君のような奴など

 あーあ、どうせならもっと早くにやってしまえばよかった。
 君みたいな奴のことを、僕があれやこれやと考えてやるべきじゃなかった。
 全く、気付くのが随分と遅れてしまったよ。
……いや、すっかり君に騙されたと言った方が正しいかな?

 あの時、僕がこの手で君をズタズタになるまで切り裂いてやればよかった。
 二度と立ち上がれなくなるほど、完膚なきまでにやってしまえばよかった。
 そうすれば、僕のように君に騙される人が一人でも減ったかもしれないのに。

 別に、僕以外の人間がどうなろうと構わないよ。
 それほど僕は正義の味方って訳ではないんだ。
 自己犠牲の精神があるわけでも、献身的なわけでもない。

 ただ、君が許せないだけだ。
 君のような奴がこれ以上調子に乗らないようにしたいだけ。
 君のような奴に静かにこれまでの罪を精算してほしいだけ。
 そうでないと、これまでの僕が報われないだろう?


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