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第23話 シアワセなデジャブ

『さぁ!やってまいりました!
みんなでやってみよう!行ってみよう!グランピング編!』
MCはアイロンヘッド辻井さんでお願いして、あらかたの説明をし、各担当をじゃんけんで決めるという所まで仕切って頂いた。

「皆んなでじゃんけんって言うんやから、スタッフさんも含めてやろう?一緒に食べるんやろう?なら、じゃんけん入らな!」

ほら出た、山添さんの台本にない事やりだすやつ…。まぁまたそこがオモロいんやけど。

スタッフというても私と作家さん、カメラマンさんと入れても計4人しかいてないから、合わせて10人で各担当決めじゃんけんをすることになった。

「じゃんけんっぽんっ!!」
あいこも何度か繰り返しては決まったのが、火付け班が安田くん、山添さん。カヌー乗りに行けるのがケイさん、ナポリさん。食材切り、飲み物運び等は石井くんと辻井さん、となった。スタッフも各自振り分けられ、私は石井くんと一緒の班になった。
カヌー乗りに行けるケイさん嬉しそうに出発して行ったなぁ。
「秋ちゃん、食材とかってあっちに行ったら貰えんの??」
私は慌てて小型カメラを回しながら自分は映らないよう2人に案内を始めた。

受付に行って食材や飲み物を調達して、火付け班と合流しつつ、辻井さんが流石の手際で野菜をカットしていく。
「ほんま辻井すごいなぁ。」
「僕こういうの好きなんすよね〜」
楽しそうにバーベキューの下準備を進めてくれてる辻井さんを撮りつつ横目で石井くんを見ると、ぎこちなくも真剣に玉ねぎと向き合っている姿は可愛かった。これはファンの方も喜ぶやつやん。
てか、私の撮ってる目線がもうファン目線やった。

「よぉし!火ぃついたでー!」

安田くんと山添さんの声を聞いてそちらの方にもカメラを向けてみると、なかなか順調に火起こしができていた。
「おお!すごーい!」
私も思わず声を上げてしまったが、それに対して大喜びの山添さん。
「俺だってやる時はやるんやでぇ!!!」

「うるせーっお前だけでやったんやないやろ」
の声と同時に山添さんの頬に冷えた缶ビールを押し付ける石井くんが横から入ってきたりして、その場はいい?雰囲気で盛り上がりを見せていた。


「ではー!本日の初グランピングにカンパーイ!!」

カヌー班のケイさんとナポリさんも帰ってきて、皆が揃ったので辻井さんの乾杯の挨拶でバーベキューもスタートした。
「では、トークテーマ持ってきてあるんでそれを引いて話しながら呑みましょうか。」
作家さんが用意してくれたテーマを早速ケイさんが引いてみると…
「おっ!『直近の恋愛話』!でたー!呑みながら話す定番なやつ!」

「ケイさん、さすがですね!いいの引きますね~」

「山添はフラれた話ばっかりだから…石井さん!最近、恋愛してるんですか??」

私の持っていたカメラは被写体を石井くんに向けつつも一瞬ブレた。私の姿は映らなくとも気持ちが入ってしまうんやないかと思うほどにドキッとしたから…。

動揺してるのを悟られないようにしないと…。

「石井さん彼女さんとかいてるんですか?」

「ナポちゃんっ、直球やなぁ」

まだ半分も呑めてないのに顔が赤くなってきている石井くんは「んー…」と、ナポリさんの質問に対して答えようかどうしようか迷ってる感があったが、1口ビールを呑んでから

「んー…うん。今、彼女いてるよ」と、答えた。

なんか前にもこんな場面見たな…。

「ええっ!うそーっ!きゃあー!石井さんと付き合えるなんて幸せじゃん!」
と、ケイさん大興奮。
そんなケイさんを撮りつつチラッと石井くんを見るとちょうど同じタイミングで石井くんも私を見てきたので目が合った。
うわわわっ
きっと私の目はキョドっていたやろうな…。
石井くんは目が合った瞬間、ニヤッと笑ってすぐに皆の方に顔を向けた。

楽しんでおられますね…。

橘さんの時のハラハラ感はないにしても…このデジャブ。

まぁ、いいか。幸せなデジャブにしとこう。


















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