義仲。藤原秀衡による東北政権。中世政治過程の中でしばしば見られる形として、九州勢力とつながる東国に対する、西国(京都)と東北タッグの記述など。京都だけが中央とは思わせない各地域の息吹が感じられます。

列島の各地域が、己こそ主役というように特色を持って立ち現れる姿には、「地方」が本来持っている大きな可能性を感じて憧憬を覚えます。(曲がりなりにも「一つの国」としての今の日本は、先人たちから見れば理想にも思えるだろうということを踏まえた上で)

そして八章最終段落の一文にシビれました。

「とはいえ、短期間ではあれ、日本列島に分立したいくつかの国家、それを支えた地域社会の特質は、これ以後も決して消滅はしなかった」

そう語ってくれるので、続章に期待が高まるわけです、私としては、否応なしに。おやすみなさい。

(雑記)
19時過ぎに仕事を終えることができまして、のんびりした月曜。今のうちに鋭気を養いたい/まだまだ少し肌寒いですね/食卓の花瓶に生けたフリージアや金盞花、クリスマスローズがうつくしい夜です。週末に姑が庭の花を切ってくれました/「鎌倉殿の13人」は、まだ8話までしか見られていませんが…

(日記:2022年4月18日)


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