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巨人の肩の上

もし過去に戻れるならどこに行きたい?

何気ない質問、もう何度見かけたかも覚えていない質問だが、ある人に聞いたらこんな答えが返ってきた。
「うーん、別に戻らなくてもいいかな。

これまで聞いてきた人々は戻りたい過去が何かしらあっだものだから、初めて聞いた異様な答えに私は思わずもう一度聞いていた。
「やり直したい過去はないよ。」
彼はそう言った。彼も人間で、失敗だって少なからず一度やニ度あると思う。ああ、この人はもう過去に生きてないんだ、その時私はそう思うと同時に彼に現実的にみれば追いつけないような遠くに行かれたような気がして酷く焦りを覚えていた。
 昔私は同じような質問をされて、馬鹿の一つ覚えみたいに「沢山あります」を繰り返していた。ドラえもんに出てくるタイムマシンがあるのなら過去にすぐ行きそうなほど私は過去に生きている。まだ過去にちゃんと向き合えていない。前はそのままの自分で良いと、もう十分だと思っていた。大人になる過程は酷く悩むと聞く。青年期の真っ只中にいる私はよく悩むようになったなあと思う。悩むのは楽しいわけではなくて、むしろ苦しいばかりで早く大人になりたいと切望した。そんな時、先生だか友達だか今となっては忘れてしまったがこんな言葉を投げかけてくれた。

「『巨人の肩の上に立つ』っていう言葉知ってる?」

インターネットで調べたところ、先人の積み重ねた発見の上に、新しい発見をすることらしかった。その言葉はなぜか鮮明に今の今まで記憶していた。巨人の一部に、欲を出せば巨人の上に立ってみたいと当時の私は思ったのかもしれない。早く大人になりたいけれど、その前に精一杯頑張ってみたいと私は思った。大人になっても勿論その努力は続けていきたい、悩むよりも頑張ってみたい、成長に喜びを感じたい、過去ではなく、彼のように未知の未来に希望を見出したい。いつか、これは私が一部創り上げたものなんだと胸を張って言いたくなった。







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