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【短編小説】まだそこにいてね

「みゆきちゃんはすごいね」

ゆうりに、手に入らない宝石を見つめるような瞳を向けられて、私は謙遜した。

「そんなことないよ。いつも周りに着いていくのに必死で」

「ついていっている時点ですごいよお」

ゆうりはいつも褒めてくれる。学生時代から、子役として活動している私を誇りに思って、いつも励ましてくれる。ただ、学校が一緒だっただけのゆうり。席が隣だっただけのゆうり。ゆうりのおかげで私は、特別でいられる。だから私はゆうりが大好きだ。

久しぶりに会ったカフェの中で私たちは向かい合う。同じ人間同士じゃなくて、憧れる人と憧れられる人として。

「みゆきちゃんは、ほんとうにすごいよ」

店内は薄暗い。私はいつまでもゆうりの表情に気づかず、優越感をおろかに抱えて笑っていた。


終わり


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