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「虎のたましい人魚の涙」くどうれいん 大好きな文章!

盛岡と仙台で過ごした著者のエッセイ。

著者は会社員をしながら作家活動をしていた。

多忙な日常の中で、たくさんの感情が生まれ、悩み苦しんだ。

そんな日々の様子が赤裸々に描かれている。

苦しみ悩んだ日々を、食べることで昇華したり、ちょっと違う考え方をしたり。

その様子はとても新鮮で、共感した。

また、大変な日々を乗り越えたくさんの素敵な作品を出されている著者のことがもっと好きになった。


著者の感情に心揺さぶられる

会社員と作家の両立は、想像するだけでもとっても大変。

忙しい日々の中、自分を労わることを忘れどんどん荒んでいく。

本作品のエピソードに

「家族で鍋を食べていた際、最後にうどんを入れようとすると父親に『これ以上食べるのはやめておきなさい』と言われ『何で意地悪を言うのよ!』と大泣きした」

という一場面がある。

振り返ってみると、父親は太ることを気にしている娘に助言をしただけで悪気はなかったよう。

でも、食べることでしか自分を支え、ストレスを消化する術がなかった。

「そこまで追い詰められていたのか」

読みながら衝撃を受けた。

しかし、ここで自分の限界がきていることを察した著者。

思い切ってホテルをとって遊びに行く潔さは気持ちがいい。

自分の気持ちときちんと付き合っていく。

つらいと気付いたら、自分を労わってあげる。

どんなにへこんでも、着実に立ち上がっていく。

そんな姿に勇気をもらえる。

独特な表現の虜になる

私は以前から「くどうれいん」さんの大ファンだ。

本作品でも炸裂するくどう節。

なんとも絶妙な表現で文章を紡いでおり、読んでいてすごく楽しい。

「え、そんな風に例えるんだ!」

とおもしろい表現に出会うとうれしくなる。

読んでいて飽きない、もっと他の作品を読みたい。

そう思わせてくれる。

共感してくれる人、いるかな?

とにかく、すごく好きな文章。

こんな文章を書くことができるなんてすごい!

と、こっそり憧れてもいる。

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