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人力溶液土耕栽培と液肥の自作

 野菜の栽培に、よく液肥を使います。家庭菜園を始めたころによく読んでいたブログの影響です。以前にも紹介したかな。

 もう一年以上更新されてないのか。
敷居が高そうなブログタイトルですが、栽培技術に関する記事が多く、家庭菜園にも参考になります。家庭菜園と農業、規模は違えど共通項は多いですからね。

溶液土耕栽培

 で、このブログの著者が「溶液土耕栽培」というイスラエル発祥の農法の出身(?)だそうで。

 溶液土耕栽培は、イチゴやトマトの栽培で採用されている、要は植物工場みたいな農法ですね。肥料を溶液で、必要なタイミングで必要な量だけ土に流し込みます。水耕栽培の土を使ったバージョン?

 個人的に「必勝法」とか「裏技」とかが好きで。野菜の収穫が目的というよりは、育て方の方に興味があります。この溶液土耕栽培のまねごとをしてみようと思い(もちろんオートメーションではなく人力ですが)、液肥を使い始めました。

家庭菜園でやってみて

 うまくいったりいかなかったりですね。
ベランダで育てているイチゴは比較的うまくいってますが、露地で育てている野菜は難しい。週末しか畑に行けなかったりするので、雨なんか降るとそれで1週間施肥が開いちゃったり。

 あとは、水耕ではなく土耕なので、投入した養分が土に保持されたり、雨に流されてしまったりします。どのくらい野菜に吸収されるのかが良くわからないため、勘でやってた部分があります。施肥不足になることが多かったですね…

 使った液肥は水耕栽培用の定番ハイポニカ。混ぜると沈殿する成分があるので2本に分かれています。別メーカーの1本タイプのものも使ったけど、これが一番よく育ったような気がするな。いちいち混ぜるの面倒なんですけどね。

液肥を作ることにした

 最初は市販の液肥を使ってましたが、以下の課題がでてきたので、自作することにしました。(自作っていっても資材混ぜるだけですけど)

① コスパが悪い
里芋とかにもざぶざぶ使うもんだからすぐになくなってしまい(使いどころ間違えてるとは思いますが)、自作したら安くあがるかなと。

② 成分比率をコントロールできない
具体的には、徒長防止などのために窒素分を抑えたい時があるのですが、市販品だとそうもいかない。

自作用の資材ですが、こちらから購入しました。ここは肥料の品ぞろえがすごい。

資材の選定方針としては、以下の通り。

・安いこと
 原材料を自分で組み合わせれば安くなる(はず)
・水溶性であること
 液肥にするので。く溶性は酸でないと溶けません。
・副成分がない(少ない)こと
 化成肥料はだいたいそうですが、目的の成分以外に硫黄や塩素などの副成分がはいっています。化成肥料が嫌われる理由ですね。土壌の養分バランスが崩れるので無いにこしたことはありません。
・窒素は単肥で
 量をコントロールしたいので。
・微量成分は入れない
 微量要素は土の中にある程度あるんじゃないかと思うので、とりあえず窒素、リン酸、カリだけにします。

色々と検討した結果、以下の組み合わせに落ち着きました。
いずれも副成分は、炭素、酸素、水素なんで大丈夫ですね。

自作液肥
・尿素 
(CH₄N₂O)  700g (46-0-0)  285円
・第一リン酸カリ
(KH2PO4)  800g (0-51-34)980円

コスト

 成分が違うんで直接比較できないですが、ハイポニカと主成分(窒素・リン酸・カリ)だけで比べてみます。

ハイポニカ成分(窒素 - リン酸 - カリ)
 
A液(500ml):1 - 3.8 - 5.5
 B液(500ml):3 - 0 - 3.9
 合計(1000ml):4 - 3.8 - 9.1

 1リットルなので、成分比の数字がそのまま重量(g)になります。
カリ多いな。
こんなバランスの肥料はあまり見かけない。これは水耕栽培のトマトをターゲットにしているような気がしますよ。

 ハイポニカの価格は約1000円だったので、1000円あたりのg数を基準にします。
ついでに別メーカーの液肥と普通の化成肥料も載せておきます。

1000円あたりの成分g数 (だいたい)

ハイポニカ 窒素:40 リン酸:38 カリ:91
ベジフル液肥 窒素:65 リン酸:65 カリ:79
化成8-8-8 窒素:350 リン酸:350 カリ:350
自作液肥  窒素:1,130 リン酸:416 カリ:294

 一番差のないリン酸を基準にすると、市販品の1/5というところでしょうか。化成8-8-8はAmazon's Choiceのやつを選びましたがいい勝負です。
まずまずですね。

作ってみる

 尿素と第一リン酸カリは、混ぜずに別々の溶液とします。これで、栄養成長期(花実をつける時期)に不要な窒素を抑えるといった使い方ができます。
以下は、500mlのペットボトルで作る際の投入量の一例です。

窒素ボトル(10-0-0): 尿素110g
リン酸カリボトル(0-4-3) : 第一リン酸カリ40g

 リン酸カリをもう少し濃ゆくしたかったのですが、これ以上増やすと溶け切らなかったのであきらめました。

 計りにペットボトルを置いて、漏斗を乗せて資材を注ぎます。漏斗は何でもいいのですが、径が大きい方が粉が落ちやすいので、ペットボトルの底を切ったものを使っています。白いのは発泡スチロールに穴を開けただけのジョイントです。

できあがり

注意事項

 窒素成分の尿素は、やや即効性に劣ります。
土の中で、尿素→アンモニア態窒素→硝酸態窒素→野菜が根から吸収、という順序をたどります。
肥効が出るまで数日かかるので注意してください。

 早く効かせたい場合は、尿素の代わりに硫安を選ぶことになるかと思います。副成分に硫黄を含みますが、これも野菜が必要とする養分なので、うまく使いこなせればいいのかもしれませんね。

 また、昨今(2022/3/27現在)、中国が肥料資材の輸出をストップしているそうで、品薄になっているようです。これからどうなるんでしょうね。有機肥料にスイッチせざるを得なくなる日が来るかもしれないですね。






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