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こんな夢をみた 1

死刑囚になってしまった

 私は死刑を宣告されている。
何故かはわからない。騙されて人と喧嘩をして押しあいになり、相手が倒れて怪我をしたように思うが、あれが理由なのだろうか。私は釈然としない気持ちを抱えているが、誰にどう抗議してよいかわからず、諦めている。
 友人のkも死刑を宣告されている。彼女の場合も理由が定かではないらしい。そして私たちは死刑囚であるにもかかわらず、拘束はされていない。自由に街を移動でき、変わらずに自分の家に住んでいる。私はパートナーと、そして友人Kと一緒に買い物に出かけた。この世に残す思い出の品を探すためだ。Kは古道具屋でおままごとセットのような、小さな美しいお膳セットを買って、椿の花が描かれた古い葉書に彼女の娘へのメッセージを書き添えたものを用意した。私はパートナーに残すため、なぜかその古道具屋で日本髪に結ってもらい、写真を撮った。買い物が終わると、おそらくこの世で会うのはこれが最後だねと確認しあい、悲しい気持ちでKと別れた。家への帰り道、大きな川が二手に分かれている場所があり、パートナーと2人で川辺にしゃがんで水面を見つめていると、川上から手のひらほどの極小さな舟が、激しい波間をこちらへと近づいてくる。舟を操っているのは小さな猿のような船頭で、白い神主のような衣装を身につけている。暗い気持ちが一瞬晴れ、こんな妖精のような可愛らしいものを見られたことが嬉しく、「こんにちは」と声をかけた。すると地響きのような低い声でその者は「次はお前の番だ」と言った。私は一瞬で解した。Kはもうこの世にはいないのだと。そして、明日にも私の処刑は実行されるのだと。パートナーに話したが、彼の目には舟も船頭も、なにひとつ見えてはいなかった。
 翌日、私は病院にいた。病院で刑が執行されるらしい。私は恐ろしさで震えながら、処刑を待つ列に並んだ。列はどんどん進み、ついに私の前の人が刑が執行されるらしいカーテンで区切られた部屋に入った。部屋のカーテンは少し開いており、処刑される人は頭を向こう側にベッドのようなものに寝かされ、上からブルーシートをかけられた。刑の執行人らしい2人の女性はどちらも看護師のような服装をして、不謹慎にも笑いながら何か喋っている。やがてブルーシートの下の人がうめき声を上げてガタガタと上下に痙攣し出した。あの様子を見ると、電気なのか、毒を注射されたのか。私は次に待ち受ける私の運命、その苦しさを思いえがき、もうその恐怖だけで死んでもおかしくないような気になった。気がつくとカーテンのこちら側の壁に大きな血圧計の電子版が設置されていて、少しづつ血圧が下がりはじめた。今、カーテンの向こうで苦しんでいる人のものだろう。やがて60、30と下がる速度が速くなり、0となった瞬間にピーっというけたたましい音が響き、ここで目が覚めた。

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