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放送作家・鈴木おさむがソラジマに出資した理由。「運命共同体として本気で力になりたい」

シェアオフィスゴーイングメリーーーこれは "スタートアップ版「トキワ荘」" を目指し、放送作家・鈴木おさむ氏によって立ち上げられたシェアオフィスの名だ。

2020年10月より、その一角を拠点としてきたのが、YouTubeアニメやWebtoonを制作するコンテンツスタジオ「ソラジマ」。鈴木おさむ氏からは2020年4月、出資も受けている。

入居から1年3ヶ月が経った2021年12月。ソラジマはシェアオフィスゴーイングメリーを卒業する。

そこで今回は鈴木おさむ氏、そしてソラジマの株主であるサイバーエージェント・キャピタルの投資家・北尾崇氏を迎え、ソラジマCEO萩原、COO前田との座談会を開催。シェアオフィスゴーイングメリーからの卒業を目前に控え、鈴木おさむ氏との出会いからソラジマへの出資の理由、そしてこれからの期待について伺った。

株式会社ソラジマとは
2019年2月設立。「女子力高めな獅子原くん【YouTubeアニメ】(登録者数:54.3万人)」など、YouTubeアニメでヒットコンテンツを制作&配信。そのノウハウを活かし、2021年8月、Webtoon事業に参入。第一弾としてリリースした『婚約を破棄された悪役令嬢は荒野に生きる。』は、公開1週間でデイリーランキング&女性人気ランキングNo.1を獲得。2022年には”アルファベットプロジェクト”として26作品のWebtoonのリリースを計画する。

※撮影時のみマスクを外しています。

鈴木おさむにソラジマを紹介した理由は「人」

ーーまず鈴木さんとソラジマの出会いのきっかけから、伺わせてください。

鈴木:
北尾くんが2人を連れてきたんですよね。2020年の9月だったかな?

北尾:
そうですね。

鈴木:
そのとき、北尾くんが彼らを紹介したい理由を「人です」って言いきったんですよ。正直ビジネスはわかりませんって(笑)。

北尾:
言いましたね(笑)。

鈴木:
それが僕は衝撃で。そんなこと言われたのがはじめてだったんですよ。

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鈴木おさむ | 放送作家/脚本家/実業家
19歳で放送作家としてデビュー。バラエティを中心に数々のヒット番組を手がける。さらに映画・ドラマ脚本や舞台の脚本・演出、小説、マンガ原作など、日本トップクリエイターとしてジャンルを問わず、数々のヒットコンテンツを生み出している。

萩原:
当時はYouTubeアニメをはじめたばかりだったんですよね。もともとやっていた別の事業から、本格的にYouTubeアニメ事業の舵を切ったタイミングで。

前田:
まだヒットコンテンツもあまり出せてない段階でしたし、社員も僕と萩原の2人だけでしたし。よくご紹介いただけたなと思います(笑)。

北尾:
事業はまだ未知数なところはあったんですが、僕は萩原さんと前田さんに対して、誰を紹介してもうまくやれる方たちだと思ってたんです。

お二人とも起業家にとって大事な力を持っていると感じていて。たとえば、なにがなんでも会社を死なせないという「粘り力」だったり、絶対に成功してやるという「貪欲さ」だったり。それでいて、周りから吸収する素直さも持っていて。

実際に事業としても、YouTubeアニメにピボットして、1本ヒットしかけていましたし、純粋にすごいなと思っていました。

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北尾 崇 | サイバーエージェント・キャピタル投資家
2013年メキシコにて起業家としての経験もありながら、2016年4月、サイバーエージェント・キャピタルに入社。40社以上のベンチャー企業への投資・支援を実施。また、起業家と投資家によるシード・アーリー期のピッチイベント「Monthly Pitch」の運営責任者も務める。

前田:
そう思っていただけていたのは、めちゃくちゃうれしいですね。

北尾:
とくにおさむさんには、スタートアップを応援したいというお考えも伺っていて。

YouTubeアニメでクリエイターさんとものづくりを行っている観点で、連携できる余地もあるかもしれないと思ったんですよね。

また当時はソラジマとしてオフィスがなく、シェアオフィスゴーイングメリーも前に入っていた企業が出たところだったので、ちょうど合っているんじゃないかと思い、お話する場をつくらせてもらいました。

ーーそこから実際にお会いして、ソラジマがシェアオフィスゴーイングメリーに入ることになるのですが、なぜ鈴木さんは入居をOKされたのでしょうか?

鈴木:
北尾くんに「人」ですって言われたのが、とにかく面白かったんですよね。

僕は「人」と付き合うので。正直に言って、YouTubeアニメと聞いても、なにでどうやって儲かっているのか、よくわからない。ただ「人」だというなら、それはぜひ付き合ってみたいと思いました。

萩原:
お会いした当日に、「明日からオフィス使っていいよ」って言ってくださったので、僕もなんでそこまで言ってくれたんだろうと不思議な気持ちでした(笑)

鈴木:
それとさっき北尾くんも言ってましたが、僕がやっていることや、やりたいことと近かったんです。

とくに、ちょうど僕もYouTube上の漫画やアニメには注目していましたし、
出版社での漫画の連載をはじめていたりと関心が高かったタイミングでもあって。

なので僕が役立てることもありそうだし、逆に僕が学ばせてもらえることもあると思いました。

「僕が思い描いていた空間を、ソラジマがつくってくれた」

ーー恥ずかしながら、そもそも鈴木さんがシェアオフィスゴーイングメリーの運営をはじめ、これだけベンチャー・スタートアップ企業と深く関わられているのを知りませんでした。ここにはなにかきっかけがあったのでしょうか?

鈴木:
はじまりは、2019年12月に開かれた、サイバーエージェント「藤田ファンド」の飲み会に参加したことだったんですよね。

もともと僕は2018年に、AbemaTVでベンチャー企業を題材にした『会社は学校じゃねぇんだよ』というドラマの脚本を書いたことがあって。そのときにベンチャーのことを調べていたので、この界隈の人たちにものすごく興味があったんです。それで藤田(晋)さんにお願いして、参加させてもらいました。

そこには「藤田ファンド」の投資先の起業家が集まってたんですが、これがめちゃくちゃおもしろかったんですよ。

なんかみんなすごいヒリついてて、僕のことなんか知らない人もいて、「なんでこいついんの?」みたいな感じ(笑)。おもしろいから、そのなかのやつらと後日また飯食いに行って、仲良くなって。ちょくちょく飲みにいくようになったんですよね。

ーーそこから起業家の人たちと関わられるようになったんですね。

鈴木:
そうですね。

シェアオフィスをやってみようかって話はその頃に知人に言われて、アイデアが出てきたんですよ。ちょうどテナントに空きが出ていて。どう使おうか考えていたときに知人から「おさむさんはお金じゃなくて、出会いが好きな人だから、シェアオフィスにしたらどうですか?」って言われたんです。

僕もたしかにその方がおもしろいなと思って。だからシェアオフィスゴーイングメリーを立ち上げた理由も、単純に言うと、飲み仲間がほしいってことなんですよね。

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ソラジマCEO萩原鼓十郎

ーーソラジマとして実際にシェアオフィスゴーイングメリーに入られてみて、いかがでしたか?

萩原:
ベンチャースタートアップ向けのシェアオフィスっていろいろありますけど、そういうのとは全然ノリが違いました。いろんな人を交えて、飲み会とかバーベキューしたり、それこそ合宿があったり。だから、ここに入ってから入居している会社同士のつながりがすごく広がりました。

僕らはいわゆるスタートアップ界隈から起業したわけじゃなかったので、これは本当に嬉しかったです。

鈴木:
僕はソラジマが一つ、僕が思い描いていた空間をつくってくれたと思っているんです。

当時、シェアオフィスゴーイングメリーはまだ立ち上げたばかりでもあって。入ってる企業と、交流の仕方がわからないところもあったんですよね。

そんななか、2人はオフィスにどんどん人も連れてきちゃうし、僕も自分の事務所が上にあるからよく交流するようになって。ソラジマが入居してくれたことで、このシェアオフィスの一つのかたちができたと思います。

運命共同体として、ソラジマの力になりたい

ーーとくに鈴木さんは、2021年4月にはソラジマに出資もされています。そこにはどういった背景やお考えがあったのでしょうか?

鈴木:
そもそも出資うんぬんっていうのは、そんなに重い話じゃなくて。

僕にとってシェアオフィスゴーイングメリーは、ある意味、1つの実験なんですよ。せっかくこうやって関われたから、僕が役立てるなら、力になりたい。そう考えた時に、自分の血液が入っていた方が本気になれるじゃないですか。出資したのは、それが理由ですね。

ーーたとえば、どういったところで力になれると考えられていらっしゃるのでしょうか。ぜひ伺わせてください。

鈴木:
大きいのは、人や情報をつなげることですね。

僕も長くエンタメ業界にいるので、知り合いもそれなりにいますし、少なからず情報も持っているんですよ。

ただそういうのってタダじゃないじゃないですか。事業をする上でものすごく大事なことで、本当は一番高価なものであると思っています。

そうしたことも踏まえて、自分も仕事の忙しい中でなぜそれをやるのかと思ったときに、運命共同体だと考えれば、納得がいくなと思ったんです。

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ソラジマCOO前田儒郎

前田:
僕らとしても出資いただけたこと自体もすごくありがたいんですが、それ以上に大事なものをたくさん頂いてると思ってます。

やっぱりおさむさんは、これまでものすごい数のヒットコンテンツを出してきた方なので、僕らとしてもコンテンツ企業たるものどうあるべきか、というのを学ばせてもらっていて。

たとえば僕らはヒットコンテンツを出したり、めでたいときは全力で祝うんです。作品の垂れ幕を持って、マイクで「誰々さん出てきてください拍手!」って言って、みんなで賞賛したり。逆にダメだったらダメだったで、「焼肉いくぞ!」って言って、みんなで食べにいったり。

北尾:
そういうのいいですよね。もともとはやってなかったんでしたっけ?

萩原:
やってなかったですね。そういうのはなくてもいいかなみたいな感じで思っていたところもあって。

なのでソラジマのカルチャーは、おさむさんから、かなりインストールさせていただいてます(笑)。

鈴木:
2人は僕が話したことややったことを、すぐに会社に持ち込んで実践してくれる。それは僕自身もすごくうれしいんです。

僕はやっぱり、ソラジマは「粋」な会社であってほしいと思っていて。

たとえば1回、オフィスの室内に桜を持ってきたことがあったんですよ。コロナ禍で暗いし、パーっと場が明るくなる桜があった方がいいだろうって、数十万円を使って、レンタルで借りてきて。

それってすごくくだらないんですけど、粋じゃないですか。僕はこういうの、すごくいいなと思っていて。

前田:
オフィスが華やかになりました。そういう粋な雰囲気がコンテンツを作る会社には必要なんだなって。

鈴木:
とくにいまコロナ禍でいろんなものが合理化されているのと同時に、僕はリアルな体験や人とのつながりがすごく大事になっていると思っていて。

そうしたなか、彼らはもちろん対策をした上で、できる限り実際に顔を合わせて打ち合わせをしたり仕事をしているように見えるんですよね。

これはコロナ禍のなかで勝ち上がっていく企業の、一つのかたちなんじゃないかと思っています。

シェアオフィスゴーイングメリーを、僕らが"スタートアップ版「トキワ荘」"にする

ーーソラジマは今月(2021年12月)で、シェアオフィスゴーイングメリーを卒業することになりました。萩原さんと前田さんは、率直に、この1年3ヶ月ほど振り返ってみてどうでしたか?

萩原:
これは北尾さんにも言われていた僕の弱みだったんですけど、師と呼べるようなメンターとなる人がいなかったんですよね。

いまは自信をもって「おさむさんです」といえる。お忙しい中でもLINEでいつ連絡してもご返信頂けるので感謝しかないです。

前田:
僕はシンプルに、おさむさんからコンテンツ制作に関わる視座をいただけたのが、コンテンツカンパニーとしてものすごい資産になったと思っています。

飲み会やふらっと立ち寄ってくださるときに、コンテンツに関する話をいただけるんですよ。トップクリエイターの方はこうやって考えてつくってるんだ、と思って。もちろんそれは社員にもすぐに共有するんですが、そのアドバイスの一言一言でレベルが上がっていくのが感じられるんですよね。

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シェアオフィスゴーイングメリーは、スタートアップ企業に対し、オフィスを無料で貸し出している。「僕はお金を儲けたいという気持ちは、全くないんです。出資した企業に、一般的な投資家のように口を出すつもりもない。ただ僕はおもしろい人たちと出会いたいし、がんばっている人たちを応援したい。そして一緒におもしろいことをしたいだけなんです」(鈴木おさむ氏)

鈴木:
僕自身も、彼らと話すのは勉強になるんですよ。

Webtoonっていまこうなってるんだとか、収集したデータからコンテンツをつくるソラジマの手法とか、すごく新鮮なんです。

萩原:
最近だと、Webtoonの企画を一緒につくらせてもらってます。

鈴木:
そうそう。それもすごい面白くて。

前田:
おさむさんからは、僕らが想像もしてなかったような視点から考えをいただけるんです。

たとえばこの前は一緒に中世の話を考えてたんですが、そのなかで月に1回、いきなり男が虎になるんだ、とお話をされて。

鈴木:
僕の話のつくり方って、単純に見たい絵があって、そのために整合性をつけていくのが一つのパターンなんです。

はっきりいって、なんで虎なんですかと言われたら、その時点で明確な理由はないんですよ。もちろん虎のこういう瞬間をみたいから、という僕のなかでの理由はあるんですけど。

そのなかでこの絵が強そうとか、ロジカルに当てはめていくんですよね。

前田:
僕も萩原も特別にエンタメに関わってきたわけじゃないですし、おさむさんの一つひとつの言葉が目から鱗なんですよね。

もちろん僕や萩原が天才監督とかだったら一番いいんですけど、ただこうやっておさむさんのような方と一緒にコンテンツづくりができるのは、社員にとってもものすごく恵まれてる環境なんじゃないかと思います。

鈴木:
僕は「僕だったら」とか「僕の色を出すなら」という観点で話しているので、当たるかどうかとは少し別のところもあるかもしれません。

ただエンタメコンテンツでホームランを打つのは、ある意味で奇跡が起こらないと難しいんですよね。上から教えるつもりもないんですけど、その奇跡を引き寄せる一滴として、僕の言葉が若いクリエイターのなにかヒントになれるとうれしいなと思います。

ーー最後に、鈴木さんと北尾さんに伺わせてください。これからの期待も踏まえて、シェアオフィスゴーイングメリーを卒業するソラジマに、言葉をいただけますでしょうか。

北尾:
ソラジマは萩原さんと前田さんそれぞれが違ったタイプで、すごくバランスがいいなと思っていて。良い人と組織をつくっていける会社になると、期待しているんです。共同代表でこういうパターンって、なかなかない。

事業としては、お二人もおっしゃっていますが、クリエイティブスタジオとしてブランドになっていってくれるといいですよね。

たとえば世界ではディズニーだったり、日本だとジブリだったり。ある意味でベンチャーとブランドって相反するところがあると思うんですが、それをつくれたら、象徴的な会社になると思っています。

とくにお二人ともエンタメ業界で実績を積んで、参入した方ではないんですよね。一般的にそうしたケースでは、成功を収めることは無理と言われることがほとんど。そんななかで新しい前例をつくっていく姿を、僕は見てみたいなと思っています。

鈴木:
ソラジマといえば「これ」って、誰もが知っている会社になってほしいですよね。

とくにYouTubeアニメもWebtoonも、いまものすごく市場が盛り上がっていて。そのなかで事業をやっていて、実際にコンテンツを当てている。そういう意味でいうと、最高のタイミングで事業をはじめられていると思います。

これからいろんな会社が乗り込んでくるだろうけど、絶対に勝ち抜いていってほしいですね。

また今回彼らが卒業していくことで、シェアオフィスゴーイングメリーも本当の船出ができたと思っています。数年後、この船に乗ってくる人たちに「ここに昔ソラジマがいたんだよね」と言われる日がきてくれるとうれしいですね。

前田:
僕らとしても、それは実現させたいですね。伝説の「トキワ荘」みたいな感じで。

鈴木:
僕もこのシェアオフィスは、 "スタートアップ版「トキワ荘」" をつくるんだ、ってはじめたんですよね。

だからソラジマにはもっと成功してもらわないといけないので、これからもずっと関わっていくつもりです。一緒にものをつくるし、新しいオフィスにも絶対にいく。関係性はこれからも変わらず、一緒におもしろいことをやっていきたいですね。


取材 / 文:越智良知
大手人材会社のメディア運営チームにて、編集・ライターとして勤務。現在はフリーのWebライター、舞台の脚本・演出として活動中。


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