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アート・茶・ことば

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磨いた鍋に猫がよる

銅と鉄フェチの日常 道具についてひどい癖もちの日常は、傍からみれば理解しがたいものである。台所に3時間もこもって鍋を磨き続けるすがたは奇妙でおよそ見ない方がよい姿であろう。メラミンスポンジなどは使わずにボロ布に所定の磨き粉を付けては磨く。銅には銅の、鉄には鉄のセオリーがあり、決して同等の扱いをうけることはない。 特に鍋釜の類は大切にされる。鉄製品は火にかけて良く乾かす。後にわずかにオイルを含ませた布で仕上げる。このオイルの匂いに猫がよる。鼻ををくっつけて匂いを確認して回る。

    • 湯が沸いたら

      水は温度によって発する音が違う。冷たい水の注がれるときと暖かい湯が注がれる時では伝わる音は異なり、そこにある情景もまた色合をかえる。湯が沸いてお茶を淹れる準備が整うとなぜかあたりがふわっと緩む。しかしお茶は面白い、日々同じように淹れていると思っても決して同じ味には淹れられない。お茶を淹れる、タンタンと淹れる、同じように淹れる、同じ心持で淹れる、しかし今日も見事に異なる味のお茶になる。茶を淹れる日々があることがゆっくりと自分の変化をそして辺りの変化を感じ受け入れる仕掛けになって

      • 十二夜

        鏡の前に我あり 鏡のむこうに我あり 追って追われて 追われて追って 身をやつせし うたかたに 生きるは まことの哀れなり たとえうつつに 生きるとも むなしき恋に いくかたもなし 歌舞伎座七月歌舞伎の演目は「十二夜」。W・シェイクスピアの原作を蜷川幸雄の演出にて行われる歴史的な見ものである。千秋楽は取れなかったが前日が手に入る。まずはセットの完成度の高さに驚く。鏡張りの襖、アールデコ調の天蓋、原作のテーマが何食わぬ顔をして歌舞伎という伝統の舞台にぴったりとよりそってい

        • kotoba の夢

           夢をみた朝はいつもそうであるように、今日も現実的な感触をにぎりしめて起床する。今朝はそれがなぜかいつまでも離れない。午後になり感触からすこし遠ざかることができたので、今度は頭の中身をかき回して見ることにした。  それはおかしな夢だった。 夢というのはたいてい現実にくらべると「おかしなもの」であるのが普通なのかもしれないが、しかし・・・・ 登場人物は私を入れて5名。一人目はよく知らない「叔父さん」で、私が心で思ったことを「言葉」に訳す代弁者として登場する。叔父さんはどうや

        磨いた鍋に猫がよる