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ヤマトタケル往還①(ミュージカル脚本)

ミュージカルの脚本(?)、10年位前に書いたものです。

 本格的なミュージカルが好きですが、こんなのも観て(聴いて)みたい。そんなノリで書いたので、結構シンプルです。

 いつか踊りなど入れて舞台にできたらいいなと思いますが、とりあえず朗読と歌だけでも(?)、コンセプトアルバムやリーディング&コンサート(?)などと、考えるのは勝手、しています。好きな曲に歌詞をあててみたりしていますが、外に出すにはきちんと依頼して、と思いますし、いずれにせよ「形」にするにはお金がかかるので、もし興味をお持ちになり、先が見てみたいと思っていただけましたら、ご支援よろしくお願い申し上げます。

慣れていませんので、お見苦しい事等ご容赦くださいますよう。


ミュージカル ヤマトタケル往還 ①
 
  
  
    舞台下手にスポットライト。古代の衣装を着た老婆が座っている。

 老婆   ようこそいらっしゃいました。私はミヤズヒメと申すものでございます。ずっと昔から、この森を護ってまいりました。タケル様をお待ちして…。なぜ、このような森深き所で、とお考えですか? そう、朽ち行くものは朽ち果て、そしてまた、新たな命を育む所…。その命を愛しみながらここで待つのが、私のせめてもの務め。タケル様が、迷わずに帰って来られるよう、いつでもお迎えできるよう、長い永い時をお待ちし続けて…。
      いえ、タケル様はもう帰ってらしたのではなかったか? はて? そう、白い鳥、白い大きな鳥が…。思い出せませぬ。いつのことだったか。
      思い出すのは…、そう、あの方のお名前を初めて聞いた時、私はまだ、幼い少女でした。都の帝には、それはそれは素敵なご子息が二人おられて、次の帝になられるオオウス様は賢明なお方、そして弟君のオウス様、あの頃はまだタケル様ではなく、オウスノミコト様と呼ばれておいででしたが、そのオウス様は、並ぶものなき武勇に優れたお方。都から時折訪れる人の話は、離れた地に住む私どもの心を、憧れにときめかせたものでございます。私の兄タケイナタがお近くに仕えていたとは申せ、その頃はまだ、タケル様とご縁ができるとは、思いも及ばぬことでございました…。

   老婆のスポット消える。

第一場 オウスノミコト(後のヤマトタケル)の屋敷の庭

    タケル(オウス)とタケイナタが戦いの訓練をしている。
    サイがその周りで、座って二人を見ていたり、踊りながら、ちゃちゃを入れたりしている。

   上手に女性三人、歌う。

女1  ♪知ってる? オウス様
女2  ♪知ってる  素敵な方!
女3  ♪強くて
女1  ♪優しくて 
女2  ♪でもつれないの
女3  ♪ああー、一目でも
女1  ♪ああー、お会いしたい!
女2  ♪ああー、そうしたら
全員  ♪離さない! 私のもの!
女1  ♪あら、私よ!
女2  ♪いいえ! 私!
女3  ♪何言ってるの! 私でしょ!
全員  ♪ああー、絶対!

   女性たちの照明消える

    タケル、タケイナタ、試合を止め、座る。
    サイは周りを自由気ままに動き回っている。

                                                                 <つづく>